がんで余命宣告を受けた経験を持つ新潟・長岡市の女性が、病で苦しむ人などに癒しの時を過ごしてもらおうと開放する私有地の森を取材した。

「癒やしを」 がんを経験した女性が開放する森

その人と出会ったのは2020年夏のこと。
病気についての深刻な話を和やかな雰囲気へと変えていたのは、松原エマさん。

松原エマさん
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松原エマさん:
今を大事に楽しく生きる

松原さんは2011年に膵臓と卵巣にがんが見つかり、余命宣告を受けたが、2度の手術と抗がん剤治療を耐え抜いた。

2011年 膵臓と卵巣にがんが見つかる

そして、自身の経験から病に苦しむ人や支える人に、穏やかなひとときを過ごしてもらいたいと、母親から受け継いだ森を〈ピアの森・狐遊庭(こゆうてい)〉と名付け、開放している。

松原エマさん:
支えられた人が次は誰かを支える。“森の中の茶の間”になれたら

ピアの森・狐遊庭(長岡市)

自然の中でたたく太鼓 発案したのは夫をがんで亡くした女性

ピアの森が少しにぎやかになったのは、2021年10月のこと。
そこには、森を訪れた人と和太鼓を楽しむ松原さんの姿が。

和太鼓を楽しむ松原さん

「気兼ねなく、大きな音を出せる森で力いっぱい太鼓を打ってみたい」と発案したのは、夫をがんで亡くした増田友子さん。

増田友子さん:
太鼓をたたくのは気持ちいい。日頃のうっぷんが晴れる

がんで夫を亡くした増田友子さん

松原エマさん:
がん患者や遺族は自分だけではない。みんなで太鼓の音を合わせることに意味がある

ピアの森が色をなくした冬。

松原エマさん:
病気や悩みは、人にとっての冬。そういうときは休んで、力がみなぎってきたら動き出す。そういう意味で冬は大事

“病気・悩みは人にとっての冬” そういうときは休みを

この日、森を訪れたのは、がんの闘病経験がある松尾順子さんと瀧山恭子さん。

瀧山恭子さん:
太鼓をたたくのは気持ちいい

瀧山恭子さん

松尾順子さん:
もっとたたきたくなる

松尾順子さん

2021年の10月に、初心者ばかりで練習を始めて4か月。心を前向きにする太鼓の可能性に、松原さんはある計画を進めていた。

メンバーのほとんどは初心者

松原エマさん:
「太鼓は私たちでもできる」ということを伝えるイベントをやってみたい

もちろん、メンバーの練習の成果も“狐遊太鼓”としてお披露目する。

「思いっきり楽しみたい」 お寺に響く太鼓の音

そして迎えた本番、太鼓が並んだのは長岡市にある長福寺の本堂。雨模様で気温も低かったため、太鼓のイベント会場をピアの森から変更して開催することに。

急遽会場を変更

松原エマさん:
病気の人や具合の悪い人がいるかもしれないので、大事をとってこちらに

がんで夫を失った寂しさから「太鼓を打ちたい」と願った増田さん。人前での演奏には少し緊張した様子を見せる。

本番を前に緊張気味の増田友子さん

増田友子さん:
本番の日が来てしまった。思いっきり、自分が楽しみたい

イベントに協力してくれた大学生の太鼓に後押しされて、力強く響く音。

長岡技術科学大学の学生が協力

「生きる意欲が湧く」 演奏を見守る人に伝わった思い

特別な思いで聴いていたのは、松原さんの手術を担当した新潟大学の医学博士・若井俊文さん。

新潟大学 医学博士 若井俊文さん:
がんを乗り切った人がいるというのは、がん患者さんにとって明るい材料になる。ぜひ、こういった活動を続けてほしい

新潟大学 医学博士 若井俊文さん

松原エマさん:
生きることが恩返し

冬に太鼓を楽しんだ松尾さんも、客席から演奏を見守っていた。

松尾順子さん:
生きる意欲が湧いてくる

客席で見守る松尾順子さん

松原エマさん:
いま弱っている人でも、次は誰かのためになれる。それが仲間

“今は弱っていても次は誰かのために”

喜びは命を輝かせる。冬を耐えて、花のつぼみが膨らみ始めた。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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