3月21日、ロシア軍はウクライナ南東部の都市マリウポリの制圧を狙い、投降を要求しましたが、ウクライナ軍は即座に拒否。激しい攻撃が続いています。

今、最激戦地となっているマリウポリでは、ライフラインが徹底的に破壊され、飢えが起きていることがわかりました。

激戦地・マリウポリ「施設8割破壊」

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これは、日本時間の22日、午前3時ごろ、ウクライナの内務省が管轄している特殊部隊が公式ツイッターで公開した上空からの映像。複数の建物が整然と建ち並んでいますが、突如、破壊されていきます。

ウクライナ側
ロシア軍は無差別に攻撃し、マリウポリのインフラに爆弾を投下している

ウクライナ側は、輸出などを行っている企業や工場をロシア側が狙い撃ちし、「ウクライナ経済を破壊しようとしている」と主張しています。

さらに、ロシア軍が包囲しているマリウポリでは激しい市街戦が続いています。

ウクライナ軍の車両から撮影されたとみられる映像。兵士が攻撃を仕掛ける様子も映し出されています。

ロシア軍を示す「Z」の文字。そこに向かって激しい攻撃が繰り返されます。

ロシア国防省は20日、マリウポリのウクライナ軍に対して、武器を置いて撤退するように求めました。

地元メディアによると、ウクライナの副首相は「降伏することはあり得ない」と要求を拒否したということです。

これにより、ロシア軍の攻撃がさらに激しさを増す可能性が懸念されています。19日には、地元住民ら400人が避難していた美術学校が攻撃を受けました。

ウクライナ ゼレンスキー大統領
包囲されているマリウポリでロシア軍機が美術学校を爆撃しました。そこに軍事拠点は無く、約400人の民間人がいました。大半は女性と子供、高齢者です

SNSで怒りの声を上げるゼレンスキー大統領。大統領によれば、多くの市民ががれきの下に取り残され、被害の規模はわからないといいます。

これは、攻撃があった19日にマリウポリの様子を撮影した衛星写真です。

市街地のところどころに確認できるオレンジ色の光。ロシア軍の砲撃や空爆による、火災とみられ、建物などへの被害が、同時多発的に起きていたことが分かります。

「水と食料がなくなってしまう…」マリウポリでは食糧難も

めざまし8は、実際にマリウポリから別の地域に避難した軍事ジャーナリスト、ポポフさんにマリウポリの現状について話を聞きました。

マリウポリの軍事ジャーナリスト アリチョム・ポポフさん
現時点では施設の80%以上破壊されました。40%は復元が不可能な状態です。現在マリウポリには30万人以上の人が残されています。その人たちは地下に避難していて、出られない状況です。彼らの水と食事はもうすぐなくなってしまいます

激しい攻撃により、水道や電気などのインフラは破壊され、物資の補給も途絶えているといいます。さらに、ここに来て新たな問題も…

「市民合わせて数千人がロシア軍に強制連行された」

SNSでこう明かしたのはマリウポリの市長です。

市長によると、マリウポリからおよそ100km離れたロシアのタガンログ市に連れて行かれたといいます。

マリウポリの軍事ジャーナリスト アリチョム・ポポフさん
ロシア軍はウクライナ市民の家に入ってきて、地下に避難している人に『これからお前達を連れていく、5分で準備しろ』と命令してくるということです

軍事ジャーナリストのポポフさんも知り合いが強制連行されたといます。

マリウポリの軍事ジャーナリスト アリチョム・ポポフさん
知人とはずっと連絡とっていました。(連行された後)ひと晩はある施設に泊まったらしいが、そのあとは連絡がとれなくなってしまった

強制連行について、ウクライナ軍の関係者を取材すると、その詳細がわかりました。

ウクライナ軍関係者
ロシア兵はマリウポリで捕らえた人々をキャンプへ送り、彼らの携帯電話をチェックしたり、パスポートを奪ったりしました。そして、遠いロシアの地域へ送られました。彼らがどうなったか分かりません。

マリウポリの市長によれば、ロシアの別の都市に連れて行かれ、2年間は強制労働をさせられるとしています。

避難カップル「侵攻終わったら結婚したい」

そんなマリウポリから別の地域に避難できたというドミトリーさん24歳と交際相手のアレクサンドラさん20歳。

ドミトリーさん・アレクサンドラさん
最初マリウポリからザポリージャに移動し、そこからドニエプル市に移動しました。ドニエプル市からクリオーロッグ市に移動しました。

やはり気になるのはまだマリウポリに残っているという親戚や友人の安否だといいます。

ドミトリーさん・アレクサンドラさん
あそこは通信がやられてしまい、連絡がとれていません。 なかなか取れません。

――最後はいつ連絡取れましたか?

ドミトリーさん・アレクサンドラさん
2月24日と25日です。その後は連絡とれないのです。戦争中の軍事シェルターにいる人々の名前を記録するページがあります。毎回アップデートされていますので、そこを見ています。心配です

そして、2人には強く望んでいることがあります。

ドミトリーさん・アレクサンドラさん
自分の街、自分の家に戻りたいです。結婚式を行い、お祝いをしたいです。状況がよくなることを祈っています。友達と集まり、今後の人生のために乾杯したいです。

そんな思いを打ち砕くようなロシアの攻撃。マリウポリへの攻撃の行方はまだ明らかではありません。

(「めざまし8」3月22日放送より)