短い足にずんぐりとした体、つぶらな瞳。日本で飼育されているぬいぐるみのようなフォルムのウォンバットが、あるギネス世界記録に認定された。

それが、日本で2番目に小さな動物園とされる「五月山動物園」(大阪府池田市)のオスのウォンバット・ワインくんだ。

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ワインくんは保護されてから32年が経ち(年齢は33歳)、世界最高齢となったことで、「史上最高齢の飼育されたウォンバット」そして「存命中の最高齢の飼育されたウォンバット」の2つのギネス世界記録に2月11日に認定された。

1989年11月、オーストラリアで生後10カ月の時に交通事故にあった母親の袋内にいたところを保護。翌年にオーストラリアから五月山動物園が譲り受けた最初の3頭のうちの1頭だという。

なお現在、ウォンバットは日本国内で五月山動物園に4頭、長野県の茶臼山動物園に2頭と計6頭が飼育されている。

おっとりとした性格のワインくん

ウォンバットの33歳というのは人間で換算すると100歳を超える年齢となるそうだが、そもそもウォンバットの平均寿命とはどれくらいなのだろうか? また、ワインくんの長寿の秘訣は何かあるのだろうか?

五月山動物園のウォンバット担当飼育員・遠藤太貴さんに話を聞いてみた。


ーーそもそもウォンバットというのはどのような動物なの?

生息地域は、オーストラリア南東部及びタスマニア島です。野生では草、根、樹皮などを食べており、五月山動物園ではイネ科の青草、サツマイモ、人参、カボチャ、リンゴなどを食べています。大きさは、体長約1m、体重15~35kgです。

特長/特徴は、コアラやカンガルーと同じ有袋類。頑丈で鋭い爪を持ち、前足で穴を掘って後ろ足で掘った土を押し出し、巣をつくります。日中は巣穴で寝ていることが多いです。歯はずっと伸び続けるので普段から硬いものをかじって歯を削っています。お尻は硬い軟骨で覆われており、外敵に襲われそうなときは巣穴に顔を突っ込んで、お尻でガードします。手足が短くずんぐりむっくりとした体形ですが、走ると時速40kmともいわれています。


ーーウォンバットの平均寿命はどれくらい?

飼育下での平均寿命は、20~25年と言われています。

ーー2つのギネス世界記録に認定されたワインくんについて教えて。

ワインはおだやかで、おっとりとした性格です。普段は朝、放飼場(外)の扉を開放すると起き出し、餌を食べだし、放飼場を歩き回ってその後は日光浴をしながらお昼寝。夕方、起き出してまた歩き回ります。そして、閉園時間に舎内(部屋)に入り餌を食べてと規則正しい生活を送っています。他の子に比べて寝ていることが多いです。

日本で2番目に小さな動物園が「世界に誇れる動物園」に

ーーワインくんの長寿の秘訣は?

正直わかりませんが、おっとりとした性格と山の中にある動物園ですから、自然の中でストレスなく過ごしているからではと思います。


ーー長寿だからこそ、飼育員が気を付けていることはある?

足腰が少し弱くなっているので、できるだけ段差を解消できるようにしています。また、食べ物も食べやすいように他のウォンバットよりも細かく野菜を切っています。

ーー2つのギネス世界記録に認定されたことをどう思っている?

日本で2番目に小さな動物園が「世界に誇れる動物園」になったことで、みな喜んでいます。これからも動物たちが長生きできる、暮らしやすい環境を守っていけるように努力することが必要と考えています。


ーー認定されたことで反響や影響はあった?

報道関係の取材を受けていることで、初めて来るお客さんが増えています。そして、ウォンバットを初めて知って、ファンになってくれた方も増えています。

ちなみに、ギネス世界記録に認定されたワインくん自身は、認定された後も変わることなく普段通りのんびり過ごしているという。

規則正しい、ストレスのない生活をしているというワインくん。長寿の秘訣はもしかしたら人間と同じなのかもしれない。これからも元気に記録を伸ばしていってほしい。

(画像提供:五月山動物園)

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プライムオンライン編集部
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