急拡大するオミクロン株…治療の最前線は
1月15日 午後6時ごろ…
あろま薬局・薬剤師 立川靖之さん:
これ一瓶で5日分になります。患者さんのお宅にお薬を持って行きます
その“お薬”とは…
国内で初めて承認された、新型コロナの飲み薬「モルヌピラビル」。18歳以上で重症化リスクがある患者に処方される。
ただし、患者が受け取りには行けないため、薬局側が自宅に届けた。
あろま薬局 薬剤師 立川靖之さん:
ちょっとポストが遠いので、軒先に置かせていただきたいと思います
モルヌピラビルを“置き配”…。患者に連絡を入れてその場を離れた。
あろま薬局 薬剤師 立川靖之さん:
今回初めてなんで、あとはもうこれがちゃんと効果が出てくれたら本当にいいなと
すでに全国約8000カ所の医療機関や薬局に配布されたモルヌピラビル。オミクロン株の急拡大が続く中、医師も期待を寄せる。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
(インフルエンザの)タミフルのように、コロナと向き合っていくというか。そして、コロナをコントロールできる時代になってくるんじゃないかと思いますので
「飲み薬」投与…効果や副作用は? リアルな経過
Mrサンデーは、モルヌピラビルを処方された2人の患者を取材。症状の変化や副作用の有無など、リアルな経過を追跡した。
埼玉県の公平病院では、30人のコロナ患者が入院している。
公平病院 公平誠院長:
どうですか、調子は?
57歳男性:
ちょっと夜中に熱が出ちゃって、今まだ37.8度。咳が、ちょっと1回咳き込むとちょっと続いてしまうんで
14日から入院している57歳の男性。(※ワクチンは2回接種済み)
一時 38.6度まで上がった熱と、咳などの症状が続いていた。男性は肺に基礎疾患があり、15日、モルヌピラビルが処方された。
看護師:
これ、説明があったコロナのお薬になります。粒が大きいので、気をつけて飲んでください
57歳男性:
はい
この赤いカプセル(右)が、モルヌピラビル。一般的な薬と比べ、ひと回り大きい。
これを1回に4錠。朝晩2回、5日間飲み続ける必要がある。
初めて服用した57歳の男性は、2錠ずつに分けて飲んだ。
57歳男性:
大きくて、ちょっと飲みづらかったなと
公平病院 公平誠院長:
誤嚥(ごえん)しないかどうかっていうのはすごく重要なので、やはり横について、1錠1錠しっかり飲めているかっていうのを確認しています
薬の効果については、モルヌピラビルは入院・死亡のリスクを約30%下げるとされている。
一方で、臨床試験では吐き気や嘔吐などの副作用が確認された。
服用2日目の男性の様子を聞くと、まだ大きな改善はないものの、症状の悪化も副作用も見られないという。
では5日間、飲み終わった患者はどうなのか?
自宅療養中50代男性:
すべて飲みました。40錠5日分、飲み切りました
都内で自宅療養しながら、服用を終えた50代の男性。発症したのは、1月8日。関節痛や強い喉の痛みに襲われていた。翌日9日も発熱が続き、PCR検査の結果、10日に陽性が確認され、その夜には38.2度まで熱が上がったという。
「のどが焼けるような痛み」どう回復?
自宅療養中50代男性: のどが焼けるような痛みで…血が出るようなぐらいのイメージだった。ほとんどものは食べられない感じでした。一瞬倒れそうになったことがあって、まずいなあって。心臓に基礎疾患がありまして、いわゆる狭心症で血栓ができやすいっていうことで
基礎疾患があり、11日からモルヌピラビルの服用を開始。その後の症状を聞くと…
自宅療養中50代男性:
(薬を)いただいてからは、かなり好転しましたね。その効き目がどのぐらいなのか、ちょっと私も専門家じゃないんで分からないんですけど
服用2日目には、既に発症から5日目ということもあってか、平熱に戻り、悪寒や関節痛もなくなったという。服用3日目には、食事ものどを通らないほど、焼けるような喉の痛みは残ったというが、服用4日目には…
自宅療養中50代男性:
釜飯を(デリバリーで)頼んで、特に痛みはなく食べれました。普通にありがたかったですね
服用4日目の夜には、ほぼ全快に近づき入院することもなかった。
今回取材した埼玉県の公平病院では、16日までに合計32人にモルヌピラビルを処方。その経過は…
公平病院 公平誠院長:
飲んでいる方は無事退院できてますので、現在は特に悪化したりとか、副作用自体もそれほど多く出るとか、重い症状が出るというわけではない状況ですので…
一方で、15日に服用を終えた50代の男性は、ある注意点に気づいたという。
自宅療養中50代男性:
(病院を)探すのに一苦労だったんで、遅れてた可能性もあると思うんですよね、最初の薬の投与が。検査が遅れれば当然遅れますからね
モルヌピラビルは、まだウイルス量が少ない段階で増殖を抑える薬。服用は早ければ早いほど効果的 。そのため、発症から5日目までに飲み始めなければならない。
男性は発症当日、熱が37.2度だったこともあり、自宅で様子をみていた。
しかし、翌日に症状が悪化し、病院へ行こうとしたものの、その日は3連休真ん中の日曜日。受診できる医療機関がわずかしかなく、見つけるのに苦労したという。
もし受診や検査が遅れていたら…。処方が受けられない可能性もあったのだ。
この男性を診療する医師は、今回の経験からこう語った。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
5日以内に投与しなきゃいけないんで、時間との闘いなので、やっぱり症状が出たら早く受診をするっていうのが非常に重要な時期になっているんですけど。早期診断、早期受診、そういう啓蒙をしていかないといけないですよね。
(「Mr.サンデー」1月16日放送分より)