沖縄県内で、新型コロナウイルスの第6波の影響による修学旅行のキャンセルが相次いでいる。まん延防止等重点措置が解除されたあとも、全国の流行状況に左右される観光業の回復はいまだ不透明だ。

1~2月の修学旅行は全てキャンセル

リーディング産業である観光にとっての修学旅行の重要性と、これからの沖縄観光について、那覇市松川にあるホテル「ノボテル沖縄那覇」の坂本総支配人に聞いた。

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ノボテル沖縄那覇 坂本公敏総支配人:
1月9日にまん延防止等重点措置がスタートして、そこからすごかったですね。1週間ぐらいで大きく1月の数字は落ちました

新型コロナの第5波が去って予約が増えてきたところにオミクロン株が流行し、まん延防止等重点措置で1月と2月は予約のキャンセルが相次いだ。特に影響が大きいのは修学旅行。

ノボテル沖縄那覇 坂本公敏総支配人:
通常は(修学旅行は)10月から12月が一番多いんですけれども、この中でやっぱり修学旅行に来れずに延長されてとか、今年の1月、2月、3月もかなりの数が入っておりました。しかし、1月と2月の修学旅行は全部なくなりました

沖縄県バス協会によると、1月の修学旅行の予約は約250校あったが、1月中旬には9割以上がキャンセルに。2月と3月についても状況に差はないとみられている。

重点措置の解除でレストランや宴会場など、県民の利用が増えることを期待しているが、ホテルの売り上げの多くを占める宿泊がすぐに盛り上がるとは見込めない。

ノボテル沖縄那覇 坂本公敏総支配人:
発地の東京や大阪などが、まだまだ重点措置が続くという状況下で、現地を出れないという状況がありますので。1割ほど残っている3月の修学旅行もどうなるか、まだわからないという状況です

若い世代に向け SNSでホテルの魅力や観光情報を発信

沖縄観光にとって大きな意味を持つ修学旅行。少子化が進む中で修学旅行に来てもらい、観光客の量を確保するとともに、そこからリピーターつなげるための努力が、観光業にいま求められている。

ノボテル沖縄那覇 坂本公敏総支配人:
コロナになる前は、量より質をとりにいきましょうという話になったんです。オーバーツーリズムという言葉が生まれて、消費単価を上げたり滞在日数を増やすことが大事だと。それがコロナになって、量も質も上げていかなくちゃいけない。2030年にはある程度、人口の大きな波がどんどんピークアウトしてきますから、若い層を取りに行かなくちゃいけないというとこだと思います

ノボテル沖縄那覇では、修学旅行以外にも若い世代の獲得に向けてSNSでの発信に力を入れている。

ノボテル沖縄那覇 坂本公敏総支配人:
随時新しい情報を提供していく。やはりそれに対して若者の方っていうのは反応されます。(季節的に)プールは入れないけれど、そこで写真を撮られるんです。写真をインスタにあげてくださったりして拡散していくという部分がありますから、我々としてはホテルで今やっていることなどの情報をSNSに乗せて広められるか。これが一番若い方に来ていただいている部分だと思います

また、ホテルの魅力だけでなく観光情報の発信をすることも重要と話す。

ノボテル沖縄那覇 坂本公敏総支配人:
「こういう変わったものが、ここに行けばあるよ」というのを発信していて、常に新しい情報を提供することを心がけています

流出した人材の確保に不安 県は補助金も

観光客が以前のように訪れるのにはまだ時間がかかる。それを踏まえた上でも課題となるのが、人材の確保だ。

りゅうぎん総合研究所は「コロナ禍で観光業界から流出した人材不足の影響は大きく、特に2022年の前半は受け入れ態勢に懸念が残るため、体制の再構築が急がれる」としている。

ノボテル沖縄那覇 坂本公敏総支配人:
今年、新入社員を我々も数人採用しようと思ったんですけれども、結果として採用できたのは数名でした。これから回復して(旅行客の)量をとっていかなくちゃいけないとなった時、それを受ける受け皿、受け入れ体制ができているの、そこは非常に不安を感じます

沖縄県は新型コロナで落ち込んだ旅行需要の回復に向け、GoToトラベル事業に充てる約370億円を2022年度予算案に計上している。

ノボテル沖縄那覇 坂本公敏総支配人:
県としての補助金を入れないと(他の都道府県に)負けてしまうところがある。やはり生き金として、そういうところに費やしていただきたいと思いますね。じゃないと負けます

(沖縄テレビ)

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