今、あるチョコレートケーキが注目されている。ケーキ作りに欠かせない小麦粉や卵、乳製品を使わず、食物アレルギーがある人も安心して口にできるのだ。このケーキを考案した女性を取材した。
材料はひよこ豆・玄米麹・梅
桐の箱から出てきたのは、チョコレートケーキ。
何層にもチョコが重なりとろっとしている。
柳瀬友美記者：
とってもおいしいチョコレートケーキです。口の中に入れると溶けます。おいしいです
味わいも口当たりも申し分のないスイーツだが、実は…。
アレルギー料理研究家 上田まり子さん：
アレルギー特定原材料の28品目を全て除き、乳化剤や添加物を一切使わないようにして作ったケーキです
アレルギー症状を引き起こす原因となる食品28品目。ケーキの材料として欠かせない卵、乳製品、小麦粉に、材料として使われることが多いナッツやゼラチンなども含まれる。
しかし、こちらのケーキは、ひよこ豆や玄米麹、梅など、一見ケーキとは無縁の食材で代用。食物アレルギーがある人も安心して口にすることができる。
食に制限がある人も一緒に食卓を囲む
このケーキを考案したのは、アレルギー料理研究家の上田まり子さん。
2020年、島根県松江市内に食の制限がある人もない人も、一緒に食卓を囲むことをコンセプトにしたレストラン「フードダイバーシティ キッチン」をオープン。
食物アレルギーだけでなく、宗教や思想を理由に食に制限がある人も安心しておいしく食べられる料理を提供している。
レストランで提供するパスタやブリュレには、小麦粉も卵も使っていない。
子供たちのため約20年、食物アレルギーと向き合う
調理師として長年、アレルギー対応の料理を研究してきた上田さん。
生まれてきた3人の子どもたちにも重度の食物アレルギーがあったため、さらに料理の研究を深めた。
アレルギー料理研究家 上田まり子さん：
最初の子は特に重症で、何をしても症状が治まらなかったので、独学で（当時のアレルギー特定材料）27品目を一切除去する食事療法を数年間やってきました
命の危険にさらされることもある食物アレルギー。
上田さんは約20年間、子どもたちのために料理を工夫。食物アレルギーと向き合い続けた。その結果が、この奇跡ともいえるチョコレートケーキだ。
アレルギー料理研究家 上田まり子さん：
食べられない方たちが一緒に食べている時に、心から笑えないのではないかと思って。みんな一緒においしいって食べられることが一番の理想だなと思って、その思いだけでやってきています
食に制限がある人もない人も、みんな笑顔に…。その第一歩ともいえるチョコレートケーキは、2月中旬から大手百貨店・三越伊勢丹のオンラインショップで販売される。
（TSKさんいん中央テレビ）
