2021年11月、星野リゾートが新たに都市観光型ホテルを那覇市にオープンした。ホテル業の風雲児とも呼ばれる星野佳路代表は、コロナ禍の中でどのような活路を見出しているのか。また、沖縄観光が目指すべき将来像とは…。

最大の弱点は“夏依存” 街を楽しむ観光を

星野リゾート 星野佳路代表:
そろそろ本気になって沖縄の観光を盛り上げていくことをしっかりやらないと、沖縄の観光産業の不況は乗り越えられないだろうと私は思ってます

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星野リゾート代表、星野佳路さん。1991年に家業の旅館の代表に就任後、バブル崩壊やリーマンショック、東日本大震災などの危機を類まれな経営手腕で乗り越え、成長を続けるホテル業界の風雲児だ。

2021年11月、沖縄県内5店舗目となるホテルを那覇市松山にオープンした。これまでのリゾートタイプではないシティホテルタイプで、ホテルを拠点に那覇の街の様々な食や文化に触れてほしいと都市観光を提案している。

沖縄観光の最盛期は、マリンレジャーを楽しむことができる夏場。観光産業をさらに発展させるためには、オフシーズンと呼ばれる冬の時期に、いかに観光客を呼び込めるかがカギになると考えている。

星野リゾート 星野佳路代表:
元々、夏だけでホテルっていうのは採算合わないんですね。ホテル事業っていうのは12カ月365日空いてますから、いかに年間で平準化するかが一番重要です。沖縄観光の最大の弱点って何かというと、やっぱり夏依存しすぎるんですね

新型コロナウイルスの影響を受ける前の県内の観光客数を見ると、7月と8月にピークを迎え、12月から2月にはピークの7割程度。

1人当たりの消費単価も夏場は9万円近くだが、1月から3月は6万5000円と大きな差がある。

リゾートだけでなく「文化観光」を目指す

星野リゾート 星野佳路代表:
沖縄にはですね、夏以外にも季節があって。冬という泳げないシーズンがある。常夏ではないというところも沖縄の海のリゾートとしての弱さです。なので沖縄を年間通して稼働させるためには、何としても文化観光に振っていく必要があるんですね

星野代表は、沖縄観光の目指すべき姿は文化的な魅力を前面に打ち出し新たな需要を掘り起こすことだと力説する。

星野リゾート 星野佳路代表:
日本の観光の強みってのは、実は文化観光です。沖縄は日本の中でも、独特の文化を持ってるわけですよね。そこをしっかりと出していくことによって、日本の中でも強い観光地になり得るポテンシャルがある

今回オープンしたホテルでは、食や文化、生活スタイルや穴場のスポットなど、よりディープな沖縄の魅力発信をコンセプトに専属のスタッフが無料で案内してくれるサービスを展開している。

ホテルスタッフ:
普通の観光客の方は市場本通りに入っていくと思うんですけど、きょうはこの上に上がっていきたいと思います。昔の水上店舗の残りがこちらにあります

むつみ橋商店街入口
むつみ橋商店街入口

記者:
地元なんですけど初めて見ました

コロナ禍をチャンスに “新しい沖縄”を発信

観光客の8割がリピーターといわれる沖縄だからこそ、夏の海だけでなく新たな沖縄を発見したいという需要が確かにあるとして、星野代表はこのコロナ禍を沖縄の観光の在り方を見直す機会にしたいと考えている。

星野リゾート 星野佳路代表:
文化観光に転換しようって、良いときに踏み切ることは難しかったかもしれませんけど。コロナ禍という大きなダメージを受けたわけですが、そこから戻っていくときには、沖縄の将来のためにも年間を通して魅力のある場所なんだっていう、新しいイメージを発信しながら需要を戻していく。そういうチャンスにしていきたいと考えています

星野代表は、沖縄観光の課題として文化観光の発信を訴えたほか、食のイメージ向上も必要だと話す。

旅行において「食」は非常に重要なポイントで、観光客の年間平準化を目指すには食のイメージ改善は簡単ではないが、時間をかけてやっていく必要があると述べた。また、観光客はコロナ禍が明けたらいずれ戻ってくる、その時に備えて新たな沖縄観光を構築することが、逆境をチャンスに変える手段だと力を込めた。

(沖縄テレビ)

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