「SDGs」の目標の4番目、「質の高い教育をみんなに」を考える。
2020年に岩手・遠野市に完成した「こども本の森遠野」は、日本を代表する建築家・安藤忠雄さんが設計・建築した。
施設には、「未来をつくる子どもたちに心の世界を広げてほしい」という安藤さんの思いが込められている。

表紙を見て新しい本と出会うことも

河童や座敷わらしなど、「民話の里」として知られる岩手・遠野市。市内には古くからの姿をとどめる家々も残る。

岩手・遠野市の古くから残る民家
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中心部の築120年の商家を改築し、2020年にオープンしたのが「こども本の森遠野」。

施設は壁一面が本棚で、絵本や児童文学を中心に約13,000冊の本が所蔵されている。

遠野市 こども本の森 運営企画室・佐々木真奈美室長:
遠野と言えば「遠野物語」がある。「遠野物語」を中心に約200冊ほど並べてある

遠野や東北など地元地域の本に始まり、その種類はさまざま。全部で13のテーマに分かれて配置されている。日本や世界についての本の中には、大使館から寄贈された本もある。

東日本大震災では、被災地支援の拠点となった遠野市。市内の小学生たちが交流のあった国に手紙を送ったところ、多くの国から本の寄贈を受けたという。

遠野市 こども本の森 運営企画室・佐々木真奈美室長:
なんと36カ国、約350冊の本を大使館から寄せていただいている

施設にはこの日、地元の小学生たちが課外活動で訪れた。お気に入りの一冊を見つけるために、ちょっとした仕掛けもある。

実は、子どもたちの手が届かない6段目以上の本は展示用のもの。表紙を見て読みたくなったら、下の段に同じ本が用意されている。

遠野市 こども本の森 運営企画室・佐々木真奈美室長:
「これなんだろう」と、手に取ってみてもらう。そこが想像力の第一歩。「子どもだからこの本でよい」という考え方ではなく、「どれを取ってもよい」という風にすべて選べる

「ここでの読書が心の世界を養う体験に」

また、大事なのは本に夢中になること。きちんと椅子に腰かけても、階段に座り込んでも、本を読む場所は自由。中には、リラックスして本を読める畳の部屋もある。

建物は世界的建築家の安藤忠雄さんが設計・建築し、市へと寄付した。安藤さんは、読書を通じて子どもたちが成長することを願い、大阪で1カ所目の「こども本の森」をオープンした。復興支援への思いから、2カ所目に遠野市を選んだ。

建設にあたり、柱など一部はそのまま使い、建物そのものの歴史も残している。そこには安藤さんの「この場所で読書をする体験が心の世界を養うことにつながってほしい」という思いがある。

建築家・安藤忠雄さん:
柱を見て触ってみたら、良い質感をしている。歴史という質感。生まれ変わるためには一人ずつの心の世界が大きくならないとだめ

そして、その思いは施設を利用する子どもたちにしっかり届いている。

地元の小学生:
本もいっぱいあるし、みんなが楽しくなるところだと思った

地元の小学生:
初めて来てみてすごいと思った。図鑑もあって学べるからよい

遠野市 こども本の森 運営企画室・佐々木真奈美室長:
東日本大震災で親を亡くした子どものために、また未来へ向かうすべての子どもたちのためにという思いが根底にあるので、本との出会いから創造力を育んで世界へ羽ばたいてほしい

温かい思いがあふれる本の森が、未来を担う子どもたちを育む。

(岩手めんこいテレビ)

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