狭い場所が好きな猫が鍋に入る様子“ねこ鍋”のかわいさに、胸がキュンとした経験をした人もいることだろう。

そんな“胸キュン”体験を動物園でもできることを知っているだろうか? そのねこ鍋がこちら。

「この展示考えた飼育員さん、天才すぎでは……!?!?」というコメントと共に、作家で名古屋めし料理家のSwindさん(@swind_prv)がTwitterに投稿したのが、肉食動物「サーバル」がすっぽりと大きな鍋の中に収まっている様子。

鍋に入ってくつろいでいるサーバル
鍋に入ってくつろいでいるサーバル
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大きな鍋の中にすっぽりと収まり、瞳を閉じている表情はゆったりリラックスしているように見える。肉食動物といえどもネコ科に属するサーバルの、“ねこ鍋”ならぬ“サーバル鍋”の様子に癒される人も多いのではないだろうか。

このかわいらしい様子を見たTwitterユーザーからも「サバ鍋かわいいw」「暴力的かわいさ!」「こんなん絶対見に行くぅ!」といったコメントが投稿され、話題になっている。

まさに“サーバル鍋”
まさに“サーバル鍋”

撮影されたのは名古屋市東山動植物園で、現在、オスのルイとメスのアイ、その子どものメスのゆいの3匹を飼育しているという(ゆいは別スペースで飼育)。

とても可愛らしい姿を見せてくれたサーバルだが、やっぱり狭いところが好きな動物なのだろうか? そして鍋を置いた理由についても知りたい。

名古屋市東山動植物園のサーバル前担当者・原真実さんと、現担当者の山部桂子さんにいろいろ話を聞いてみた。

大きな鍋がたまたま手に入った

ーーそもそもサーバルってどのような動物なの?

現担当者・山部桂子さん:
生息地域:サハラ砂漠以南のアフリカの草原に生息し、沼沢地や川のそばを好みます。基本的に夜行性ですが、日中も狩を行うことがあります。

特徴/特長:優れた視力と聴力があり、足が速く木登りも得意で、主にげっ歯類やトカゲなどに跳びかかって捕食しますが、時折、草や果実も採食することがあります。

子ヒョウの毛皮と偽って毛皮が売られることがあり、密猟の犠牲となって数が減りました。1年中繁殖し、1回につき2~4匹の子供を産みます。妊娠期間は66~77日。子供は1歳半~2歳で独立し、寿命は野生下で10~12年、飼育下では13~20年です。また、サーバルはスペイン語で「猟犬」を意味します。

アイ(提供:名古屋市東山動植物園)
アイ(提供:名古屋市東山動植物園)

ーー大きな鍋を置いたのはなぜ?

前担当者・原真実さん:
サーバルが隠れられたり、落ち着いて過ごす場所(木の箱など)を作ることを考えていたとき、以前、園内売店(きしめん屋)が撤退する際、不要となったものとして、そのまま使える鍋をちょうど譲り受けたからです。

※基本的に、動物の展示については、かわいく見せたいというものから来ているのではなく、動物の生態・動物の過ごしやすさ等を考えレイアウト等工夫して展示しています。

ルイが鍋に入っている背中(提供:名古屋市東山動植物園)
ルイが鍋に入っている背中(提供:名古屋市東山動植物園)

ーーいつから鍋を置いているの?

原さん:
現在飼育しているアイ・ルイの部屋には、来園した2020年春から置いています。鍋自体は約10年前に譲り受けたので、以前飼育していた個体にも使用していました。

鍋に入ってくつろいでいるサーバル(提供:名古屋市東山動植物園)
鍋に入ってくつろいでいるサーバル(提供:名古屋市東山動植物園)

ちなみに、鍋の大きさは直径53センチ、深さ25センチだという。

元々、狭い場所が好きな性質

ーーサーバルたちは鍋の中が気に入っている?

山部さん:
元々、狭い場所が好きな性質で、木材を使った箱等も寝床として利用します。ハンモック等も好みます(落ち着く)。

頻度としては、オスのルイは天候の良い日ならほぼ1日1回は入りますが、メスのアイはあまり入らないです。


ーー鍋に入るサーバルを見てどのように思う?

山部さん:
狭い場所を好むことは知っていたので特に驚かなかったです。サーバルがくつろいでいる、安心して過ごせているなと思っています。

木箱に入るゆい(提供:名古屋市東山動植物園)
木箱に入るゆい(提供:名古屋市東山動植物園)

ーーSNSで「かわいい」といった反響があることをどう感じている?

山部さん:
「かわいい」だけで終わるのではなく、その反響が、動物たちの生態や特徴、絶滅危惧等の現状を知るきっかけになって欲しいです。

ルイ(提供:名古屋市東山動植物園)
ルイ(提供:名古屋市東山動植物園)

山部さん曰く、鍋の中に入るほか、爪とぎをするところも猫っぽく感じるなどネコ科の共通点があるようだ。そんなサーバルだが、鍋の中にはどれくらいの時間入っているのかは日によるという。1日1回入るというルイくんでも、実際に入っているタイミングを目にするのは、なかなか難しいかもしれない。

自然界では絶対に見られない“サーバル鍋”は、動物園内でも珍しいくつろいでいる様子を捉えたものだった。

なお現在、名古屋市東山動植物園では新型コロナウイルスの影響で、5月30日までの土日の入園にはインターネットまたは往復はがきでの事前予約が必要(ただし、午後2時以降の入園は予約不要)となっている。(※期間延長する場合あり)
 

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プライムオンライン編集部
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