新型コロナウイルスの感染拡大で、2021年も観光業界はかつてない打撃を受けた。
いまは感染が落ち着き、少しづつ客足が戻り始めているが、レンタカー不足や人出不足など新たな課題にも直面している。

新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないまま迎えた2021年1月。

玉城知事:
沖縄県の警戒レベルを第4段階に引き上げるとともに、沖縄県独自の緊急事態宣言を発出することを決定致しました

2021年1月19日
2021年1月19日
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2021年は3月から4月上旬を除き、国の緊急事態宣言や県独自の対策によって、沖縄では全国で最も長く渡航自粛など制限がかけられた。
現在、感染は小康状態となっているが、県経済を支えてきた観光業界には深い爪痕が刻まれていた。

レンタカー協会が補助金要請…県から回答なし

県レンタカー協会 白石武博 会長:
抑制期間がずっと長くて、皆さん経営大変なので、車を持っていられなくなって手放して、配備台数が大幅に減っているといったところで需要が戻ってきてるので、車が足りない

いま不足しているのがレンタカーだ。この1年、観光客の激減に伴って業界の売り上げも減少したため、保有するレンタカーを整理せざるを得なくなった。県レンタカー協会によると、全体の保有台数は新型コロナの影響が出る2019年は2万2000台だったが、現在は約半数となっている。

県レンタカー協会 白石武博 会長:
沖縄まで旅行に来られるけれども、足がないが故に世界自然遺産の国頭へ行こうとか、あっちこっちの施設に行こうとかっていうのが足がとまるということも十分に想定されますし、結果として沖縄観光に甚大な影響があるだろうなという風に

県レンタカー協会では、沖縄観光を支えるインフラの一環として、行政にレンタカーの保有台数に応じた補助金などの要請を何度も続けてきた。
しかしこの1年半、県からの回答はなく、協会はレンタカーの不足は起こるべくして起こったと対応を批判している。

「コロナ終わったら、お客が来るよって思ってたら大きな間違い」

度重なる緊急事態宣言などで、2021年1月から10月までに沖縄を訪れた観光客は222万5200人と、新型コロナが広がる2019年の4分の1程度とかつてない深刻な状況。

ノボテル沖縄那覇 坂本公敏 総支配人:
1月から見てますと、赤字にならなかった月はですね、初めて11月が黒字になりました

明るい兆しが見えたかのようだが、ホテル業界も先行きについて慎重な姿勢を崩していない。

ノボテル沖縄那覇 坂本公敏 総支配人:
我々も人をもっともっと採用したいけれども、今採用しちゃって、また第6波が来てっていうところを考えると、そこに対しての何らかの補償がない限りは一歩前に進めないっていうところですので、その辺のところを厚くして頂けると有難いかなっていうのは思います

11月に入り徐々に客足が戻り始めてきているが、コロナ禍以前と比べると部屋の稼働率は未だ約半分。

ノボテル沖縄那覇 坂本公敏 総支配人:
県としてですね、やはり沖縄に来ないで下さいというような形のメッセージはすぐに出すんですけれども、出たんですけれども、残念ながら安心安全ですよ、こういう防疫体制もやってますよっていう形のもの、ウェルカムですよっていう形のものに関してはあまり発信が強くなかった。県外の人からみると沖縄行って良いのかなどうなのかなと、そういうお問い合わせも非常に頂きました

このまま何も改善されなければ、他の地域に客を奪われ手遅れになってしまうのではと危惧している。

ノボテル沖縄那覇 坂本公敏 総支配人:
沖縄県が今まで修学旅行で選ばれて当然だみたいな感じのイメージを行政の方持ってらっしゃるのかなと、そこがすごく不安感なんですよ。コロナが終わったら来るよって思ってたら、多分大きな間違いだと思うんですよね。その辺のところをきちんとやってかなくちゃいけないし

インバウンドがゼロ…重要な国内観光客

これまで県外や海外からの観光来県自粛などの要請で苦しんできた観光業界。沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は次のように振り返る。

沖縄観光コンベンションビューロー 下地芳郎 会長:
観光を支える業界の皆さんへの支援というのは、なかなか薄く広くってだけの範囲にとどまってしまって、(緊急事態宣言が)長期化する中で持続的な支援というところはなかなか実現できないままに、ここに来ているなというふうに思っています

2019年には入域観光客が1000万人を突破しましたが、3割占めていたインバウンドが新型コロナの影響でこの2年間はゼロに。

国内の観光客の需要を取り戻していくことが重要な課題となっているだけに、下地会長は行政は観光業界の意見にも耳を傾けてほしいと訴える。

沖縄観光コンベンションビューロー 下地芳郎 会長:
行政側が考えていることと、その経済界の中でも特に観光業界、非常に大きな影響を受けていますので、観光業界と常日頃のコミュニケーションをもっとやっぱり十分にとるべきではないのかなと。これは今も言える話です

更なる観光客を受け入れ、そして体制を整えるためには、これまで以上に支援の拡充が必要不可欠だと訴える。

沖縄観光コンベンションビューロー 下地芳郎 会長:
来年は本土復帰50年という節目の年にもなります。いろんなイベントも予定はされています。50年記念事業というのをより効果的に生かすためにも、まず安全安心な観光の基盤を作るということはとても大事ですので、観光の安全安心をつくる、その企業の支援というのを改めてやはり継続して来年も必要ではないかなというふうに思っています

新型コロナの影響で残された様々な傷跡を修復し、更なる需要の回復に向けて、観光立県・沖縄での独自の取り組みが重要だ。

(沖縄テレビ)

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