特集は「狭いけれど人気の店」。訳あってスペースは狭いものの、その珍しさや雰囲気から人気となっている2つの店を取材した。
日本一狭い駅そばの店 改札内にカウンター
この記事の画像(16枚)客:
おいしいです、大好きです
JR塩尻駅の2階にある待合室には、駅そばの店「桔梗」が併設されている。
一番人気は、大きなかき揚げが乗った「玉子かき揚げそば」(税込460円)。
桔梗・村山芳子さん:
コシがあるって、皆さんおっしゃる。水も木曽から来てるからおいしいと
営業して20年以上になるが、実は「あること」でその界隈では有名な店だ。
「桔梗」は厨房をはさんで改札を抜けた先にもカウンターがあり、そちらのスペースが「日本一狭い駅そばの店」と呼ばれている。
記者リポート:
「日本一狭いそば屋さん」と言われている入り口は約50センチと、大人の男性1人でもなかなか窮屈な入り口となっています
中に入ってみると、スペースの幅は約1メートル50センチ、奥行は60センチほど。大人2人でいっぱいになる。
数年前から「日本一狭い」とインターネット上で紹介され、最近はテレビ番組でも取り上げられたことから認知度が上昇した。
桔梗・村山芳子さん:
「並んでもここで食べたい」ってお客さんが結構、いらっしゃる。多いときは20人以上、連休とか祝日なんかは
当初は5、6人は入れる広さだったが、2002年にホームと改札階をつなぐエレベーターが設置され、その際にスペースが削られたと言う。
客(東京から):
(雑誌で)日本一狭い駅そばがあるって、でもおいしいって書いてあったので。(狭さは)気にならない、おそばがおいしいし
客(埼玉から):
1人、2人は入るくらいの狭さで、他ではなかなかないので新鮮な感じで、空いていれば個室感があって、そこがまた良かった
コロナの感染拡大で2020年は半年ほど狭いスペースを閉めていたが、今は利用を1人に限って再開しており、店側は引き続き多くの人に利用してもらえればとしている。
桔梗・村山芳子さん:
さらにもっと多くの人に知っていただいて、ご利用してもらえたら
細い路地を35歩 隠れ家的な店が…
一方、こちらは居酒屋やスナックが立ち並ぶ、松本市大手の通称「裏町」。昼下がり、人通りはほとんどない。
記者リポート:
こちらに小さな看板がありますね。矢印で方向が示されていて、35歩と書かれています
案内に従って細い路地を歩いていくと…
記者リポート:
33、34、35。ぴったり35歩でお店に着きました
「チーズケーキと雑貨 むに。」
店の広さは4坪ほどで、2人掛けのテーブル1つと3人掛けのカウンターがある。
日替わりで4種類から5種類のチーズケーキを販売していて、店内で食べられる。
一番人気は、自家製のクリームチーズを使った「あっさりレア」(税込320円)。
客:
おいしいです。クセになる味であっさりもしているので。勢いがいいとおかわりして、2個目食べちゃうくらいおいしいです
店主は福島県出身の広瀬綾さん(40)。東日本大震災のあと、知り合いを頼って松本市に一家で移住してきた。
仕事探しの合い間、たまたま娘にチーズケーキを作ったところ…
「チーズケーキと雑貨 むに。」・広瀬綾さん:
牛乳からチーズをおこしてチーズケーキを作ったんですけど、思いのほかおいしかったので、これを皆さんに召し上がっていただきたいなという思いで、チーズケーキ屋をやることにしました
「なるべく安い物件を」と探し回り、元スナックを改装して2013年に店を開いた。
広瀬綾さん:
飲み屋街なのでケーキを売るにはちょっとなって思ったんですが、よく考えたら昼のお店がほとんどない状態だったので、うちのお店をきっかけに昼の店が増えて、街が元気になったらいいなと思ってチャレンジ
立地や狭さから、隠れ家的な雰囲気が漂う店。
ただ、元スナックというだけあって、カウンター席では自然と会話が弾む。
客:
お店の雰囲気も落ち着くし、1人で来ても居心地がいいですね
テイクアウトも人気。
テイクアウトの客:
手作りなので、普通のケーキ屋よりもなじみやすい。初めては(来るのが)難しいかもしれない。知ってる人に教えてもらわないと
松本で再出発を果たした広瀬さん。店のある場所は少々わかりにくいものの、それも含めて楽しんでほしいと話す。
広瀬綾さん:
この路地の入り口から本当に入ってきて大丈夫かって電話がかかってきたりとか、隠れすぎだってクレームだったりとか(笑)。狭くて居心地がいいので誰にも教えたくないって言われたりとか、教えてくれないとちょっと困っちゃう(笑)
狭さも、その店の「個性」。コロナ禍も厚い支持を受けている。
(長野放送)