2月16日、フィギュアスケート女子シングルの公式練習に姿を見せたのはドーピング問題の渦中にいるROC=ロシアオリンピック委員会のカミラ・ワリエワ選手(15)。

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練習ではトップに立ったショートプログラムでの好調を維持し、4回転を含めたジャンプはほぼノーミス。しかし、練習後も表情は硬いままで終始うつむきながら会場を後にした。

心臓の状態を改善する“2種類の薬”が新たに検出

こうした中、2月17日に行われるフリーを前にドーピング問題に関する新たな情報。ニューヨーク・タイムズによると2021年12月のドーピング検査でワリエワ選手の検体から、禁止薬物の「トリメタジジン」の他に心臓の状態を改善する“2種類の薬”が新たに検出されたという。

2種類の薬は「ハイポキセン」と「L―カルニチン」。

共に禁止薬物ではないのの、記事にはアメリカの反ドーピング機関の幹部による驚きの指摘が…

反ドーピング機関の幹部:
使用が認められている2種類と禁じられている1種類(トリメタジジン)を組みあわせることで、持久力向上や酸素を効率よく使うことができる可能性がある

さらに、モスクワ市内の薬局に向かうと3つの薬が処方箋なしで買えた。ロシア国内では簡単に購入できる 「ワリエワ選手から検出された」と報じられた3種類の薬。

「祖父のグラスを使って薬が混入」と主張

これらの薬物を実際に服用していたのか?9日に行われたロシアの反ドーピング機関による聞き取り調査に対する、ワリエワ選手の母親と弁護士の証言とされる音声データ。

ワリエワ選手の母親:
医師の検査結果があります

ワリエワ選手から新たに検出が報じられた「ハイポキセン」を服用したかについて質問されると…

ワリエワ選手の母親:
彼女は心臓にわずかな変化があります。スポーツ医にこの薬(ハイポキセン)を処方されました

さらに、禁止薬物の「トリメタジジン」については…

ワリエワ選手の弁護士:
祖父と同じ食器を使ったことで薬が混入しました

ワリエワ選手の母親:
彼(祖父)はそれを(心臓に)雑音がある時に服用しています。(トリメタジジンを)服用するので薬を携帯しています。ですので祖父がこの薬を持って家に来て、弁護士が言ったとおりのことが起きた可能性もあります

禁止薬物の「トリメタジジン」を服用したのは、心臓に持病を持つワリエワ選手の祖父と説明。その祖父と同じグラスをワリエワ選手が誤って使ったことで、薬が体内に入った可能性があると主張しているという。

専門家「薬とグラスが接するのか疑問」

この主張に対し、スポーツ仲裁裁判所の仲裁人を務める早川氏は…

スポーツ仲介裁判所仲介人・早川吉尚さん:
(トリメタジジンが)検出されるということはかなりの量を取らないとならないが今回は錠剤なので通常、口の中に入れて水で流し込むのが普通。そもそも薬とグラスが接するのかという自体がまず疑問

また、あくまでワリエワ選手のケースは調査中としながらも「グラスを誤って使った」という主張を巡ってはこんな指摘も…

スポーツ仲介裁判所仲介人・早川吉尚さん:
実は2006年にアルゼンチンのテニス選手の事件で同じグラスを奥さんと使ったと言うことで薬が誤って混入したということが認められてしまったケースがありまして以来、この手の説明をしてくる陽性反応の競技者は少なからずいるのが現状です

選手やメディアからも疑問の声

さらに、ワリエワ選手側の主張には海外メディアからも疑問の声。スペインメディアは「ワリエワの言い訳」「クリスマスに祖父と同じグラスで飲んだ」との記事を掲載。

またドイツメディアも「クレイジーな言い訳」「歴史に残るかもしれない」と報じている。

さらに「AFP通信」によると ショートプログラム後、アメリカ代表のアリサ・リウ選手は一連の問題に対して「ドーピングをしている選手がクリーンな選手と競うのはフェアじゃない」とコメントしている。運命のフリーを前に波紋が広がり続けるドーピング問題。

日本人選手もフリーに向けて調整

こうした中、2月16日の公式練習には日本の3選手も登場。ショートプログラム5位につけた樋口新葉選手は大技・トリプルアクセルを 練習の最後にしっかり着氷。

樋口新葉:
それなりに集中してできたかなと思っています。全然悪くないのであともちょっと疲れをとって、感覚がもうちょっと鋭くなってくるといいなと思っています

また、15位から上位を狙う河辺愛菜選手もジャンプに入る動作などを念入りにチェック。

そして、3位発進となった坂本花織選手。ジャンプはほぼノーミスで好調を維持。練習後には笑顔も見せていた。

坂本花織:
(SP後は)アドレナリンが出過ぎて6時くらいに寝ちゃってたいぶ今ちょっときついですけど、それを明日はみせないようにしっかりリセットしたいです。もっと自分の滑りに集中するだけかなと思っています

記者:
自分のパフォーマンスにどの程度期待したい?

坂本花織:
パーフェクト

目指す先はパーフェクトの演技。

2月17日に行われる注目のフリー滑走順は河辺選手が11番目、樋口選手が21番目、坂本選手が23番目、そして、ワリエワ選手は最終25番目の滑走となっている。

(「めざましテレビ」2月17日放送分より)