夫婦で営み、もうすぐ半世紀になる長野県安曇野市の手芸店。「県内一」と自信を見せる品ぞろえで愛好者を支え、手芸の魅力を広めている。

一つの糸に数百色のバリエーション

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グラデーション豊かな糸に、目を引くデザインのボタン。そして、色とりどりの毛糸。ここは安曇野市の「ホビーショップ小松」。今年で創業から50年目に入る手芸店だ。

ホビーショップ小松・小松光伯社長(79):
おそらく県内一だと思います。品ぞろえでは負けないと思います

ホビーショップ小松・小松光伯社長(79):
この面は全部糸ですね。スパン糸、絹糸、絹の手縫い糸、絹の大巻…こちらも木綿系ですね。カラーもそろっています

糸は25種類ほど。一つの糸に数百色のバリエーションがあり、商品は数千点にのぼる。

もちろん、ボタンもファスナーも豊富。アイススケートの衣装用に求める人もいるそうだ。

ホビーショップ小松・小松光伯社長(79):
やっぱり相手がプロですから、こういうようにしたい、ああいうようにしたいと。お客さんの要望でね、できるだけ合わせるように頑張ってます。だからほとんど50年間、自転車操業みたいなもんですね。もうけたものが違うものになる

豊富な品ぞろえに客は絶大な信頼を寄せている。

客:
今までは松本に出てたんですけど、どうしても欲しいものがないことが多かったのでお訪ねして。これだけの品物があって、ない物がないでしょ。欲しいものが手に入る

店は1972年(昭和47年)の創業。当初は妻・弘子さんが始めた「編み物教室」の材料を扱う程度だったが、客のリクエストに応えるうちに品数は増えていった。夫の光伯さんは手芸品の卸などの仕事をしていたが、15年ほど前に弘子さんが体調を崩してからは社長として店を取り仕切っている。

妻・弘子さん:
(当初は)若かったから勢いで、いろいろ考えないで始めちゃったんですね。今は夫が、私ができないことを全部やってくれる。助かります

30年余り店を構えていたショッピングセンターが建て替えとなり、店は2021年秋に市役所近くに移転。80歳目前だったが、社長に迷いはなかった。

ホビーショップ小松・小松光伯社長(79):
なんでしょうね、つぶしたくないっていうのもありますしね。お客さんに喜んでもらうのが一番いいなということでやっています。片付けようとも、簡単に片付けられないというのもありますね

手芸愛好家からの信頼に応える

半世紀分の在庫は「宝の山」だ。ただ、店を取り巻く環境は大きく変わった。洋裁などに親しみ服を手作りした時代から、安価な衣料品がすぐに手に入る時代へ。手芸は「日常」から離れていったのだ。

今は熱心な愛好者や、仕事として取り組む人が客の中心。品ぞろえがいっそう大切になっていて、社長は卸の仕事でできたメーカーや問屋とのつながりを生かして仕入れをしている。

ホビーショップ小松・小松光伯社長(79):
「こういうものはないか」「ああいうものないか」と言われますし、それをどうやってカバーしていくかっていうこともありますね

客:
注文してたの、届いたかなと思って

ホビーショップ小松・小松光伯社長(79):
ありがとうございます。入ってますよ

女性が注文していたのはガラスのビーズ。アクセサリー作りが趣味で、インターネットで販売もしているそうだ。

客:
写真で見るのと違う。やっぱり見ないとね

ホビーショップ小松・小松光伯社長(79):
また、他のも(注文)取ってあげるで

客:
やっぱり貴重ですよね、地元で買えるというのは

ホビーショップ小松・小松光伯社長(79):
きょうはどんなもの?

角谷美和さん:
彼女、バッグ作るの。持ち手とかマグネットホックとか、手縫いで作るから、手縫いの糸も黒で買いたい

ホビーショップ小松・小松光伯社長(79):
じゃあ糸、黒ね。丈夫な手縫いの糸、こちらですね

友人と一緒に来店した角谷美和さん。店に通ってもう10年以上になる。

角谷美和さん:
ここら辺では一番品ぞろえがいいし、いいものもがあるので

「手縫い」講師も満足 道具を取り寄せ

実は角谷さんは、手縫いの講師の資格を持つ、いわばプロ。自宅を訪ねると手作りのワンピース姿で迎えてくれた。

角谷さんはかつて東京の子供服メーカーでデザイナーをしていて、現在は作った洋服や小物を雑貨店に卸したり、知人に作り方を指導したりしている。2011年に安曇野市に移住して「小松」を知った。

角谷美和さん:
こんなところあるんだ、よかったーと思って。どこで手芸道具を買えばいいのかと、こっちに引っ越して思っていたので

こちらは「小松」で買った布で作ったワンピースエプロン。

角谷美和さん:
小松さんの方でこの北欧風の生地、かわいかったので買いまして。手縫いで縫いました

残った布で座布団も作る。

残った布で座布団も
残った布で座布団も

角谷美和さん:
昔、見たような生地がかえってかわいかったりするので、歴史のある手芸屋さんっていうのは宝物があって面白い

”手縫い派”の角谷さん。こだわりの道具も「小松」でそろえている。

角谷美和さん:
こういう薄いまち針、これも小松さんにお願いして取り寄せてもらったんです、わざわざメーカーに

角谷美和さん:
小松さんが扱っているのは、日本のちゃんとした手芸専用の会社のものを扱っているので、全然違うんです。作業の効率も違うし、楽しさも違う

「元気なうちは続けたい」手作りの魅力

要望に応え続けて半世紀。小松社長はこれからも手作りの良さを知る、手芸を愛する人たちを支えたいと考えている。

ホビーショップ小松・小松光伯社長(79):
できた時の感激ですね、一番いいのは。作ってみてそれでよかったんだけど、もう一個やってみようと

妻・弘子さん:
自分で作ったっていう、買ったものとは違う味があるからね

ホビーショップ小松・小松光伯社長(79):
どうせやるなら、お客さんに喜んでもらえる店をやりたい。私が元気なうちはやる予定です

(長野放送)