近年、沖縄のコーヒーシーンは国内外からも注目されている。なぜ注目されるのか?そこには沖縄の独自の歴史や文化が関わっていた。
沖縄のコーヒーシーンが熱い理由。ちょっと驚く秘密に迫った。

1年間21.4リットルのコーヒー飲む沖縄県民

10月1日の「国際コーヒーの日」。那覇市では、沖縄初のバリスタのコンテストで盛り上がった。
総務省の調べによると、沖縄県民が1年間に飲むコーヒーは21.4リットルと全国6位。沖縄県民はコーヒー好き。

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バリスタコンテスト来場者:
沖縄の味を飲んでみたいな、と思ってて

バリスタコンテスト来場者:
北部とかでも豆作ってるじゃないですか。そこのへんでも、すごい盛んになってるなって感じます

コーヒー文化の幕開けはインスタントコーヒー

栽培から1杯のコーヒーまで「コーヒーアイランド・沖縄」。そこには意外な歴史があり、沖縄戦がこの島に様々な大きな変化をもたらした。
戦後のアメリカ統治下で、1950年代から街には「コーヒーシャープ」という看板が見られるようになった。実はこれ「コーヒーショップ」のこと。米兵たちが日常に飲むコーヒーが、沖縄にも広まった。

1962年創業のレストラン。前身は「コーヒーシャープ・ルビー」。創業者の仲松キクさんは那覇軍港で働いていた経験を生かし、24歳でお店を立ち上げた。

軽食の店ルビー創業者 仲松キクさん:
兵隊がいっぱいコーヒー飲みに来て、トーストを食べたりしていた。インスタントですよ、おいしかったですよ。コーヒーは1日に何杯も飲んでいました

戦後沖縄のコーヒー文化の幕開けは、アメリカのインスタントコーヒーとコーヒーシャープ。1970年代になると、南米からの苗を使ったコーヒー栽培も。その背景にあったのは、「移民大国・沖縄」。南米移民の影響で、豆から淹れる本格的なコーヒーが人気に。

「沖縄のコーヒー凄いと言われたい」

1986年創業の浦添市にある「沖縄セラードコーヒー」。海外からコーヒー豆を輸入し、焙煎、販売に取り組んできた。
その頃から今も続けているのが「オフィスコーヒー」。官庁や企業で美味しいコーヒーを、と自家焙煎のコーヒーを配達するサービスだ。1000件余りのオフィスに今も配達を続けている。

沖縄セラードコーヒー代表取締役社長 末吉業久さん:
あの当時、インスタントコーヒーが主流で、自分の方で焙煎して。いい焙煎でいいもの、それも価格もできるだけ安く。それが基本で今までやってきた。40代、50代の人が入社からずっと、うちのオフィスコーヒーを飲んでいる

長年にわたってコーヒーファンを増やしてきた。2010年からは自社農園をスタート。
本来コーヒーができる地域ではない沖縄。台風など厳しい気候に直面し、8年かけてやっと念願の自社農園でコーヒーを収穫。2018年からは毎年1度、自社農園のコーヒーを販売している。

沖縄セラードコーヒー専務取締役 末吉業充さん:
これはアガリバルコーヒー、自社農園で栽培してるコーヒーですね、4月中旬から販売開始して280パッケージ。100gで販売してるんですけど、1週間くらいでしたかね、完売になりました

沖縄セラードコーヒー代表取締役社長 末吉業久さん:
沖縄のコーヒーってすごいよねって言われたい。これが夢なのかな。難儀ではあるよ

日本初、最高品質のスペシャルティコーヒー認定

2000年代になると、沖縄のコーヒーシーンに大きな変化が次々と訪れた。
那覇市でコーヒーショップを開いている山田哲史さん。2006年に国内の焙煎士のコンテストで5位に入賞。本格的な焙煎、沖縄の技術の高さに多くの人たちが注目し始めた。

何より沖縄産のコーヒーの存在を世界的に知らしめたのが、国頭村のアダファームだ。

2017年、世界で最高品質のスペシャルティコーヒーに日本初で認定された。コーヒーは農作物という原点に立ち戻り、沖縄の厳しい気候、山原の豊かな自然に真摯に向かい合った品質の高いコーヒーを世界が評価した。

アダファーム代表 徳田奏二郎さん:
日本でコーヒー栽培するなんて、まあ夢のまた夢というか。この環境が作ってるコーヒー、僕が作っているわけではないので、育ててくれているのはこの農園であり、ここの環境であるので

アダファームの受賞は、沖縄のコーヒーを一気に世界へと押し上げた。
2021年4月には、世界的な珈琲業界紙が沖縄を特集。コーヒーアイランド、沖縄へ熱い視線を注いでいる。

1杯の美味しいコーヒーへの情熱が、コーヒーアイランド・沖縄をさらに広げていく。

(沖縄テレビ)

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