2021年4月、30年ぶりに復活した富山・南砺市利賀村での「山村留学」は、3月25日に1年の活動を終える「修園の集い」が開かれた。利賀の大自然や地域の人たちとふれあいながら成長した、子どもたちの姿を追った。

小中学生10人が「村の一員」に…ホームステイも

3月25日、10人の山村留学生が1年間の活動を終えた。

亀谷慶仁朗さん(小4):
とても楽しかった。たくさん山村留学で学べたから、それを元の生活でも生かしたい

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留学生を見送る人たち:
行ってらっしゃい!

利賀を離れる留学生:
行ってきます!

留学生の4人が、この春で利賀を離れた。
留学生が暮らす宿泊施設「南砺利賀みらい留学センター」での合言葉「行ってらっしゃい」で、精いっぱい仲間を送り出した。

2021年4月、南砺市利賀村に東京や神奈川、アメリカなどで暮らす小学3年生から中学2年生の子どもたちがやってきた。

利賀村の小中学校に通いながら1年間、村の一員として過ごす「山村留学」。
南砺利賀みらい留学センターで開かれた入園の集い。

富山県内から参加した亀谷慶仁朗さん(小4):
利賀村で友達がたくさんできるといいと思う

神奈川県から参加した菅間哲平さん(中1):
都会ではできないような貴重な体験を頑張っていきたい

保護者:
一生の中で彼らの核となるような体験が、ここで生まれると思う。利賀の子どもとして育てていただけたら本望でございます

留学生は1カ月のうちの10日間を、地元の家庭でホームステイする。

「小学4年、柴田遥也」「よろしくお願いします」

子どもたちの受け入れ家族が発表され、顔合わせからここまで約1週間をともに過ごした仲間とは、しばしお別れ。

東京都から参加した宮坂日陽さん(中2):
お互い助け合えていたから、1週間でも(離れるのは)悲しいなと思って

ホームステイでは、それぞれの家族から、利賀村での暮らしの知恵や工夫を教わる。

留学生:
ホームステイでは、お手伝いとか頑張りたい。ごはんもたくさん食べたいです

新緑が深まる6月には、近くの山までハイキングをした。
利賀村の自然を満喫しながら、頂上を目指す。

生活の拠点施設に戻ると、早速夕食の準備。
いけすから取り出したニジマスは、自分たちでさばく。

留学生たちは、ほかの生き物の命をもらって生きているということを実感したようだ。

「バス停」作りも…雪国の暮らし学ぶ

冬が近づいた11月、収穫祭が開かれた。

留学生:
(弓の)ひもを何本も重ねることで、(矢を)飛ばすことができる。もちろん、飛ばせますよ

地域の人や留学生の家族を招き、利賀村で生活する中で興味を持ったものを調べたり、活動したりしたことを発表した。
こちらの2人は、地元の人の協力を得て、バス停を作った。

留学生:
自分1人ではできないことも、みんなに手伝ってもらえればできることを知った。ずっと続けていると疲れてしまうので、休憩することも大切だと知った

留学生たちは、地域の人に利賀村名物のそば打ちを習い、雪国の暮らしを学びながら、スキーなども楽しんだ。

雪が残る3月25日、1年の活動を終える修園の集いが行われた。

3月25日に行われた「修園の集い」の模様
3月25日に行われた「修園の集い」の模様

利賀村を去る清水春枝さん(小4):
たくさんのことができるようになった。元の学校(東京)に戻っても、ここでできたことを生かして頑張りたい

来年度も継続 菅間哲平さん(中1):
いい場所と、いい人といい仲間と出会えた自分に感謝しています。1年間ありがとうございました

利賀村を去る千葉大耀さん(中1):
今年学んだことを、しっかりとこれからの人生に生かしながら、アメリカに帰っても、アメリカで学べることを学んで、これからの人生に役立てたい

転勤族で、住居を転々としてきたという千葉さんが、母に伝えたエピソードが紹介された。

母親の千葉友美さん:
「利賀は人がいつもつながって声を掛け合い、助け合って生活をしている。そんな利賀で、僕も生きていきたい」ということでした。大耀に帰る場所ができたということは、何よりもうれしいことです

留学生は「利賀っ子」…子どもたちの旅立ち祝う

ホームステイする家族との最後の時間を楽しむ。

ホームステイ家族:
また戻ってきてくれると思うので、(留学生は)利賀っ子であり、うちの子

利賀村を去る生田かこさん(小3):
楽しかったし、仲間との関わり方を学べたのでよかった。来てよかった

利賀村を去る千葉太耀さん(中1):
達成したことはいっぱいあったし、みんなと一緒に成長した1年だった。利賀は人も優しいし、将来いつかまた、ここに住んでみたい

利賀村では、別れの時にも披露するという「麦屋節」をみんなで一緒に舞い、2022年で山村留学を終える4人の子どもたちの旅立ちを祝った。

利賀村で別れの時にも披露するという「麦屋節」で旅立ちを祝う
利賀村で別れの時にも披露するという「麦屋節」で旅立ちを祝う

一方、もう1年間、利賀に残ることを決めた留学生たちもいる。

金井有生さん(中2):
とても寂しい。家族みたいな存在で、絶対に忘れない

宮坂日陽さん(中2):
利賀の良さを知って、利賀でみんなと中学生のメンバーと卒業したいと思って(継続を決めた)。みんなから尊敬される、かっこいいお姉ちゃんになりたい

利賀村の山村留学は、この春に新たに7人の留学生を迎え、13人で2年目の春を迎える。

「修園の集い」には、利賀小学校、利賀中学校の同級生も来ていて、話を聞くと、留学生のおかげでいろんな活動もできたし、利賀村のことをより知って、利賀の魅力に気づくことができたと話していた。

(富山テレビ)

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