3月23日からフランス・モンペリエで開催される世界フィギュアスケート選手権。
男子フィギュアスケート・ウクライナ代表として出場するイヴァン・シュムラトコ選手(20)が、21日(日本時間)に行われた公式練習後に行われたインタビューで「ウクライナで戦争が続く中、母国の代表として来られたことを誇りに思う」と語った。
なお、女子代表として出場予定だったアナスタシア・シャボトワ選手(16)は、すでに出場を辞退している。
コーチ不在で出場「当然家族の近くにいたい」
この記事の画像(5枚)21日に行われた公式練習に、1人で参加していたウクライナ男子フィギュアスケートのイヴァン・シュムラトコ選手。コーチは現地入りできていない。
「母国での戦争が関係しています。厳しい国内情勢の中、国際大会で可能性を示せるのはとてもいいことです。この場にいることが誇らしいです」
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから、まもなく1か月が経つ中で参加する世界フィギュア。この状況の中で出場を決めたことには、やはり迷いがあったと語る。
――大変な状況の中で世界フィギュア出場を決めた経緯は?行かない、欠場する、ということも考えましたか?
もちろん。母国では戦争が続いています。当然、家族の近くにいたいと思っています。
「ウクライナの現状に対する気持ちを伝えたい」
シュムラトコ選手は続くインタビューで、ウクライナの現状と、世界選手権での演技で世界に伝えたいことについて、次のように話した。
――今あなたの家族はどこにいますか?安全は確保されているのでしょうか?
世界選手権の話はしなかったし、練習もできませんでした。
心配事が他にたくさんあったので、家族と相談して自分が得意なことをやるべきだと判断して、ウクライナを代表して出場することにしました。
今のウクライナに安全は…、今のウクライナに安全はありません。それでも国民はできるだけ安全に過ごそうとしています。
――自宅や練習場は今どのような状態でしょうか?世界フィギュアへの調整や練習はできましたか?
もちろんそうではない。戦争が続いているので、練習に関する話などありません。人々は生き残ることに必死なので、もちろん違います。
――それでもあなたは世界フィギュアにやってきました。自身の演技を通して世界と観客に何を伝えたいですか?
私が伝えたいのは、とても深い…、とても深いウクライナの現状に対する気持ちを伝えたいです。
――世界フィギュアで成し遂げたいことは?最大の目標は?
私の目標はここに来ることでした。ウクライナで戦争が続く中、母国の代表として来られたことを誇りに思います。
今年の世界フィギュアについては、ウクライナへの軍事侵攻を受け、国際スケート連盟(ISU)がロシアとベラルーシの選手の出場を禁じている。
また女子フィギュアスケート・ウクライナ代表として出場予定だったアナスタシア・シャボトワ選手(16)は、出場を辞退している。