不登校の小中学生 2020年度が過去最多

2020年度の全国の不登校の小中学生は19万6000人を超え、自殺した児童生徒の数も415人と、いずれも過去最多となった。新型コロナウイルスの流行で、環境が大きく変わった教育現場で子どもたちが抱える悩みや不安、そして今、周囲の大人に求められていることは何か考える。

那覇市教育委員会の教育相談課。市内の小中学校に通う子ども達や保護者が抱える学校生活の悩みについて、相談を受けたり支援を行ったりしている。休校や学校行事の中止など教育現場を取り巻く環境が一変したコロナ禍の中、教育相談員を務める公認心理師の仲眞健太さんは子どもたちの心の状態にも変化を感じている。

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那覇市教育委員会 教育相談課 仲眞健太 教育相談員:
不安がだいぶ高まったのかなと。人と接する事に対する不安というか、ソーシャルディスタンスで人と接する機会っていうのが少なくなって、学校に行きづらくなる子もいたりします

文部科学省が2021年10月に公表した調査結果では、2020年度に全国で学校を30日以上欠席した不登校の小中学生の人数は、2019年度より1万5000人ほど増えて19万6127人。これは2010年度の約1.6倍に上り、過去最多となっている。

不登校の要因 約半数が「無気力・不安」

また不登校の要因で一番多かったのが「無気力・不安」で約半数を占め、続いて生活リズムの乱れが12%、友人関係が10%だった。

県内でも2020年度、不登校の児童は2019年度より300人余り増えて1564人と過去最多に上っている。

那覇市教育委員会 教育相談課 仲眞健太 教育相談員:
学校に慣れてきたなと思った時に新型コロナで休校に入ったり、学校生活のリズムが乱れてしまって、今、学校生活がだんだんと動き始めて来ている中で、やっぱりここにきて子供たちが学校に行けないと

仲眞さんが担当したケースでは、今では当たり前となっているマスクが子どもの不安に繋がっていることもあった。新たな生活様式が浸透していく中で、周囲の大人が子ども達の不安に気づき寄り添ってあげることが、いま求められていると強調する。

那覇市教育委員会 教育相談課 仲眞健太 教育相談員:
マスクのせいで表情が読み取りずらくて、相手がどう思ってるのかっていうことが心配とか不安とか、そういった相談も実際ありますね。まずは本人の変化とかに気づくっていうところから始めて、そこから声をかけたりして、しっかり本人の話を聞く、聞いてその気持ちに寄り添うというような対応がまず必要なのかなと

「きわめて憂慮すべき状況」自殺した児童生徒数が過去最多

県内の高校や私立の小中学校で、スクールカウンセラーを務める公認心理師の国生まゆみさん。新型コロナの流行に伴い相談件数は増加し、これまであまり聞かれなかった訴えも耳にするようになった。

県公認心理師協会 国生まゆみ 学校臨床理事:
漠然とした不安を訴える子っていうのが、去年あたりからすごく増えてきた。はっきりした理由はないけど、何か不安でドキドキするとか、1人でいると苦しくなるとか、そういう相談は増えてきている感じがします

また、同じく増えたと感じるのが自殺との関連も指摘される「自傷行為」

県公認心理師協会 国生まゆみ 学校臨床理事:
養護教諭の先生から、いろんな相談でリストカットが増えている感じ。それが新型コロナとどう結びつくかわからないんですが、児童生徒の自殺者数がコロナ禍の去年最高に達したんですね

文科省の調査で、2020年度に自殺した児童生徒の数は過去最多の415人。この数字は2010年度の2.6倍に上り、文科省は「極めて憂慮すべき状況」だと指摘している。

自殺した児童生徒が置かれていた状況の調査では、家庭不和や精神障害、進路の問題などが確認される一方、最も多かったのが「不明」だった。

「誰にも助けを求めていない」

県公認心理師協会 国生まゆみ 学校臨床理事:
自死というのは原因は一つじゃない。すごく色んな要因が絡み合っているということで、これとは言えない。でも共通しているのは、助けを求めていない。友達や先生、親などに(相談)できない子が全体的に増えているのが、とても懸念される

国の調査では、2020年に県内でも未成年3人が自ら命を絶ったことが分かっている。自傷行為や自殺の増加と新型コロナとの関連は明らかではないが、休校や外出自粛の影響で子どもたちが孤立しやすい環境が生まれているのは確かだ。

県公認心理師協会 国生まゆみ 学校臨床理事:
学校に行けなくて家籠りですから、結局誰にも言えない。悩んでいるのは自分だけ、こんなことで悩んでいる自分は駄目なんだとか、普段より一層誰にも言えなくなってしまう。あらゆる大人が気を付けて見守っていかないといけない事かなと思いますね

新型コロナの流行による生活環境の変化は、大人が想像する以上に子ども達に不安やストレスを与えている。
小さな変化に気づくこと、声をかけて寄り添うこと…こうした一見ささいな行動が子どもたちの未来を守る事に繋がる。

(沖縄テレビ)

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