アメリカのバイデン大統領は、ロシアが生物・化学兵器の使用を検討していると初めて警告しました。めざまし8では、ロシア事情に通じた元CIAの諜報員を取材。化学兵器がキエフ市民への攻撃に使用される危険性が浮上しました。

過去にも化学兵器使用の疑い

ロシアは「ウクライナに生物・化学兵器があり、その裏にきっとアメリカがいるに違いない」と主張。これに対しアメリカのバイデン大統領が、「プーチンがこれら(生物・化学兵器)の使用を検討している明らかな兆候だ」と発言しました。つまり、ウクライナが生物・化学兵器を保有しているというのは、ロシアの嘘であり使用するための口実であるとバイデン大統領は批判しているのです。

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過去にはロシアが後ろ盾となっていたシリアの内戦で化学兵器が使われた事案もあります。この時は、子どもを含む1400人が死亡しました。ロシアはこの時にも今回と同じような主張をして、その後化学兵器を使ったとみられています。

さらには、2020年にロシアの反体制派指導者のナワリヌイ氏が猛毒の神経剤で一時重篤な状態になったことも、化学兵器の一種を使用したのではないかとみられています。ナワリヌイ氏に関しては、詐欺や法廷侮辱罪で禁錮9年を言い渡され、刑期が大幅に延びたという事態も起こっています。

こうした動きについて、元CIAのジョン・サイファー氏は「もしプーチン大統領が化学兵器を使用すれば、重大で危険な段階に陥る。ロシアは化学・生物兵器禁止条約に署名しているが、彼らはいつも嘘をつく」と指摘しています。

化学兵器の扱いを熟知?シリア兵投入で高まる懸念

果たして、シリアと同じようなことがウクライナでも起こり得るのでしょうか。ロシア情勢に詳しい筑波大学の中村逸郎教授に話を聞きました。

筑波大学 中村逸郎教授:
シリアと同じようなことがウクライナでも起こり得る危険性は、非常に高くなっていると思います。なぜかというと、実はシリアから兵士たちが続々とウクライナの方に送り込まれています。そして、毎日約300人、総勢4万人近くの兵士たちがウクライナに送り込まれています。実は、ロシアから供給されたものですけれども、このシリア兵たちは化学兵器を2014年から2018年まで使って内戦を鎮めてきたということですので、化学兵器の使い方についてかなり熟知している可能性が高いのです。そういう人たちがウクライナに投入されるということで、今後のウクライナで神経ガス等々の兵器が使われる可能性が非常に高くなってきているということです。

(「めざまし8」3月23日放送分)