ロシアによるウクライナ侵攻から1カ月以上が経過したが、激しい戦闘は今も続いている。この紛争はどのような結末を迎えるのか?アメリカでは、さまざまな分析が発表されている。

FNN記者のイチオシのネタを集めた「ネタプレ」。今回は、アメリカ・ワシントン支局の中西孝介記者が「ウクライナは停戦?泥沼?アメリカ政府4つのシナリオ」を伝える。

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FNNワシントン支局 中西孝介記者:
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻ですが、焦点になっているのが、停戦交渉を経て今後の展開がどうなるのかという点です。3月29日に行われた停戦交渉で、ロシア側はウクライナの首都キーウ(別名キエフ)などへの攻撃を大幅に縮小すると発表し、一定の譲歩を示したと言われています。ただ、アメリカ政府はこれを疑っています。国防総省は3月31日、キーウ周辺からロシア軍の約20%の部隊が移動したものの、行き先はベラルーシで軍隊の補給や強化をしていて、撤退ではないと指摘しているのです

(FNNでは、政府が首都キエフをウクライナ語の発音に近い「キーウ」と呼ぶことにした方針にあわせ、ウクライナの地名の呼び方を変更しています)

FNNワシントン支局 中西孝介記者:
国防総省は「脅威は去っていない、ロシアにだまされてはいけない」とも警告しています。実際、ロシアの発表後もキーウやその周辺では空爆などの攻撃が続けられています。最近よくニュースで出てくるアメリカ「戦争研究所」。ここは米軍との関係が深く、信頼性が高い機関と言われていますが、こんな分析もしています。キーウ周辺のロシア軍はウクライナ軍の反撃を受け、大打撃を受けていま、キーウを占領するだけの力がないということなんです。ロシアはその失敗を隠すため、攻撃の縮小を発表していて、戦力がまた強化されれば、再び本格的に攻め込む。そうした分析を示しているんです

交渉による停戦が現実的なシナリオ

ウクライナの運命はどうなっていくのか?アメリカの最新の分析をもとに、4つのシナリオを見ていく。

FNNワシントン支局 中西孝介記者:
1つ目のシナリオが「交渉で合意」。軍事侵攻が始まった直後には、最も楽観的な奇跡のウクライナ勝利というシナリオもありました。しかし、東部や南部でロシア軍の制圧が進むなど情勢は厳しく、いまは交渉による停戦のシナリオが現実的な結末として言われています

FNNワシントン支局 中西孝介記者:
問題はどのような停戦の合意になるかです。ウクライナはロシアが今回侵攻した全ての地域から撤退するように要求していますが、ロシアが簡単に撤退するとは思えません。アメリカの有識者からは、最も可能性が高いのはウクライナの分割という声も上がっているんです。これはロシアを支持する人もいる東側、ウクライナ政府を強く支援する西側。この東西を分割して2つに分けるというものです。ただこの場合、激戦の続くマリウポリなど多くの地域がロシアの手に渡ってしまう可能性が極めて高い。そうした場合にはウクライナ側の反発は確実ですので、合意は簡単ではなさそうです

泥沼化で“終わりなき戦い”への突入も

FNNワシントン支局 中西孝介記者:
2つ目は、アメリカで最も可能性が高いと言われる「泥沼化」。現在、攻防は既にこの状態へ突入しているのではないかとも見られています。戦争研究所は、この状態が数週間から数カ月続くとの見方も示しています

加藤綾子キャスター:
泥沼化すると、市民への被害もさらに拡大するのが心配ですよね?

FNNワシントン支局 中西孝介記者:
はい。その通りで民間人の犠牲が非常に多く出ます。アメリカのメディアからは、プーチン大統領がゼレンスキー大統領を交代させる目的だった「プランA」から「プランB」に変更したのではないか、という見方が出ています。この「プランB」は、民間人や住宅・病院などをわざと攻撃し、大規模な難民を発生させるという戦略です。既に400万人がウクライナから逃げ、難民となっていると言われていますが、このことでウクライナや隣の国に大きな負担を与え、妥協を引き出そうとする狙いがあると言われています

ワシントン支局 中西孝介記者:
いずれにせよ、停戦交渉がまとまらなければ、ロシアの攻撃、そしてウクライナの反撃、アメリカなど諸国からの経済制裁というものが何年も続く形になり、終わりなき戦いに突入する可能性があるんです

最悪の想定はロシア対NATOで第3次世界大戦

ワシントン支局 中西孝介記者:
3つ目のシナリオは、最悪の想定となる「ロシアとNATOの戦争開始」です。NATOとロシアが戦争するということは、アメリカとロシアが戦争になることで、第3次世界大戦に突入することになります。まさに最悪のシナリオですが、この可能性も否定できません。どういったことから起きるかといいますと…

ワシントン支局 中西孝介記者:
ロシアがウクライナを支配し、そのままの勢いでNATOなどのヨーロッパの国に攻め込むパターン。またはロシアが誤った形でNATOの国の基地や飛行機などを攻撃してしまうことで、NATO側も反撃をする。この戦闘が繰り返されることで、戦火がどんどん拡大することです。実際に、既にロシアのドローンがポーランドの上空に侵入したという話もあります。また、正体不明ですが。クロアチアに爆弾を積んだドローンが墜落したという話もあり、危険な兆候が出ているとも言えなくもないです

“裸の王様”プーチン政権の崩壊はあるか

ワシントン支局 中西孝介記者:
そして最後、4つ目のシナリオは「プーチン政権の崩壊」です。アメリカ政府は3月31日、プーチン大統領はロシア軍に騙されたと思っていると発表しました。何のことかといいますと、プーチン大統領にロシア軍から正しい情報が伝わっていない。そのことで関係が険悪になっているというもので、その理由は「側近がプーチン氏が怖くて真実が言えない」。つまり、悪い情報が一切、プーチン氏に上がっていないのではないかということで、“裸の王様”のような状態になってしまっているという見立てです

ワシントン支局 中西孝介記者:
ここで注目なのが、バイデン大統領の先日の発言です。バイデン大統領は「プーチン大統領を権力の座にとどめておいてはいけない」と発言し、事態の悪化を招くと批判も浴びました。ただ、この発言はバイデン大統領の本音ではないかとも言われていて、会見ではこのようにも話しています

バイデン大統領:
私の怒りをただ表現した。プーチンは権力の座にとどまるべきではない。(私の発言は)ロシアの人々に話していたのです。演説の最後の部分はロシア国民に私たちの考えを伝えていたのです

ワシントン支局 中西孝介記者:
会見を聞いていると、バイデン氏がロシア国民に立ち上がれと言っているようにも聞こえます。アメリカとしては、経済制裁の効果によるプーチン氏の失脚というシナリオが、最も幸福なシナリオとも言えそうです。ただ、専門家からは仮にプーチン氏が失脚したとしても、プーチン氏の側近がその立場になるだけでロシア自体変化はしないのではという声も上がっています。4つのシナリオのうち、どれが実現するのか見通しは不透明ですが、戦闘が長引けば長引くほど一般市民の犠牲が増え、日本人の暮らしにもさらなる影響が出ることは間違いないといえそうです

停戦か泥沼化か…現実的なシナリオは

イット!のスタジオではコメンテーターでジャーナリストの柳澤秀夫さんに話を聞いた。

加藤綾子キャスター:
アメリカもさまざまなシナリオでウクライナ情勢を分析していますけれども、柳澤さんは今後の展開、どうご覧になってますか?

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
停戦合意と泥沼のちょうど間ぐらいなのかなという気がします。停戦ではなくて休戦。これはプーチン大統領が今回の侵略で一定の成果を生んだと、例えば、ウクライナの東部を支配下に完全に置いたということをロシア国民向けにアピールして、作戦は成功したという形でとりあえずは戦闘はお休み状態。今後どうするかということについては、いつ終わるかわからないような交渉がずっと続くという。そんな感じの部分が現実的じゃないかなと思うんですけど…

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
いずれにしても最悪のシナリオだけは避けてほしいし、本当はロシア国民にプーチン政権に代わる政権をつくってほしいなというのが願いですよね

(「イット!」3月31日放送より)

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