1人で家計を支えながら子どもを育ててきたシングルマザーや、困窮世帯の支援を行う人たちは、今回の衆院選でどのような一票を託すのか。
沖縄・読谷村に住む保育士の與那覇沙姫さん。短大在学中に息子を出産し、卒業後は女手一つで子どもを育ててきた。社会に出た当時のことをこう振り返る。

国の子育て支援は不十分

與那覇沙姫さん:
社会ってこうなんだっていうのを突き付けられたかな。毎月11万とか12万の給料では、ボーナスを切り崩して赤字状態。ぎりぎりの状態なので、その時に私って困っているんだって分かって

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家賃や光熱費、息子の保育料に学費の返済。毎月の出費はかさみ、生活だけでなく精神的にも追い詰められる日々が続いた。

與那覇沙姫さん:
ストレス発散のためにお酒を飲む。そしたら次の日、起きずらい。
息子はまだ2、3歳で、お母さんに着替えも手伝ってほしい、ご飯を食べるのも手伝ってほしいという思いがいっぱいあったはずだけど。受け止められてなかったなっていうのが、すごいあって

今も中学生になった息子の給食費や塾代の支払いなど、シングルマザーとして子どもを育てる苦悩は続いているが、生活には少しずつ余裕が出てきた。
2018年に導入された幼児教育・保育の無償化については一定の評価はしているが、ひとり親世帯や困窮世帯に対する国の子育て支援は、いまだ不十分だと訴える。

買いたいものが変える社会に…

與那覇沙姫さん:
高校まで無償にするとか、中学校まで給食費を無償にするとか、そういう所に支援をあてないといけない。(当時は)買いたくないものを買っていたなって思うんですよ、お金がないから。ここでしか買えないっていう選択しかできないというのが、すごい不平等と思って

誰が当選しても政治は変わらないのでは。諦めにも似た気持ちもあるという與那覇さん。
それでも、誰もが買いたいものを買えるような社会になってほしいと、切なる一票を投じる。

與那覇沙姫さん:
社会のルールを変えるために一票を投じるっていう所からじゃないと始まらない。だからやっぱり、政治は諦めても関わらないといけない。
自分が好きなものを当たり前のように選べる、買える、選択できる社会にしたいなって

これまで多くの困窮世帯を見てきた人がいる。食料支援のボランティアを続ける「女性を元気にする会」のゴージャス理枝さん。

ゴージャス理枝さん:
真夏なのにクーラーがかかっていない世帯、電気が通っていない世帯、携帯電話もつながらない世帯だったり。
やっぱり沖縄の現状、沖縄の貧困がここまで進んでいるんだっていうのを、私も正直びっくりした

新型コロナの影響が貧困に輪をかけ…SOSの声急増

月に10世帯程度だった食料の配達も、今は40世帯ほどに膨れ上がっている。
この中でゴージャスさんは、複雑な家庭環境からひとり親などの枠にも当てはまらず、支援を受けられない人達が貧困に喘ぐ現状を目の当たりにしてきた。

ゴージャス理枝さん:
離婚調停中だったりとか、旦那が給料を持ってこないとか、祖母が子どもを育てている世帯とか、支援の対象外ですね。私も行政と連絡を取り合って、どうにかできないかっていう話は進めてはいるんですけど、法律の線引きが厳しくて、支援対象にならない人たちが結構います

沖縄県では子どもの4人に1人が貧困と言われ、今回の衆院選でも多くの候補者が子どもの貧困対策の強化を掲げている。

ゴージャス理枝さん:
一番上に立つからこそ、一番下の人の話に耳を傾ける。県民一人一人に寄り添って、どんな考えをして今何が必要なのか、何が足りないのか。
負の連鎖は断ち切らないと、負の連鎖はずっと続いているので。
今コロナの影響で浮き彫りになったからこそ、(困窮世帯に)一歩踏み出すチャンスときっかけを与えてもらえたらなと思っています

ゴージャスさんは、子どもの貧困は大人の貧困でもあるとして、様々な立場の声を政治に反映し、誰一人取り残さない社会を作ってくれる人に一票を託したいと話す。

(沖縄テレビ)

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