全国268の醤油の中から最高賞…愛知生まれの「白しょうゆ」

愛知発祥の調味料「白しょうゆ」。食材の色を生かし味も引き立てるとして、全国の料理店で使われているこの醤油は、10月に開催された全国の醤油の品評会で最高賞を受賞した。
再評価された「白しょうゆ」を再び”家庭の味”に…。創業190年の老舗は、その味を多くの人に知ってもらうため試行錯誤を続けている。

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愛知発祥の調味料「白しょうゆ」が、注目を集めている。

うどん店の店主:
色がきれいで、味がいい感じですよ

うなぎ店の料理長:
食材の色を鮮やかに見せたい時とかに…

色が淡いため、上質な食材の色を生かし味も引き立てるとして、全国の料理店で使われているが、名古屋の街で聞いてみても「知らない」と答える人がほとんど…

女性A:
全然知らない

女性B:
見たこともない

家庭ではあまり馴染みが無いようだ。
しかし、名古屋・栄にある愛知の物産を集めた「ピピッと!あいち」では、約1か月で約250本を販売。太田屋の「白醤油」は話題となっていた。

名古屋の醤油メーカー「菱太産業」が作るこの白しょうゆは、10月に開催された醤油の品評会で、全国268本の中から最高賞となる「農林水産大臣賞」に選ばれた。

「菱太産業」8代目の太田恭平さん:
(白しょうゆは)70代、80代までの人は使いこなしていた。それが、次の世代に引き継がれていない…

「賞を獲って注目されたことをきっかけに、再び家庭で白しょうゆを使って欲しい…」。8代目の太田恭平さんの願いだ。

50年以上受け継がれてきた味…原料は小麦

名古屋市守山区の住宅街に、「菱太産業」の工場はある。

普通の醤油は大豆が原料だが、白しょうゆの原料は小麦がメイン。小麦を柔らかく蒸しあげ、発酵させるための”たね麹“を付けていく。

太田恭平さん:
麹の出来で、その後の醤油の出来とか、香りも全てが決まってしまう

わずか6人の従業員で製造。50年前から大切に使い続ける機械で、天候などによって温度や湿度を調整。3日間かけて麹を育て、塩水と混ぜてタンクの中へ。3か月熟成させると完成だ。

自社に販売ノウハウなく…醸造した醤油は他メーカーへ

「菱太産業」の歴史は古く、1831年に名古屋市東区東桜で、菱太産業の前身「太田屋」として創業。1945年の名古屋空襲で工場や自宅が焼失してしまったため、守山区に工場を再建し、白しょうゆの製造を始めた。

一般にも広く普及した白しょうゆだったが、時代と共に徐々に家庭から姿が消えていった。白しょうゆを再び家庭の味に…。受賞で追い風かと思いきや、老舗ならではの壁に直面した。

太田恭平さん:
賞を獲ってはいるんですけど、うちの名前ではほとんど出していない。うちは黒子に徹するというか…

醤油業界では、古くから醸造した醤油は別の蔵元に販売するのが文化として根付いているという。菱太産業も自社ブランドではなく、大手の醸造メーカーなどに販売する「OEM」が売上の主軸だ。

太田恭平さん:
自分の名前が外にでることに慣れていないので、賞を獲ったからといってどう宣伝するの?と…

受賞を機に一般向けの商品を作ったが、販売しているのは愛知県産の物品を扱うアンテナショップ「ピピっと!あいち」1店舗だけ。一般ユーザーへの販路も、そのノウハウもなかった。

家族一丸でPR…「白しょうゆ」レシピをインスタ投稿

この日、太田さんの自宅では、太田さんの母親が自慢の白しょうゆを使って料理を作っていた。
出来上がった料理を運んだ先には、照明機材が…

太田恭平さん:
ホームページも妻が作ったし、インスタも妻がやってる…

自慢の白しょうゆを使った料理を「インスタグラム」にアップ。約2か月で投稿された写真は120件に。SNSで白しょうゆの魅力を伝えようと、家族が一丸となっていた。

太田さんの妻は広告代理店で働いていた経験があり、写真の仕上がりはレシピ本のよう。この日は、白しょうゆで味付けした煮物に、焼き魚、鶏肉ハムなどを投稿。
そして、撮影を終えると晩御飯に…

太田さんの長男:
このハムは、白しょうゆの味を結構感じる

子供たちもPRに一役買っていた。

太田さんの母:
白しょうゆで塩味を調節して、いろんな具を入れて…。すごく手軽でおいしいので皆さんにぜひ広めたい

太田恭平さん:
色が薄いんですけど、存在感がある白しょうゆを作りたい。名古屋の食文化は元々ユニークですけど、ぜひ赤みそと、たまりに、白しょうゆも加えて、食卓に使って頂ければ

「白しょうゆ」を再び”家庭の味”に…。老舗の挑戦は続く。

(東海テレビ)