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東京・新宿駅にオープンした洋菓子店「ドゥマン・ア・トリアノン」。60年の歴史があるトリアノンが、エシカルスイーツをコンセプトに立ち上げた新ブランド。

人気商品のひとつ「ドボスアントルメ」。原料として使われているのは、ほかのケーキを作る際に出てしまうスポンジの端材。

職人・小浦一紀さん:こういうスポンジのクラム(切れ端)などを集めて、ドライフルーツをいっぱい練り込んで、そこにブランデーで少し香りをつけて楽しめるようにと。

捨てられてしまうものを価値あるものに変える。長年、職人の技とともに受け継がれてきたサステイナブルなスイーツ作り。さらに、包装紙に再生紙を利用したり、プラスチック素材のケーキピックを廃止したりするなど、お店では環境に優しい取り組みを大切にしている。

そんな洋菓子店がバレンタインに向けて手がけたのが、エシカルチョコレート。ポイントはカカオ豆へのこだわりだ。

職人・岡野好晃さん:エシカルということで、素材自体が、少し価格が高くなってしまうんですけども、フェアトレードのチョコレートを使うことによって、カカオの産地の農家の皆さんに、きっちりと利益が分配されるということを消費者の皆さんに知っていただきたいと思いました。

バレンタインチョコレートが、カカオ豆の原産地を知るきっかけになれば。1つ1つのスイーツに消費者に伝えたい思いが込められている。

トリアノン洋菓子店・満岡洋介代表:全面的に押し出すのではなくて、気がつけば日ごろお買い求めいただいているケーキやお菓子が、そういう(エシカルな)ものだったっというところから、お客さまがスタートしていただければ、非常にいいのかなと。

小澤陽子キャスター:このニュースについては、マーケティングアナリストの渡辺広明さんにうかがいました。エシカルというのを、身近に感じられるような、とても素敵な例だと感じましたが、渡辺さんは、どう感じられましたか?

マーケティングアナリスト渡辺広明氏:世の中に、SDGsが浸透する中、商品開発など、商談の中でも、エシカルな取り組み、開発要件として当たり前になりつつあるんですね。今回のトリアノンの取り組みは、商品特性に合わせて、食品ロス、フェアトレードなど、様々なエシカルな取り組みが展開されていて、素晴らしいのではないかなと思います。フェアトレードは、消費者としても、その商品が、いつ、どこの、誰によって作られているかのトレーサビリティーにもつながって、顧客にとっては、安心で理解、納得して買い物できる環境にもなるのではないかと考えます。

小澤陽子キャスター:本当に、良いことづくめのスイーツということですよね。

マーケティングアナリスト渡辺広明氏:そうですね。社会貢献や環境保全を意識したエシカルの食品は、コスト面や人材、やむを得ない理由で、品質面で妥協せざるを得ないこともあるんですね。でも、今回は、こだわりを持った職人が、自らエシカルな取り組みを行うことで、おいしく高品質な商品が実現して、エシカルとの相乗効果を生み出しているのではないかと、そういう風にも思います。また、職人の熟練した技術が、ストーリーとともに、届けられるので、顧客満足が向上し、エシカルが、より身近に感じられるようにもなってくるんじゃないかと思います。

マーケティングアナリスト渡辺広明氏:昨今は、スイーツは、自分へのご褒美として人気になっているんですが、エシカルが加わることによって、商品に携わる人全てのご褒美になるというのもポイントで、今後、このようなエシカルスイーツが、進化していくことを、大変期待しているんですね。

小澤陽子キャスター:私たち消費者も、これは地球に優しいのか、この食材の向こうにいる人は、どんな生活を送っているのかなど、買い物をする時に、ちょっと考えるだけで、誰かを支えることにつながるかもしれません。物を作る側、消費する側、両方で、こうした優しい動きというのが、もっともっと広がるといいなと思います。

(「Live News α」2月11日放送分)