果物の栽培を通して、規格外の農産物が捨てられてしまう「フードロス」の問題に取り組む、モモ農家「ベリーズガーデン」の景井愛実さんを取材した。
景井さんに会うため、福島市にある事務所へ。

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元々はアパレル販売の仕事をしていたが、結婚をけっかけに農家の嫁として農業に携わるようになった。そして2017年に、「ベリーズガーデン」を発足。福島の農産物を広めたいと、さまざまな商品をプロデュースしてきた。

ベリーズガーデンの立ち上げには、農業に携わることで感じたある思いが…

ベリーズガーデン・景井愛実さん:
どうしても形が悪いとか見た目が悪いと、食べていただけないっていう現状を畑の中で目にして。家族が一生懸命育てているのを見ていたので、「何か解決できる方法ないか」というところからスタートしました

規格外の果物をドライフルーツに…「オシャレさ」もポイント

規格外の農産物が捨てられてしまう「フードロス問題」。

ベリーズガーデン・景井愛実さん:
目の前に生のリンゴやモモがあったので、その良さはそのままに形とかを変えてお届けできないかなと思い、スムージーのアドバイザーを取得して、イベントやワークショップでいろんな方にお伝えし始めたっていうのが最初ですね

まずは、フードロス問題を解決していくためにスムージー作りをスタート。福島の農産物のおいしさを広めていった。

ベリーズガーデン・景井愛実さん:
生の果物が目の前にあることや、遠くの方には伝えられないことから、今度は加工品を作ろうと思って

こうしてベリーズガーデンでは、規格外の農産物も使用した加工品作りにチャレンジ。

「福島から生まれた果物で、大切な日常のスキマに幸せを届けたい」
景井さんのそんな思いが込められている。

我如古梨乃アナウンサー:
オシャレをポイントの一つにしているんですか?

ベリーズガーデン・景井愛実さん:
そうですね。わたし自身がかわいいものがすごく好きで、あまり農業に興味ない方でもかわいさだったりとか、そういったところからでも欲しいなとか思っていただけたらいいなと思って作ったんですけれども

ドライフルーツには、福島県産のモモとリンゴのほかに、他県とも連携をしていきたいと熊本産のミカンを使用している。
砂糖を加えず低温で乾燥させているため、果物のおいしさがそのまま感じられる。

イチオシの「モモ」のドライフルーツをいただいた。

我如古梨乃アナウンサー:
モモの甘みがふんだんに感じられますね。噛めば噛むほど、モモの甘い香りが。風味が豊かで、これすごくおいしいです

そして、もう一つご紹介したいのが、このオシャレなボトル。

ベリーズガーデン・景井愛実さん:
今はドライフルーツだけが入ってるのですが、こちらに炭酸水を入れて1時間ほど冷やしていただくとドリンクが作れるという商品なので、ちょっと入れてみます

炭酸水を入れるだけで簡単に作れるドリンク。イチゴやモモのドライフルーツのほかに、ハーブのハイビスカスが入っているので綺麗なピンク色に。

我如古梨乃アナウンサー:
イチゴの香りがフワッと来ますね。炭酸のシュワッとしたものと、ドライフルーツが柔らかくなっているので、その食感がなんとも言えません。これはすごく華やかで、味もとてもおいしいです

景井さんは、こうした加工品を作るだけでなく、畑を借りて自らモモの栽培も始めた。

ベリーズガーデン・景井愛実さん:
食べてくださる方に来ていただくことで、もっとその農産物の価値が一緒に共有できたり理解していただけると、結果、捨てるという「フードロス」の解決につながるんじゃないかなというところに気づいて。
1つは収穫の時期にお客さまに来ていただいて、自分でモモを収穫していただくということを行ったりですとか

ベリーズガーデン・景井愛実さん:
配送には耐えられるけれど、形や色は畑そのものですよというようなセットを作って配送させていただくという2つのパターンで、農産物を食べていただきました

キズの理由を知れば「皮をむけば大丈夫という判断に」

最近では、景井さんの活動に共感して協力してくれる農家も増えたという。やってきたのは、福島市町庭坂にあるリンゴ畑。
「八木沼果樹園」の八木沼恵子さんは、リンゴのほかにナシやキウイを栽培している。

景井さんは、自分の畑でモモを栽培する前に、八木沼果樹園で果物の栽培について研修を受けていたそう。
八木沼さんは、景井さんの活動をどのように感じているのか?

八木沼果樹園・八木沼恵子さん:
畑の現状を、一般の方や小さいお子さんに知ってもらわないと、そのあとの生産の未来や消費者の未来がないんじゃないかなと思う。生産しているだけだと発信に限界がある。
そういうところを愛美さんがイベントだったり楽しいことだったり、発信力を持って皆さんに伝えてくれるので、そういうところでお手伝いしたいなって思ってます

畑には、数は少ないがキズがついてしまっているリンゴがある。キズがついたリンゴも収穫はするが、やはり販売しにくいという。

ベリーズガーデン・景井愛実さん:
たまたまそこに虫がいたりとか、鳥がいたりとか、リンゴ同士がぶつかってキズができたり、自然の影響というのはどこにでもあって。
その背景や現状を知ったうえで、じゃあ何を選ぶかということを、消費者と一緒に考えていけたらと思う

キズがついてしまったりんごを食べてみた。

我如古梨乃アナウンサー:
皮をむくと全くわからないですね

我如古梨乃アナウンサー:
甘い。シャキシャキですよ。しっかり茶色い斑点ついていたのに、味に問題ないですね。これはむいたまま出したらわかりません。おいしいです。
皮をむいて食べると、見た目がちょっと悪かったりっていうのは全くわからないんですね

ベリーズガーデン・景井愛実さん:
キズなどができている理由を知れば、皮をむけば大丈夫という判断ができたり、おいしく食べられるというのを感じてもらえるかなと思う

八木沼果樹園でも、お客さんに直接畑を見てもらおうと、影井さんと一緒にこのリンゴ畑で収穫イベントを実施する予定。

八木沼果樹園・八木沼恵子さん:
生産のありのままを見てもらえるせっかくの機会なので、畑に来てリフレッシュしてもらって、現状を見てもらいたいなと思っています

我如古梨乃アナウンサー:
ありのままの果物を受け入れられる環境、そしてお2人のフードロス削減という展望。どんどん広がっていくといいですね

【取材後記】
今回取材させていただいた景井愛実さんは、農業に携わる中で東日本大震災後の風評被害を経験。さらに、大量の果物が廃棄されるフードロスの現状を知り、活動をスタートされました。

もともとは「アパレル関係の仕事」という全く別の業界で働いていた景井さんですが、農家に嫁ぎ、農業に携わる中で目の当たりにした現状を、少しでも解決できないかと自ら動きだされたところに女性としての強さを感じました。

私も実際に畑にお邪魔することで、見た目のきれいさだけにこだわらないどんなものでもおいしく感謝していただくことの大切さをあらためて実感しました。
キズがついたり形が悪かったりしても、皮をむくと全くわからないものなんです。

いつでも何にでも感謝していただくことが、フードロス問題解決の一助になるのではないかと、今回の取材を通して強く感じました。

(我如古梨乃 福島テレビ・アナウンサー)