感染状況、若者中心から高齢者へ

若い人が中心だった沖縄県内の感染状況は今、次第に高齢者へと移り始め、高齢者施設の集団感染も相次いでいる。重症化リスクの高い高齢者を守りながら事業の継続が求められる、高齢者施設の苦悩を取材した。

玉城知事:
20代から30代はやや減少傾向にある一方、60代以上の高齢者層は増加傾向にあり、介護福祉施設における従業員や利用者の感染も増えてきています

2022年1月27日
2022年1月27日
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県全体では感染者数が減少傾向にある一方、60代以上は増加傾向にあるとの危機感を露わにした玉城知事。

実際に1週間ごとの60代以上の感染者数の推移をみてみると、感染者は週ごとに増え1300人前後で高止まりしていることが分かる。

年代別の割合をみても、過去最多となる1800人以上の感染が確認された1月15日は全体の10%だった60代以上の感染が、2週間後の1月29日には全体の18%と高くなっている。

デイサービスの利用控えを呼びかけ

こうした状況を踏まえ、玉城知事は今回新たな方針を示した。

玉城知事:
利用者およびその家族に対して、居宅での対応が可能な場合には、できる限り通所サービスの利用を控えるなど協力を呼びかけてください

日中に施設に通い、入浴や排せつの介護、機能訓練などを受けるデイサービスの利用の自粛を促すことで、集団感染の起きやすい高齢者施設にウイルスが持ち込まれるのを食い止める狙いがある。

豊見城市で老人ホームやデイサービスを運営する事業所では、県の発表を受けデイサービスの利用者や家族に対し、できる限り利用を自粛するよう協力を求める文書を送付した。

デイサービスセンター とよさき 伊波一茂 事務局次長:
利用者が40人いらっしゃる中で、多分私たちのところは少ない方だと思うんですけれども、一日1人、2人ぐらい、実際に利用自粛されている方も何名かはいらっしゃいます

3階建ての施設では、1階がデイサービスになっていて40人ほどを受け入れているほか、2階と3階は老人ホームで50人が入居している。

入居者のほとんどが基礎疾患を持っているため、何としても施設内での感染拡大を防ぐ必要があるが、デイサービスを休止することはできない。

デイサービスセンター とよさき 伊波一茂 事務局次長:
もちろん利用者たちの生活を支えているという部分では、そこが止められない一番の理由なんですが、その家族にも影響してしまう。例えば仕事に行けなくなったり、そういった部分も考えていくとやっぱり事業を続けないといけないと、プレッシャーはあります

72の施設で感染確認 休止で利用者や家族に影響

ただ県内では感染者が確認されたため、デイサービスを一時休止せざるを得なくなった施設もある。

本島南部のある事業所では、自宅から通うデイサービスの利用者が感染していることが判明し、その後、老人ホームの入居者や職員へと感染が拡大。2週間に渡りデイサービスの休止を余儀なくされた。

職員によると、この2週間で利用者の運動機能や認知機能が低下したほか、部屋にこもる生活で高齢者の活気がなくなったように感じられたということだ。

デイサービスセンター とよさき 伊波一茂 事務局次長:
ずっと自宅で過ごされているわけですから、身体機能の低下であったり、認知機能の低下であったり、そういったのもやっぱり顕著に見られる

――1週間通えないだけでも?

デイサービスセンター とよさき 伊波一茂 事務局次長:
はい。もう全然違います

県によると、1月31日時点で72カ所の高齢者施設で感染が確認され、施設内で療養している人の数は236人に上っている。

県内で高齢者施設の感染が相次ぐ中、利用者の生活や健康、それに生きがいのため、そして同居する家族のためにもデイサービスなどの事業は継続することが求められている。

デイサービスセンター とよさき 伊波一茂 事務局次長:
基本的にはウイルスを持ち出さない、持ち込まないというところが一番だと思っております。建物に入れば、せめてデイサービスの中だけでも伸び伸びとしてもらえるように心がけて、私たちも(対応)させていただいています

事業の継続と感染対策。高齢者施設は、難しい問題に直面している。

(沖縄テレビ)

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