石川県内で新型コロナ患者が確認されてから2年。コロナとの戦いは続いている。
第1波から最前線で治療にあたっている医師が、医療現場が今抱える課題について語った。

岡島正樹医師:
まだ2年…、もう2年。どうなんでしょうね。でも長いです、長いですね。もうはるか…ものすごく長いですね

コロナとの戦いは「ものすごく長い」と語る岡島正樹医師
コロナとの戦いは「ものすごく長い」と語る岡島正樹医師
この記事の画像(11枚)

金沢大学附属病院救急科・岡島正樹医師は2年前の2020年、病院内で結成された新型コロナ専門医療チーム「COVSAT」のリーダーとして、当時、未知のウイルスだった新型コロナと命懸けで戦った。

最前線で治療にあたってきた岡島医師
最前線で治療にあたってきた岡島医師

岡島正樹医師:
人類が初めて遭遇する病気ですので、果たして治療ができるのかと。自分がやるんだと

思いを語る岡島医師(2020年)
思いを語る岡島医師(2020年)

第1波、第2波で多くの重症患者の命を救った岡島医師は現在、専門の救急科で命と向き合い続けている。

全てが「コロナ」第一に…救命救急現場の悩み

そんな岡島医師がコロナ禍の救命救急現場で感じている悩み。それは、患者が救急搬送されてくるたびに防護服で完全防備し、どんな患者にも、まずPCR検査を行わなければならないなど、全てが「コロナ」第一にならざるを得ないことだ。

岡島正樹医師:
今までに比べて、ひと手間必ず入れなくちゃいけないということで。一秒を大切にする現場では、今までとは違う治療経過になるとは思います。救急隊はもっとすごくシビアで、「秒を削る」ことに、本当に全身全霊を傾けているので…

さらに岡島医師は続ける。

岡島正樹医師:
「コロナかコロナじゃないか」がわかるまで、患者さんは(処置室から)動かせないんですね。そうなると次の患者さん、次の救急車を、この患者さんがそこの場所から動けないがために入れることができないと

岡島正樹医師:
で、「ごめんなさい」と。「次当たってください」と。これは、患者さんのこと、あるいは救急隊のことを思うと、やはり極めて辛い

「正しく恐れる」ためのメッセージは…

未知のウイルスだった2020年、コロナは、まさに「生きるか死ぬか」の病気だった。

しかし、ワクチンや新たな治療薬の開発により、この2年で新型コロナは「治療できる病気」へと変わってきた。

そんな中、変わらないのが、私たちに植え付けらえた「恐怖心」だ。

岡島正樹医師:
「コロナの疑いがある」ということで、症状が軽くても救急車を呼んでしまうと。病院は当然、そういう患者さんが増えれば増えるほど破綻をするわけですよね

コロナ対応の難しさを語る岡島医師
コロナ対応の難しさを語る岡島医師

岡島正樹医師:
逆にですね、すごくもう高熱が出ていて、息も絶え絶えになっていると。だけどコロナじゃないと、「コロナじゃない、よかったね」と。しかし、実はその人には重大な高熱を引き起こさせるような、重大な疾患が残っている。コロナの後ろに隠れている疾患を見逃す可能性があると

新型コロナは、ただの風邪ではない。
しかし、新型コロナよりも命を落とす病気はたくさんある。
コロナを「正しく恐れる」ために、人々にどうメッセージを発すればいいのか。

岡島正樹医師:
この第6波が本当に難しいんです、伝え方が。伝え方が非常に誤解されやすく伝わってしまうので…

3年目を迎えるコロナ禍。岡島医師は、悩みながら現場に立ち続けている。

(石川テレビ)

石川テレビ
石川テレビ

石川の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。