クレーンゲームの景品が欲しくて、何回もお金をつぎ込んだ経験がある人もいることだろう。では、景品の代わりにおいしいエサが入っていたら、動物もクレーンゲームをするのだろうか?

そんな荒唐無稽な検証に挑み、結果を記録した動画が公開された。その名は「モンキークレーン」だ。

(出典:株式会社ワイドレジャー)
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動画を公開したのは、アミューズメント施設を展開する株式会社ワイドレジャー。同社は長崎バイオパークの協力を得て、同園内の猿島にクレーンゲームを設置し、サルがゲーム機をプレイするか検証した様子を撮影した。

長崎バイオパーク  (出典:株式会社ワイドレジャー)

クレーンゲームに挑戦したのは、6匹のフサオマキザル。長崎バイオパークのHPによると、南米・アンデス山脈以東の熱帯林などに生息し、体長32~56.5cm、体重2.5~3.9kgほどのサルだ。

非常に頭がよく、映画「インディ・ジョーンズ」シリーズで名演技を見せたサルとしても有名だという。

クレーンゲームに参加した6匹(出典:株式会社ワイドレジャー)

検証のために用意したクレーンゲームは動物への安全性を考慮した特別仕様で、中にはフサオマキザルの好物であるレーズンをたっぷり敷き詰めた。また、今回はお金を入れなくても操作が可能で、レバーを動かせば10秒後に自動でクレーンが降りる設定となっている。

果たしてフサオマキザルは、クレーンゲームを使ってレーズンを取ることができたのか?

(出典:株式会社ワイドレジャー)

撮影が行われたのは、昨年12月1、2日の10時~17時。わずか14時間での検証となった。

そこで、サルたちにクレーンゲームをしてもらうため、様々な作戦を決行。操作方法をタブレットで見せてレクチャーする作戦、ぬいぐるみで誘惑する作戦、温かい椅子を置く作戦…。しかし、ゲーム機や椅子に乗ったりするものの、いずれも上手くいかず、最後の手段として飼育員が実際にクレーンゲームをプレイして、サルに手本を見せていた。

すると、2日目になって「大樹」というサルが、何度もクレーンゲームに興味を示すそぶりを見せる。だが、レバーに触れてもレーズンが取れない、じれったい時間が過ぎていく。

2日目
13:05~ 取り出し口にエサを入れる 大樹が取る
13:06~ 大樹にプレイを見せる
13:20~ 大樹、レーズンで遊ぶ
13:29~ レバーに触れる

そして、その瞬間は訪れた。

初成功の瞬間  (出典:株式会社ワイドレジャー)

15:20~ 大樹プレーを成功!

大樹が見事にクレーンゲームをプレイしてレーズンをゲットしたのだ! そして立て続けに、その20分後、約40分後にも成功させていた。

(出典:株式会社ワイドレジャー)

賢いサルとのことだったが、誰がこの結末を予想していたであろうか。今回の検証についてスタッフは事前に成功すると思っていたのだろうか?そしてレーズンを取った大樹は本当にクレーンゲームを理解して操作していたのか?

まずはワイドレジャーの担当者に聞いてみた。

「できないよ」の一言で心に火がついた

――なぜ、サルにクレーンゲームをさせようと思った?

当社運営のアミューズメント施設「楽市楽座」の主力ゲームがクレーンゲームという理由です。
全国の動物園に問い合わせしたところ、長崎バイオパークさんがコラボを前向きに検討してくれました。また、クレーンゲームの搬入のしやすさなどを考慮しました。

(出典:株式会社ワイドレジャー)

――検証にフサオマキザルを選んだ理由は?

・知能の高さ
フサオマキザルはIQが高いことで有名で、映画に出たり、介護をサポートする動物としても注目されていました。

・クレーンゲーム機に対して、ある程度サイズ感のあるお猿さんだった。リスザルなどでは、小さすぎるため、サイズ感的にも適任のお猿さんでした。

・飼育員さんが入ったときの安全性などを考慮
事前に長崎バイオパークさんのYouTubeで、飼育員さんとフサオマキザルが絡んでいるのを見て安心感がありました。

・検証に適した環境だった
長崎バイオパークは、野生に近い状態で飼育しており、検証には適していると判断しました。

――ゲーム機の名前が動画だと「2号機」となっている。その理由は?

一度、作ってみたのですが、雨対策などが不十分だったため、そこを改善しました。筐体の工夫で言えば、お猿さんが叩いたり、噛んだりしても大丈夫なように強化プラスチックと木工パネルで全筐体を覆ったり、コードを噛まないようにコードをホースで覆ったり、取り出し口からお猿さんが逆流しないように網を設けたり、雨が降っても大丈夫なように、屋根を付けたりなどをおこないました。

(出典:株式会社ワイドレジャー)

――たった2日間で成功すると思った?

正直予想はできていませんでした。長崎バイオパーク側にも「できないと思いますが、本当にやりますか?」と言われていましたので、その一言が私たち制作スタッフに火をつけました。


――初めて「大樹」がレーズンを取った時の感想は?

正直、めちゃくちゃ感動しました。段々とクレーンゲームを理解していく大樹くんに、まるでわが子を遠くで見守る親のような気持ちになっていました。

また、好奇心が、パイオニアを産むのだと考えさせられた瞬間でもありました。撮影スタッフ、バイオパークスタッフ共にお猿さんが驚かないよう、声を押し殺して喜び、固い握手を交わしました。

長崎バイオパーク「実は断ろうと…」

企画を持ち込んだワイドレジャーの熱い想いは分かった。

では、一方の長崎バイオパーク側はどう思っていたのか? こちらの担当者にも聞いたところ、最初は冷ややかに捉えていたようだ。


――コラボ企画を持ち込まれた時は、どう思った?

バイオパークのオマキザルは島で野生に近い形で暮らしており、日程も2日と短いので成功するとは思っていませんでした。手間ばかりかかってうまくいかないだろうから、どうやって断ろうかと思っていました


――スタッフの予想は成功と失敗、どっちが多かった?

失敗がかなり多数でした。

(出典:株式会社ワイドレジャー)

――初めてサルがレーズンを取った時の感想は?

「まさか」という感じでびっくりして、みんなで喜びました。


――見事に成功した大樹は、どんなサル?

5歳(人間で15歳くらい)のオスで、好奇心旺盛、やんちゃ、新しいものを与えたらいつも最初にくる、自由人、天然という感じです。

(出典:株式会社ワイドレジャー)

――大樹は、クレーンゲームの仕組みをちゃんと分かっていた?

細かい作業はわかってないと思いますが、クレーンを動かすと、それがレーズンを運んでくることは理解したと思います。今後は、「細かいことまで理解して精度を高めることができるか?」など様々な次の段階の研究が考えられます。

(出典:株式会社ワイドレジャー)

初めて成功した時は「偶然」うまくいったようにも見えるが、大樹くんはその後も繰り返しクレーンゲームに挑戦し何度もレーズンをゲットしている。今回の検証はここで終了したが、もっと長く続けていたら群れ全体で、一緒にゲームをやるようになっていたかもしれない。