3月16日に発売されたビール。原料に、実は意外な食材が使われている。
山陰を代表する銘菓「どじょう掬いまんじゅう」。まんじゅうとビール、前代未聞のコラボには、単なる話題作りに留まらない、コロナ禍ならではの理由があった。

規格外品、コロナ禍で試食禁止に 

1967年の販売開始以降、山陰を代表するお土産として親しまれている「どじょう掬いまんじゅう」。

山陰を代表する銘菓「どじょう掬いまんじゅう」
山陰を代表する銘菓「どじょう掬いまんじゅう」
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誕生から50年余り、初めて生まれ変わった姿がクラフトビール。
まんじゅうとビール…前代未聞のコラボだが、どのように作られているのか。島根・松江市八束町の醸造所を訪ねた。

島根・松江市八束町の大根島醸造所
島根・松江市八束町の大根島醸造所

バケツいっぱいに入ったまんじゅうをスタッフが手に取ると、皮とあんも一緒に握りつぶし、麦芽を煮込む大鍋の中に入れていく。

醸造所スタッフ:
もともとかわいらしい形がつぶれていくのは、悲しいところもある

麦芽を煮込む大鍋の中で跡形もなくなる「どじょう掬いまんじゅう」
麦芽を煮込む大鍋の中で跡形もなくなる「どじょう掬いまんじゅう」

跡形もなくなる「どじょう掬いまんじゅう」。
自慢の商品を粉々にされて、製造元・中浦食品の鷦鷯副社長も複雑な心境、かと思いきや、表情には笑みも…。実は「渡りに船」の提案だったのだ。

中浦食品・鷦鷯侑副社長:
くぼんで中身が出てしまったり、規格外が出てしまう。試食で提供していたが、コロナで試食が禁止になって、たくさん残ってしまう状態だった

中浦食品・鷦鷯侑副社長
中浦食品・鷦鷯侑副社長

トレードマークのひょっとこお面が、きれいに映っていないものも。
製造量の1%はできてしまう規格外品。コロナ禍で試食用に使えず、行き場を失っていた。

さらに旅行控えで売れず、賞味期限が近づいて店頭から下げた商品も加わり、販売できない在庫が一時は通常の1.5倍、3,000個まで膨れ上がり、一部はやむを得ず廃棄していた。

これに目を付けたのが、醸造所の門脇代表だった。

大根島醸造所・門脇淳平代表:
小麦が入ったビールもあるので、まんじゅうは皮が小麦粉で出来ているので、原料になるものですね

大根島醸造所・門脇淳平代表
大根島醸造所・門脇淳平代表

小麦麦芽で作るビールもあるため、元は同じ小麦なら販売できないまんじゅうも原料に有効活用できると考え、コラボを持ちかけたという。

まんじゅうでビール、あえて甘くない味わいに

1瓶に1個分の「どじょう掬いまんじゅう」が入っている計算のビール、気になるお味は…

安部大地記者:
甘いかと思ったが、どちからと言うと辛口の味わい。「どじょう掬いまんじゅう」と一緒に食べると、絶妙なバランスとなりそう

酵母の量を調整することで、あえて甘くない、ドライな味わいに仕上げたという。

ドライな味わいに仕上げた「島根DOJOSUKUIMANJUエール」
ドライな味わいに仕上げた「島根DOJOSUKUIMANJUエール」

大根島醸造所・門脇淳平代表:
捨てるのはもったいない。再利用、新しい形に生まれ変わるというSDGsの面もあって、企業と企業のタイアップで新しいものが生まれて、消費拡大につながれば良いと思っている

SDGs(持続可能な開発目標)のひとつ「つくる責任・つかう責任」にも該当し、地域循環型とも言える「島根DOJOSUKUIMANJUエール」。

「島根DOJOSUKUIMANJUエール」
「島根DOJOSUKUIMANJUエール」

3月16日から、JR松江駅構内の中浦本舗や松江市内の5つのコンビニなどで順次販売されることになっている。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

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