宮崎県川南町でユリを生産している農家。原油価格の高騰により、経費がかかるなどの影響を受けている。オリジナルブランドのユリで逆境を乗り越えようとしている生産者を取材した。

ユリの出来は「十分すぎるくらい」

宮崎県によると、2019年には川南町や日向市を中心に広さ34.7ヘクタールでユリが栽培されていて、生産額は約10億8000万円となっている。

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川南町の永友和美さん(58)は、30年ほど前からユリを栽培していて、現在は約2ヘクタールの農業用ハウスで「オリエンタルユリ」という種類を生産している。

永友さんが栽培する「オリエンタルユリ」
永友さんが栽培する「オリエンタルユリ」

永友和美さん:
こういうのがベストですかね。

ユリ農家・永友和美さん
ユリ農家・永友和美さん

――2022年の出来はどうですか?

永友和美さん:
とっても良いです。十分すぎるぐらいできていると思います

2022年のユリの出来について語る永友さん
2022年のユリの出来について語る永友さん

ブランド化まで3年…水分管理を徹底

永友さんの農場にはベトナムの技能実習生5人が住み込みで働いていて、ユリ栽培の貴重な戦力になっているという。

永友和美さん:
ベトナム人技能実習生が植え付けから一生懸命頑張ってくれるので、そこもポイントの1つかなと思います。今はなくてはならない存在になっています

貴重な戦力だというベトナムの技能実習生
貴重な戦力だというベトナムの技能実習生

永友さんは、10年ぐらい前からオリジナルブランドのユリの栽培に取り組んでいて、独自の温度管理や水分管理などを徹底して工夫。市場関係者や消費者に喜んでもらえるように最高ランクのユリ「特秀」をブランド化した。

温度管理や水分管理などを徹底
温度管理や水分管理などを徹底

永友和美さん:
球根から始まって植え付けて、それから水管理をこまめにするんですけど、こまめな水管理が一番大事なポイントになってくると思います。自分でブランドと言うのは簡単なんですけど、確立するのに時間がかかりました。3年以上はかかっていると思います

暖房費へ打撃も「消費者によろこんでほしい」

ユリの栽培ではハウス内の温度を15度から18度ぐらいに保つため、11月中旬から4月頃まで暖房器具で暖めている。しかし、今シーズンは原油価格が高騰しているため経費がかかり、厳しいという。

永友和美さん:
一番ユリづくりで経費がかかるところは燃油なので、2021年からすると大体1割から2割増しぐらいの水準だと思います

原油高騰の影響でハウス室温を保つ暖房費用に影響
原油高騰の影響でハウス室温を保つ暖房費用に影響

しかし、価格転嫁を自由にできるわけではない。

永友和美さん:
私たちが花の値段を決めるわけではないので。私たちにできるのは、最後のつぼみまで咲ききってくれたら消費者の方も喜んでいただけると思うので、そこを目指して頑張っています

永友さんは、年間約50万球のユリを東京の大田市場をはじめ、全国に出荷している。

永友和美さん:
先日、東京の大田市場の方と話したけど「ふたを開けてみてビックリしました」と。「他県の産地もあるけど、それに比べてつぼみも一回り大きい」と。「だから楽しみですね」と言われました

永友和美さん:
コロナも心配ですが品質が今期は良いので、そこで緩和してくれるのではないかと。頑張っていこうと思います

ユリの花は卒業式やお彼岸などで使われ、毎年3月から5月に年間の半分以上を出荷していて、これから収穫の最盛期を迎える。

原油の高騰という逆風に負けず、消費者の笑顔を糧に。永友さんはユリを作り続ける。

(テレビ宮崎)

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