人気商品をグレードアップした特別メニュー

焼きたてパティに、たっぷりのタマネギとミートソース。キッチンカーで作られていたのは、モスバーガーだ。

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これは、モスフードサービスが創業50周年を記念して1月29日から始める新業態「キッチンカー MOS50」。

キッチンは、わずか3畳ほどのスペースだが…。

店員:
普通のモスバーガーの店とほとんど変わらない動きでバーガーは作れるので、おいしい商品はできるかなと。

提供するのはモスバーガーやテリヤキバーガーなど、定番人気商品をグレードアップした5つの特別メニュー。

パティに使用するアメリカ産アンガス牛は、より肉感を出すために異なる3通りの方法でカット。サイドメニューはないが、通常のモスバーガーと比べお肉を1.6倍に増量するなど、キッチンカー専用の商品を開発した。

モスフードサービス プロジェクトリーダー・樋口亮一さん:
小投資、小スペース、そういったところを追求していくと、ポテト、油で揚げる部分を泣く泣く切り離したが、その分おいしいものに全力投球しました。

そして、注目したいのはその立地。

営業を開始するのは、スーツなどを販売する洋服の青山の都内駐車場で、国道1号線に面し周辺にはマンションや民家が立ち並ぶ住宅地だ。

モスフードサービス プロジェクトリーダー・樋口亮一さん:
どこにでも行けるパッケージを作って、「モスバーガーを近くに」をぜひ応えたいということで。イベント会場だったり、洋服の青山の駐車場を使わせてもらうことで、皆さんの近くに出ていくと。

モスフードサービスは、キッチンカーの導入によりテイクアウト需要の取り込み、さらには店舗がないエリアでの顧客の利便性にもつながるとみていて、運用を重ねた春以降、キッチンカーの数も増やしていきたいとしている。

コストは通常店舗の4分の1以下

三田友梨佳キャスター:
マーケティングアナリストの渡辺広明さんに聞きます。モスが新たに展開したキッチンカー、 渡辺さんは実際に足を運ばれたそうですね。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
集客が見込める「いい立地」に展開していると思います。モスバーガーは創業当時からマクドナルドが一等地に出店する中、繁華街や主要道路から少し離れても集客が見込める場所を探り当てる立地戦略に優れており、今回も自信があるのではと思います。

チェーンの飲食や小売が新店舗をオープンする際、7割は立地で決まると業界では定説となっています。また、人口の減少を迎え、顧客の来店を待っているだけでは売上を伸ばすことが厳しい状況になっています。なので、集客が見込める場所に出向いていくキッチンカーの市場は年々拡大していくと思います。

三田友梨佳キャスター:
これまでキッチンカーといえば、小規模の事業者がホットドッグやお弁当などを展開する例が多かったような印象がありますが、これも変化していくのでしょうか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
感染拡大によるテイクアウト需要の追い風もあり、大手によるキッチンカーへの参入が続いています。例えば、「いきなりステーキ」が首都圏を中心にキッチンカーを4台稼働させており、デニーズも実証実験を始めています。今回のモスの新展開が呼び水となり、これから大手チェーンによる参入が相次ぎ、市場の拡大と競争の激化が予想されます。

キッチンカー参入が増えている背景には、通常店舗に比べて手軽に出店できるところがあります。例えば、建物や設備投資だけで1800万円から2300万円のコストがかかりますが、キッチンカーの場合はメニューは限られますが、通常の店舗の4分の1以下のコストで出店できるというメリットがあります。

三田友梨佳キャスター:
今後、競争が激しくなるキッチンカー市場で勝ち残るためのポイントは何になりますか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
自社の店舗が少ない空白地点への展開が鍵です。また、アフターコロナはイベントなどへの出店にも期待できると思います。

三田友梨佳キャスター:
密を避けながらできたての料理を楽しめるというのは、利用者としてのメリットも大きいように感じますが、 業態として定着できるのか注目されます。

(「Live News α」1月25日放送分)