約1年半ぶりに最高値更新

ウクライナ情勢の緊張が高まる中、「安全資産」とされる金が一段と値上がりし、最高値を更新した。ロシアによる軍事侵攻への緊張の高まりを受け、金融市場全体に警戒感が広がる中、金が一段と買われている。

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金の先物取引は、取引の指標となる価格が一時、1グラムあたり7,040円台となり、およそ1年半ぶりに最高値を更新した。

このところ株式相場が下落し、世界的なインフレへの懸念が広がっていることも投資家が「安全資産」とされる金に、資金を移す動きを強めているとみられる。

市場関係者からは、「ウクライナ情勢の緊張が続いているうちは、さらに値上がりする可能性もある」との声も出ている。

地政学的リスクより「インフレリスク」

三田キャスター:
経済アナリストの馬渕磨理子さんに聞きます。
金の価格の上昇、どうご覧になりますか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
「地政学リスク」が高まると安全資産である金の価格が上昇するのは歴史的に見ても教科書的な値動きです。

いま、ウクライナ情勢の緊迫が金の価格上昇を含め、様々なマーケットに影響を与えています。
例えば、原油価格の高騰を加速させ、さらにロシアとウクライナは小麦や大麦などの主要輸出国であり、世界的な食品価格のさらなる値上げも心配されます。

三田キャスター:
今後の金の価格についてもウクライナ情勢を注視する必要がありそうですね?

馬渕磨理子さん:
「有事の金買い」という言葉があります。
「地政学リスク」が高まると金は買われますが、逆に、リスクが去り「平時」に戻れば、金の価格は落ち着く傾向があります。
今後の金の価格を考えるポイントは、「地政学的リスク」よりも気になるのは「インフレリスク」です。

例えば、いま米国は感染拡大からの反動で経済が大きく回りだし、物価高、インフレへの懸念が高まっています。
インフレが続くことによるリスクを避けるために金が買われる可能性があります。

三田キャスター:
インフレが続くことで様々な投資対象がある中でも金が買われる理由は何ですか?

馬渕磨理子さん:
そもそもインフレとは、モノの価値が上がる一方で、通貨の価値が下がる通貨安のことです。
インフレが進むことにより、通貨で資産を持ち続けていると価値が目減りすることに不安を感じる投資家が、金を保有する流れもすでに一部で出てきています。

これは米国が利上げしても物価高にブレーキがかからないのではないかという 「インフレリスク」への懸念が市場で高まっていることの表れでもあります。

ゴールド、株、債券、あるいは暗号資産など様々な投資対象があります。
世界情勢によってその時々に最も安全であり、リターンが得られる可能性があるものに資金は動くということです。

三田キャスター:
どこまで金の価格上昇が続くのか、2つのリスクの行方が注目されます。

(「Live News α」2月21日放送分)