今回の衆院選では、自民党が議席を減らしたものの単独での絶対安定多数の議席を維持した。
そんな中、当選を果たした岸田総理は、自らの選挙区にほぼ戻ることができなかった。
選挙戦を支えたのは家族。妻・裕子さんの選挙戦を追った。

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自民党総裁選が行われる直前の9月中旬。

岸田首相の妻・裕子さん:
もしそういう立場(首相夫人)になったとしたら、できることがあれば、積極的に関わっていきたいと思っています

岸田文雄首相の妻、裕子さん
岸田文雄首相の妻、裕子さん

ファーストレディとしての立場を前向きにとらえ、その思いをカメラに語っていた岸田首相の妻、裕子さん。

そして迎えた岸田首相誕生の瞬間。

10月4日 岸田首相の誕生
10月4日 岸田首相の誕生

岸田首相の妻・裕子さん:
25年以上歩んできた政治の道の集大成のようなものだと思いますし、一生懸命 応援したいと思います

岸田首相誕生から6日…総理総裁の妻として応援演説へ

岸田首相の誕生から、わずか6日後の10月10日。
その姿は、「政治とカネ」の問題の震源地として注目を集めた広島3区で立候補を表明していた公明党・斉藤鉄夫副代表の事務所開きの場にあった。

公明党・斉藤鉄夫氏の事務所開き
公明党・斉藤鉄夫氏の事務所開き

「岸田旋風」といわれる中、地元広島で議席を失うことはできない。与党として重要な選挙区だ。

岸田首相の妻・裕子さん:
よろしくお願いいたします

公明党・斉藤鉄夫副代表:
ありがとうございます

10月19日、衆院選の公示日。裕子さんは、広島1区の出陣式の会場にいた。
たくさんの支援者が集まる中で、総理大臣である夫の姿はない。

岸田首相の妻・裕子さん:
この度の選挙、主人は全国の自民党候補者の応援にただいま駆け巡っております。そして、この地元広島1区には、ほとんどおそらく一度も帰ってくることはできないのではないかと思っております

衆院選の公示日 広島1区の出陣式の会場
衆院選の公示日 広島1区の出陣式の会場

選挙期間の12日間で岸田首相が広島入りしたのは、わずか2日。
それも、自身の選挙区である広島1区にはほとんど入らず、党の総裁として情勢が厳しい選挙区への応援演説に入ることが大きな目的だった。

広島3区での応援演説(10月20日)
広島3区での応援演説(10月20日)

岸田文雄首相:
ぜひこの広島3区、斉藤鉄夫、斉藤鉄夫、みなさんの力で勝利に向けて押し上げていただきますよう心からお願いを申し上げます

本人不在の中、総理総裁の妻として、その活動は1区だけにとどまらない。
県内でも特に情勢が厳しい選挙区の応援演説に入る。

三次市は、裕子さんのふるさと。
県北でいまだ根強い人気を誇る、亀井静香元金融担当大臣。その事実上の後継者である対立候補の票を切り崩すのが目的だ。

広島6区での応援演説
広島6区での応援演説

岸田首相の妻・裕子さん:
小島敏文さんは、岸田が掲げます政策実現のためにも本当に日夜努力していただき、支えていただいていると岸田文雄も申しておりました

「朝ご飯はちゃんと食べた?」「ちゃんと寝られてますか?」

県内のみならず、沖縄や宮崎など、県外の選挙区にも応援演説に出向いた裕子さん。
自身の体調だけでなく、気になるのは夫の体調。

岸田首相の妻・裕子さん:
お互いに体に気をつけて、体調に気をつけながら最後まで頑張るということで、朝ご飯はちゃんと食べたの?とか、ちゃんと寝られてますか?とか、そういう話をしたりしてます

過密スケジュールの中、週末には地域のみなさんが集まるグランドゴルフ大会に参加。
芸術鑑賞会にも訪れ、一人一人との交流を通して支持を広げていく。

そこには、夫の立場を気遣う裕子さんの思いやりがあった。

岸田首相の妻・裕子さん:
これまでとはやはり立場は違うと思いますし、それだけ重い責任を担って、今回は選挙に臨んでいると思います

本人不在の選挙戦。夫の重責を少しでも担ってあげたい。

投開票日の前日には、岸田総理の秘書を務める翔太郎さんなど息子たち3人とともに広島市内中心部を練り歩き、支持を呼びかけた。

選挙戦に家族総出で挑む
選挙戦に家族総出で挑む

裕子さんだけでなく息子たちも選挙戦に入り、多忙な日々を過ごしている。

岸田首相の妻・裕子さん:
帰ってくる時間もバラバラで遅かったりもするし、なかなかそろって一緒にご飯を食べたりとか、話をしたりっていう時間はないですね

家族総出で挑んだ選挙戦…獲得票数は過去最多13万3000票余り

衆院選の選挙活動最終日の午後8時前。
選挙活動ができるギリギリまで選挙カーを走らせ、12日間の本人不在の過密スケジュールを駆け抜けた。

家族総出で挑んだ今回の選挙戦。
この瞬間だけは、気心知れたスタッフを前に、やり遂げた安堵の表情を見せた。

過密スケジュールを終えて安堵の表情
過密スケジュールを終えて安堵の表情

そして――

「バンザーイ!バンザーイ!」

岸田首相の妻・裕子さん:
主人が帰ってくることができない選挙でしたけれども、皆さま本当にそのことをよくよくわかってくださって、支えていただいたこと、本当にあらためて心から感謝申し上げます。ありがとうございました

獲得した票数は13万3000票余り。過去最多となる圧勝の得票数だった。

総理大臣に就任した夫の両肩に重くのしかかった重責を共に分かち合い、そして共に歩んだ12日間。裕子さんのファーストレディとしての役目は、まだ始まったばかり。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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