「ゼロコロナ政策」が影響

中国の2021年のGDP(国内総生産)が発表された。「ゼロコロナ」政策のマイナス面も出てきている。

中国の2021年のGDPの伸び率は、前の年と比べて8.1%のプラスとなった。2020年は新型コロナウイルスの影響が直撃したため、その反動によるものだ。

この記事の画像(6枚)

一方、10月から12月の四半期の伸び率は、前の3カ月をさらに下回る4.0%と、経済の減速が鮮明になっている。

中国政府は、国内で新型コロナウイルスの感染が判明するたびに、大規模な検査と移動制限をかけて「ゼロコロナ」を目指していて、多くの人が旅行を控えるなど消費が伸び悩んだ。

アメリカの調査会社は、2022年の世界最大のリスクに「ゼロコロナ政策の失敗」をあげ、「より厳しいロックダウンが必要となりサプライチェーンの混乱が続くおそれがある」などと指摘している。

中国"利下げ"でFRBから「独立宣言」

Live News αでは経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

三田友梨佳キャスター:
中国のゼロコロナ政策は北京オリンピックを見据えたものとされているようですが、この政策、いつまで続くと見ていらっしゃいますか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
少なくとも、今年秋に予定されている中国共産党大会を終えるまでゼロコロナ政策は続くとみられていて、引き続き消費が伸び悩むことが予想されます。また、中国の不動産大手・恒大集団の経営問題が続いていますので、不動産の開発販売が減少していて、建築資材や住宅用品などの関連市場にもマイナスの影響が出ています

三田友梨佳キャスター:
中国経済の減速というのは日本企業への影響も懸念されますね?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
中国市場と関係が深い日本企業といえば、例えばファナックや安川電機、あるいはファーストリテイリングといった企業の収益が圧迫される可能性があります。ただし、中国当局による大規模な景気のてこ入れが行われていて、このまま中国経済が沈んでいくとは思えません

三田友梨佳キャスター:
その大規模な景気のてこ入れ策というのは、具体的にどういったことがあるのでしょうか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
最も今注目されているのは、中国の"利下げ"政策です。これは世界経済に強い影響力を持つアメリカのFRBからの独立宣言とも考えられ、市場は大きなサプライズであると受け止めています。

三田友梨佳キャスター:
どうして景気の刺激策である利下げがFRBからの独立宣言になるのでしょうか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
FRBが予定している"利上げ"に逆らうように"利下げ"を行うと、魅力的なドルに引き寄せられて中国から資金が流出して人民元を圧迫しかねません。しかし、中国当局は貿易収支がしっかりとした黒字基調であることと、厳格な資本規制を行うことができるため、トルコなどのほかの新興国で起きたような急激な資金流出は避けられるとみているようです。つまり、FRBが支配する金融秩序に対して、中国は独立性を保つことができると、アメリカに挑戦した形になっています。コロナ対応、さらにはアフターコロナについて、まったく違うスタンスを取る米中の対立が激しくなる中で日本はうまく泳ぎ切ることが求められています

三田友梨佳キャスター:
ゼロコロナの看板政策を掲げる中、中国国内の大都市でも感染が広がって大規模な封鎖措置が取られるようなことになれば、世界のサプライチェーンも混乱させかねません。今後の動向が注目されます

(「Live News α」1月17日放送より)