花見シーズンがピークを迎え、人出が増加している東京都で、新型コロナの新規感染者が4日連続で前の週を上回った。医療現場では「すでに第7波が始まった可能性が濃厚」と感染の再拡大を警戒する声が上がっている。

「すでに第7波」花見シーズンで感染増加

3月30日の国会、議員からは「新型コロナの感染再拡大」「いわゆるリバウンドが始まっているのか」という質問があった。政府分科会の尾身会長はこう答えた。

「花見だとか歓送迎会というものが多分これから多くなる可能性があるので、私はリバウンドは起きる可能性はあり得ると思っています」

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まさに花見シーズンのピークを迎えている東京。千代田区千鳥ケ淵の桜は満開、見頃を迎えている。その桜をひと目見ようと、緑道にはたくさんの人たちが詰めかけている。

東京は4日連続前週上回る

3月30日、東京都では新たに9520人の感染を確認。3月23日の6430人から3000人以上増えた。

まん延防止措置の解除後、都内の感染者は再び増加傾向に転じ、3月30日で4日連続、前の週の同じ曜日を上回っている。

しかし後藤厚労相は午後5時すぎの会見で「数日連続の増加が直ちに持続的な新規感染者数の増加につながるかは現段階では判断できない」とした。

こうした中、いま脅威となっているのが従来のオミクロン株よりも感染力が強いとされる「BA.2」ステルスオミクロン株の存在だ。

東京都の小池都知事は29日、「『BA.2』への置き換わりが大変なスピードで進んでいる」と危機感を募らせた。

桜の名所・目黒川沿いでは夜に…

コロナ禍で迎えた3度目のお花見シーズン。都内の桜の名所として知られる目黒川沿いでは警備員が「設営が終わりましたら移動をお願いいたします」などと長時間留まらないように絶えず呼びかける姿があった。

目黒区は花見自粛のお願いを出し、警備員が密を避けるよう呼びかけ大きな混乱はなかった。

ところが、夜は状況が一変する。街頭に照らされた幻想的な夜桜を、酒を片手に撮影する人たちで密集していた。

シャンパングラスを手に外国人男性が記念撮影。その周りには立ち飲みで花見をする多くの花見客の姿があった。シャンパンを手に持った花見客は「そこの店のシャンパンです。(まん延防止解除されたから)解放的な気分にはなる」と夜桜とお酒を楽しんでいた。

テイクアウトができる店の前には行列ができ、周辺では昼間と同様、警備員が立ち止まらないよう呼びかけを行っている。

しかし、橋の欄干に酒や食べ物を置き花見をする人や、酒を飲みながらノーマスクで歩く人などの姿もあった。

花見客は「ビール片手に桜を見たくなりますね。もう我慢の限界かな。(コロナに)かかっても重症化しないと勝手に思っちゃいますね」と話していた。

「すでに7波」医療現場は警戒

まん延防止措置が明け、年度末を迎える中での感染者の増加。医療現場では、既に第7波が始まったと警戒を強めている。

ふじみの救急病院の鹿野晃院長によると「直近の週ですと6割以上がBA.2いわゆるステルスミクロンに置き換わっている状況。じわじわと増加傾向にあって、“第7波”の始まりの可能性が濃厚」という。

中でも、いま幼い子どもの感染をきっかけとした“家庭内感染”が増えていると院長は指摘する。

「半分くらいが家庭内感染の方でしめられている。(きっかけは)最初はお子さんがかかって、症状が出て、“キーワードお子さん”というのが今強く感じる」

増える子どもからの“家庭内感染”

取材班が向かったのは、都内にある学童保育の施設。ボードゲームで遊んでいる子どもたちの間には、アクリル板が設置されていた。

この施設に通う子供の中でも感染が確認されたり、濃厚接触者となるケースが相次ぎ、子どもの感染が増加していることを肌で感じるという。

ライト学童保育クラブの川島勇希指導員は、こう不安を口にする。

「定期的に何人かが(コロナに)かかっていて、これから新年度も始まるので、そこでの不安は少しある」

換気を徹底するなどの対策は行っているが、子どもの動きは予測しづらく、対策には限界がある。遊んでいるうちにいろいろな物をべたべたと触ってしまう場面や、マスクがずれてきてしまう子もいる。

「子どもたちは基本どこでも触るし、職員が徹底して感染対策をして、ひたすらやっていくしかないなと思っている」

家庭でも子供の感染防止に苦戦

家庭でも、子供の感染防止に苦戦していた。1歳8か月の子供を持つ30代の母親からは「何でも口に入れちゃうし、知らない子に急に触っちゃったりするので」といった声が聞かれたほか、4歳と11か月の子供を持つ30代の母親からは「(子供が)マスクを嫌がったりするので、どうしようかなと悩んでいます」という声があがった。

まん延防止措置解除から増加に転じた感染者に街では「まん延防止等重点措置を解除しちゃったが、また感染者が増えていくのかなと」(30代女性)、「気を付けないとまた“第7波”とかになっちゃう」(30代女性・子供1歳)などといった声も聞かれた。

基本的な対策は引き続き“絶対必要”

「イット!」のスタジオでは、元東京地検検事の住田裕子弁護士に話を聞いた。

加藤綾子キャスター:
ようやくまん延防止等重点措置が解除されたのに…という思いもあるんですけど、以前の不安感とはなんだか違ってきている実感があります。感染増加が医療機関に与える影響は気になるんですけれど、またこれでまん延防止措置となると、その対策でいいのかなという疑問がちょっとあるんですよね

住田裕子弁護士:
今まではかなり下がってからの上昇だったんですが、これだけ下げ止まりになり、今回は変異株が出てきての上昇になると数が増える。どうしても重症化率が増えてくると思うんですよ。
当然、危ないのは高齢者、基礎疾患ある既往症のある方です。そういう方は、マスクをちゃんとつけて3密を避けるという、基本的な対策は絶対必要だと思います

加藤綾子キャスター:
私たちも引き続きマスク、それから手洗いは丁寧に続いていきたいですね


(「イット!」3月30日放送より)