婚活とホテル事業のマッチング

ホテル版の結婚相談所が誕生する。出会い、結納、結婚式はもちろん、幾久しく家族の人生に寄り添うという。

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2月24日、ホテルニューオータニが開いた事業戦略発表会。その席で、3月から新たに婚活事業「マリッジコンシェルジュ」を開始すると発表した。

ホテルニューオータニ・清水肇総支配人:
これまでのホテル業のビジネスモデルの定義を新たに考え直すときにきているのではないかと

5万組以上の結婚式を行ってきたホテルニューオータニが、会員数7万人以上にのぼる日本結婚相談所連盟のマッチングサービスと連携し、ホテルが2人の出会いをつないでいくというホテル版の結婚相談所。

出会いのお手伝いをするマリッジコンシェルジュは、ウェディングプランナーとして実績を積んできたホテルスタッフが担当する。

お見合い写真はパワースポットとしても人気の趣あるホテルの日本庭園で、プロのカメラマンが撮影。ホテルならではのサービスや施設を活用できる。

2人の出会いから、結婚、七五三や金婚式までサポート。お客様の人生とホテルが長く寄り添おうというものだ。

ホテルニューオータニ マリッジコンシェルジュ・若杉知文子さん:
(コロナ禍で)出会いというのが非常に少なくなってしまって、お客さまから『こんな時だからこそ結婚をしたい』、『出会いたい』という要望をいただきました。いままで5万組の結婚式の門出を手伝ってきて、その接客スキルを"出会い"からも役に立てないかということで…

ホテルニューオータニは2021年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、宿泊客の半分を占めていたインバウンドが消失。宴会や披露宴のキャンセルも相次いだという。

宿泊、宴会レストランなどを柱にした現状のビジネスモデルでは、これからの経営が厳しくなるという判断で始める新規事業。婚活とホテル事業のマッチングに注目だ。

マッチングサービスの需要高まる

Live News αでは経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

三田友梨佳キャスター:
伝統を誇るホテルによるマリッジコンシェルジュ事業、どうご覧になりますか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
開業以来5万組以上の結婚式をサポートしてきたニューオータニが、婚活サービス大手のIBJをパートナーに迎えての新規事業は、互いの強みを生かせる取り組みだと言えます。ある意味、結婚前の信頼ある 「出会いの場」を提供してきたIBJと老舗ホテルがコラボすることで、成婚後のご結納、結婚式はもちろん、様々な家族の節目でホテルを利用することが考えられます

三田キャスター:
ただ、結婚というカタチを選択するカップルの数は減少傾向にあるようですが、これについてはいかがですか?

馬渕磨理子さん:
幸せのカタチは様々なので、誰もが自分にとって最良の選択をできる環境があれば良いなと思います。厚生労働省の調査によると過去10年で婚姻数は確かに12万件以上減少しています。ところが、結婚する意思のある未婚者の割合は1990年代からほとんど変化がないというデータがあります。つまり、表面的な結婚の数字は減少傾向ですが、結婚の意思を持っている人は減ってはいません

三田キャスター:
感染の拡大により自宅で過ごす時間も増え、一緒に人生を歩んでいくパートナーについて考えた方も多いかもしれませんね?

馬渕磨理子さん:
IBJが運営する「日本結婚相談所連盟」を介しての結婚は2021年は過去最多となる10402組です。これは日本の婚姻カップルの2%、つまり50組のうち1組は日本結婚相談所連盟のアシストを受けたことになります。以前、IBJの石坂社長とお話しする機会があり、結婚に至るカップルの割合をさらに5%に引き上げたいとおっしゃていました。コロナ禍で人と人とが直接会う機会が激減し、出会いの場を作る「マッチングサービス」の需要はさらに高まっているといわれています。これまで出会いの機会を待ったり、結婚式も開きにくい環境が続いていましたが、経済の再開に向かうなかでマリッジ事業の広がりが期待できるように思います

三田キャスター:
長引くコロナ禍で直接出会うことが難しい今、またひとつ、出会いの選択肢が増えそうです

(「Live News α」2月24日放送分)