農林水産物・食品の輸出額が年間で初めて1兆円を超えた。

農林水産省が発表した去年1年間の農林水産物・食品の輸出額は、1兆2385億円と、前の年に比べ25.6%増え過去最高を更新した。

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中国やアメリカなどで外食需要が回復するなか、多くの品目で輸出額が伸び、「ホタテ貝」が104%増えて、およそ2倍になったほか、「牛肉」も86%の増加となった。また、「ウイスキー」が70%増えたほか、「日本酒」も66%増加し、大きな伸びを見せた。

政府は、輸出額を2025年までに2兆円、2030年までに5兆円にする目標を掲げている。

小澤陽子キャスター:このニュースについては、デロイト トーマツ グループの松江英夫さんに話をうかがいます。農林水産物・食品の輸出額が、過去最高を更新ということですが、このニュース、どのようにご覧になっていますか?

デロイト トーマツ グループCSO松江英夫氏:私は、日本の農林水産業に携わる方の戦略が実りつつあるなと嬉しく思って見ていました。実際、強さの秘訣というのは、高付加価値を支えるノウハウにあるという風に見ているんです。例えば、ホタテ貝も、養殖をはじめとする生産、そして用途に合わせた加工、それを瞬時に冷凍して、しっかり輸送する、一連の工程の中では、高い技術力とノウハウ、これは不可欠なんですね。こうして単に原料を輸出するのではなくて、そこに無形のノウハウによって、質を高めていく、ここに、まさに日本の強みがあるんじゃないかと見ているんです。

小澤陽子キャスター:そうした強みを踏まえた上で、今後、さらに成長するためには、どういったことが必要になってくるんでしょうか。

デロイト トーマツ グループCSO松江英夫氏:はい、高品質を、いかに量産化できるか、ここがテーマなんですね。具体的には、作り手の側にとっては、高齢化が進んで、生産人口が減っていく中で、いかに高品質の物を作るか、これは省力化というのが大きな課題になりますし、逆に、需要を開拓する側においては、海外で日本食を普及させる上で、バーチャル空間を使いながら、日本食の体験価値を増幅させられるかどうか、ここにポイントがあると思うんです。

小澤陽子キャスター:体験価値を増幅というのは、具体的にはどういうことでしょうか?

デロイト トーマツ グループCSO松江英夫氏:海外で日本食を広げていく上では、リアルの店舗を広げるだけではなくて、バーチャルの空間、これをいかに活用するか、例えば、オンライン上で、日本のアニメのキャラクターを使いながら、日本食を紹介していく、これによって関心を引きつけて、ECサイトで物を売る、こういったマーケットを開拓していく動き、これはまだまだ有望なんですね。こういったジャパンクオリティーを量産化していく、こういった動きの中で、農林水産業の明日を作る。こんな動きに期待したいと思います。

小澤陽子キャスター:日本製の機器などの技術だけではなく、こういった農林水産物の技術にも信頼感があるというのは、日本人として、とても誇らしいなと感じました。アニメなども、海外で、とても人気が高いので、そういった機会も生かして、日本が誇るジャパンクオリティーを、どう発信していけるのか、注目したいと思います。

(「Live News α」2月4日放送分)