北京五輪で銅メダルに輝いた宇野昌磨選手がかつて練習をしていた、名古屋市の「大須スケートリンク」。北京五輪で盛り上がったフィギュアスケートの聖地を取材すると、スケートを楽しむ親子から五輪を夢見て練習をする子供まで、氷と触れあう人たちの姿があった。
「トリプルアクセルやる」五輪を見てリンクを訪れる子供たち
名古屋市中区にある「名古屋スポーツセンター」は、「大須スケートリンク」の名で親しまれ、スケート教室からプロのフィギュアスケートの練習まで、多くの人が訪れる。（滑走料 大人1400円、中高生1200円、子供800円）
午前9時50分。開店前からできた行列には、親子連れの姿が目立った。
母親（30）:
娘がスケートしたいって、テレビで見て。ひらひらの衣装に憧れたみたい
女子小学生（9）:
テレビを見ていて楽しそうだなって。メダルとか取っていて、きれいだった
会社員の男性（59）:
オリンピックを見ていて、子供が「トリプルアクセルする」って
午前10時に開店すると、お客さんが次々とリンクへ。
スケートは30年ぶりというお母さんは、スケート初挑戦の娘と訪れた。最初は何度も転び、手すりにつかまりながらだったが、1時間もするとかなり上達。お母さんも感覚を取り戻したようだ。
母親（40）:
もうヘトヘト。明日、筋肉痛になります
娘（9）:
いっぱい転んで痛かったけど、結構できるようになった
ここはフィギュアスケートの原点…アイスダンスを楽しむ男性
リンクには軽やかな滑りを見せる年配の男性の姿があった。木村博似さん（68）は、大学時代にフィギュアスケートの選手として国体に出場。
木村博似さん：
40歳過ぎて子育ても落ち着いて、学生の頃やっていたスケートをやろうと…
フィギュアスケートは引退したが、40歳でアイスダンスに挑戦。教室で一緒だった女性とペアを組んだ。
木村博似さん：
アイスダンスって男子がいない。ダンスやりたい女性はすごく多いからモテモテ。こんな楽しい世界はない
その腕前は、片足でバランスをとったり、ターンを入れたりと実に軽やか。68歳、生涯現役だ。
木村博似さん：
伊藤みどり、浅田真央、村上佳菜子も宇野昌磨も、みんな知っている。オリンピックにフィギュアスケートを作ったのは、ここが原点のような気がしてならない
1953年にオープンした「大須スケートリンク」は、愛知県で初めて一年中スケートが楽しめるリンクとして一躍人気となった。
山田満知子コーチ指導のもと、フィギュアスケート日本人初の五輪メダリストの伊藤みどりさんをはじめ、浅田真央さん、宇野昌磨選手と、このリンクから世界のトップスケーターを輩出した。
病院勤務で新婚旅行に行けず 夫婦初のお出かけ
午後3時。午後も次々とお客さんはやって来る。仲睦まじく滑るのは、2日前に結婚式を挙げたばかりという夫婦。スケートが結婚式後の初めてのお出かけだという。
医療従事者の女性（26）:
オリンピックを見ていて、久しぶりに滑りたいねって
新婚旅行は、コロナ禍もあり未定に…。
医療従事者の女性（26）:
企画はしていたんですけど、病院勤務なので（旅行は）やめようって。どんどん救急の患者さんが来るので大変
午後4時半、お客さんが見つめる先には「製氷車」があった。デコボコになった氷の表面をブレードと呼ばれる刃で薄く削り、水をまき凍らせていく。リンクの広さは縦26メートル、横56メートル。一日3回行われ、作業時間は10分ほど。
北京五輪のフィギュアショートで羽生選手がリンクの穴に乗り、4回転サルコーが1回転に。製氷作業が話題になった。
「夢は五輪で金」貸し切りのスケート教室で練習
午後6時。一般客の受付が終了すると、貸し切りのリンクで本格的なスケート教室が開かれる。五輪は子供たちに夢と感動を与えた。
アイスホッケーをする小学生（12）:
アイスホッケーを3試合くらい見た。レベルがめっちゃ高くて尊敬。パックを敵が取ろうとしているときによけて、ゴール決めるのが気持ちいい
フィギュアスケートをする女の子（11）:
トリプルアクセルを跳べるように練習。（夢は）オリンピックに出て優勝することと、羽生君みたいに前人未到の技をやりたい
フィギュアスケートをする女の子（12）:
ソチで浅田真央さんのフリーの完璧な演技を見て、いつか自分がオリンピックで演技するのを想像して練習しています
大須スケートリンクから、未来の五輪メダリストの誕生に期待がかかる。
（東海テレビ）
