寒い日には温かいお風呂が一番だが、福岡の家庭では突然お風呂に入れなくなり、困っている人がいる。一体何が起きているのか。
突然の故障 修理業者に連絡も「順番待ち」
福岡市西区のマンションに住む女性。あるトラブルに頭を抱えている。

女性(60代):
今は鍋にお湯を沸かして、これで食器を洗ったりしています。蛇口を開けたら普通にお湯が出る状態、生活に慣れているから大変です

突然、お湯が出なくなったのは2月に入ってから。

なぜお湯が出なくなったのか。
女性(60代):
こちらが給湯器なんですけど…
――壊れている?
女性(60代):
はい、見た目では全くわかりませんけど

給湯器の突然の故障。女性は普段の生活に一刻も早く戻れるよう、何軒もの修理業者に連絡を入れた。
女性(60代):
業者によっては、去年7月に頼まれている分が、まだ入らないと言われていた。順番待ちと言われて1カ月先なのか、2カ月先なのか、3カ月先なのか…全くわからないという状況

コロナ渦と半導体不足で…給湯器の品薄続く
こちらの男性は、シャワーから出る温水に手をかざし、ほっとした表情だ。
遠山精英さん:
この温かい感じがすごく幸せでした。今まで冷たいのしか出なかったので、温かくなって感動しました

福岡市中央区に住む遠山精英さん。2021年12月から頭を抱えてきた問題がようやく解消し、安堵した1人だ。突然、自宅のお湯が出なくなった遠山さん家族3人は、2週間もの間、銭湯に通ったという。

その原因は…。
遠山精英さん:
こちらですね、まだ新品です
1月に設置されたばかりの真新しい給湯器。

給湯器の故障で、真冬にお湯が使えない暮らしを強いられた遠山さん。すぐに業者に依頼したが、かかる時間に驚いた。
遠山精英さん:
最低でも2カ月はかかると言われて。2カ月ってどういうことって思って。2日の間違いじゃないかと思ったぐらい

運良く別のメーカーの新品が1週間ほどで見つかり、2カ月待ちは免れた。給湯器は今、ある理由で品薄が続いている。
福岡市博多区にある、西部ガスのショールーム。様々なメーカーの給湯器が展示されているが、品薄を知らせる張り紙が目立つ。

西部ガスショールーム ヒナタ福岡 五島寛之館長:
部品の供給状況が悪化したというところで、なかなか納期が分からないというところもあって、このようなチラシを貼らせていただいた

業界再大手のガス給湯器メーカー「リンナイ」などによると、2021年7月、給湯器の部品工場があるベトナムで新型コロナウイルスの感染拡大を受けたロックダウンが行われた。

さらに世界的な半導体や樹脂の不足により、供給が追いついていないのだという。製品によっては納期が注文の2~3カ月先になる見通しだとしている。

西部ガスショールーム ヒナタ福岡 五島寛之館長:
いつ部品の供給が解消できるのかと。できるだけ早く解消して、1日でも早く給湯器をお届けできればと思います
寿命は10年程度 ”こまめな点検”で難局乗り切る
品薄に頭を抱えるのは、街の電器店も同じだ。
カノデンキ スタッフ:
給湯器ですね。わずかしか在庫がございませんが、お見積もりにお伺いいたしますよ

福岡市東区にあるこの店にも、給湯器を探す問い合わせが相次いでいた。例年なら需要が高まる冬場には在庫を増やすとしていたが…。

カノデンキ 松岡義展さん:
在庫はこちらの2台のみになります。以前は5台くらいあったんですが、今はもう精一杯手配してこの状態ですね。希望の商品は、だいたい3カ月くらいは待っていただくような状況です。過去にないくらい長いです
数少ない在庫も家のつくりによっては設置ができず、断らざるを得ないのが現状だ。そこで、地域密着型のこの店では、給湯器で困る人を少しでも減らすための取り組みを進めている。
カノデンキの社長が訪れたのは福岡市内の住宅。訪問の目的は、顧客の給湯器の点検だ。
カノデンキ 古藤充社長:
この辺が濡れていたりとか、音が気になったりとかない?

住民:
今のところそれはないね。音は優しいしね。今のところないですね
カノデンキ 古藤充社長:
半導体不足で給湯器の部品とか商品もなくて、それで点検させてもらいました
一般的に給湯器の寿命は10年程度。そのため、ちょうど10年目のこの家をはじめ、給湯器を長く使っている顧客のもとを点検して回っているのだ。
訪問を受けた顧客:
悪いときがあれば、電話をかけたら、すぐに来てくれる。その点は助かっているわけですよ

品薄が続く以上、こまめに点検する地域密着のサービスで難局を乗り切るしかない。
カノデンキ 松岡義展さん:
特に冬場というのは給湯器の稼働率が上がりますので、例えば給湯器の周りが水漏れしてないか、漏電はないか、お客さま自身でも、少し気づかれる部分を見ていただければと思います

世界的な半導体不足と新型コロナウイルス感染の急拡大が相まって、需要が高まる冬場に見舞った給湯器の品薄問題。メーカーによると、安定供給にはまだまだ時間がかかるという。
(テレビ西日本)