寒い冬の季節には温かい鍋が魅力的。こうした中、食べられないけれども、かわいさで胸がほっこりする鍋があるのを知っているだろうか?
それが長崎・佐世保市にある九十九島動植物園「森きらら」の“ミーアキャット鍋”だ。花の模様がついたかわいい土鍋の中に、2匹のミーアキャットが身を寄せ合うように入っている。

ミーアキャットは、アフリカ南部の乾燥したサバンナや岩地などに生息する哺乳類。暖かい地域に住み、寒さが苦手なことから、園では毎年、飼育場の一角にヒーターを設置。その下に土鍋を置いているのだそう。

暖かさを求めヒーターの下にやってきたミーアキャットたちが、そのまま土鍋の中に入っているのだろうか。身を寄せ合うようにして入っている姿は確かに暖かそうで、かわいらしい様子には見ている側も胸がほっこりとしてしまう。
保温のためにスタッフの土鍋を使用
かわいい姿で癒やされる“ミーアキャット鍋”だが、いつ頃からどのような理由で土鍋を設置することにしたのだろうか? また、“ねこ鍋”といわれる猫と同じように、ミーアキャットたちも狭いところが好きなのだろうか?
九十九島動植物園森きららの飼育担当者に話を聞いた。
ーーそもそもミーアキャットとはどういう動物?
個体によって大きさ・体重は変わりますが、頭胴長:30cm前後。尾長:20cm前後。二本足で直立することがあります。理由として日光浴や天敵がいないか見張りをしています。群れで生活する動物で、群れの中で仲間内で協力をして子育てをしたり、見張りをしていたりとそれぞれ役割があります。

ーーいつ頃から、どのようなきっかけで土鍋を置くようになったの?
2012年から開始しました。その当時新しい展示場になり、冬にヒーターを吊るすだけだと熱が逃げてしまうことを考え、土鍋を置くことで効果的に温かく、保温できるようにしました。また見た目でも、お客様に楽しんでいただけると思ったからです。
ーーサイズはどれくらい?土鍋も温かくなっている?
鍋のサイズは直径25cmほどです。鍋自体が自動で温かくはなりませんが、土鍋は保温効果が高く、上からヒーターにあたることで、効果的に温かくなっているのではと考えています。購入したものではなく、以前の担当スタッフの自宅にあったものを使用しています。

ーーミーアキャットはどれくらいの頻度で入っているの?
12月からよく入っているのをみることができています。12月以前はなかなか見られませんでしたが、ぐっと寒くなってきた12月からはよくみられるようになりました。
問い合わせもある冬の森きららの名物
ーーミーアキャットは土鍋を気に入っているの?
気に入っているのかははっきりと分かりませんが、鍋に入っているときは丸まったりしてくつろいでいる姿をみることができます。以前の担当スタッフからは、1匹が仰向けに鍋に入って足を投げ出してくつろいでいる姿をみたということも聞きました。
ーーミーアキャットは、猫のように狭いところが好きなの?
野生では、地下にトンネル状の巣穴を作って生活をしています。また、天敵から身を守るために巣穴や岩陰に隠れることもあるため、狭いところが安心できたり落ち着いたりするのではないかと思います。

ーーでは、土鍋に入っていないときのミーアキャットたちの様子は?
穴を掘ったり、高い場所に直立して周りをみたりしています。
ーーミーアキャット鍋を見た来園者たちの反応を教えて。
かわいいと言って近寄ってきてくださり、写真や動画を撮ってくださっています。よく来て下さるお客様からは、今年のミーアキャット鍋はいつするのかとお問い合わせしていただくこともあるので、楽しみにしてくださっている方も多く、冬の森きららの名物にもなっているのではと感じます。
楽しみにしてくださる方もいらっしゃるので、とても嬉しく思います。楽しんでもらうのと同時にミーアキャットという動物に興味をもっていただくきっかけになれば、なお嬉しいです。

九十九島動植物園「森きらら」には4匹のミーアキャットたちが飼育されている。鍋はヒーターと共に設置するため、その時の気温によるそうだが、今年は11月中旬に設置しており、2月頃までを予定しているという。
スタッフの間でも、ミーアキャット鍋を見ると「また鍋の季節がきたな」と感じる人が多いそう。冬の寒さを目で見て分かる1つの指標となっているのかもしれない。
皆さんもミーアキャット鍋を見て、ほっこりするのはどうだろうか。