今シーズンのフィギュアスケートブロック大会最後となる近畿選手権が、10月8日から10日にかけて行われ、シニア女子は坂本花織、シニア男子は友野一希が優勝した。
6つの地方大会、そして東西日本選手権を勝ち抜いた選手たちだけが、年末の全日本選手権の舞台にたどり着くことができる。
今回は近畿選手権から西日本選手権への進出を決めた全カテゴリーの選手たちを振り返っていく。
【シニア女子】
シニア女子では、西日本選手権への出場枠は12枠。優勝したのは、10月に4週連続で試合に出場するというハードなスケジュールの中で挑んだ坂本花織だ。

「朝の公式練習からお腹は凄い攣るなって思っていて、本番も見事に攣っちゃって、足もなんかおまけについて…」
ショート後の会見でこう話した坂本。最初のスピンの際に腹筋と左ふくらはぎが攣るというアクシデントに襲われ、その後の3回転の連続ジャンプも「おらー」と気合で飛んだと笑った。
近畿選手権🍵シニア女子
— 【公式】フジテレビスケート (@online_on_ice) October 9, 2021
SP1位は坂本花織選手✨
演技開始直後にお腹と左脚をつってしまうアクシデント発生🚨😭まさかの滑り出しでしたが「意地で跳んだ」と全てのジャンプを着氷し72.02点⛸
連戦の疲れの中でしっかりまとめる強さを見せました✊🏻🔥#figureskate #スケーターとつながろう#FODで配信中 pic.twitter.com/LZQCP4flV8
今季のショートのテーマは「自由」や「縛りからの解放」。自由になれる喜びや嬉しさを表現したいという。
「トリプルアクセルがない分、演技構成点を上げて、技術点に関してもいかにGOE(出来栄え点)をもらうか。そう考えた時に“繋ぎの動き”がすごく大事になってくるので、こだわっている」

フリーでは、ミスが目立ち安定感を欠いた。
「これ以上無いボロボロ(の演技)をしてしまったなという一言です」
ジャンプも乱れ、スピンにまでミスが出てしまった演技について、前週のジャパンオープンからの調整不足と話した。フリーのテーマ「大人の女性」を、どう表現したらいいか試行錯誤を重ねているという坂本は、納得いかない様子を見せながらもフリー120.12点で近畿選手権を優勝で飾った。
試合翌日には成田に移動し、14日から北京で開催されるアジアンオープントロフィーに臨む。目標は「今日の自分に勝つこと」と宣言していた。

2位に入った河辺愛菜は、ショートの演技が終わった瞬間、少し首をかしげるような様子を見せていた。
「トリプルアクセルがないと、自分は上にいけないと思っているので」と、初めてショートでトリプルアクセルに挑戦し成功するも、コンビネーションジャンプにミスが出てしまった。
フリーでは惜しくもトリプルアクセルで転倒してしまったが、それ以外は大きなミスなくまとめた河辺。
今季の目標はショート・フリー共にミス無く演技をすることで、210点を超えることが目標と堅実さを見せた。また、オリンピックには出たいがあまり意識しないようにして、まずは全日本選手権で表彰台に立つことを目標に掲げている。

1 坂本 花織(シスメックス)192.14
2 河辺 愛菜(木下アカデミー)184.14
3 籠谷 歩未(同志社大学)163.87
4 白岩 優奈(関西大学)159.99
5 野口 望々花(関西学院大学)139.81
6 森下 実咲(関西大学)139.31
7 加藤 日向子(同志社大学)135.68
8 高村 幸来(臨海フィギュアSC)131.81
9 小嶋 孝夏(西宮甲英高等学院)127.54
10 片平 陽冬(立命館大学)117.66
11 三善 友奈(立命館大学)117.10
12 井上 晴絵(立命館大学)114.28
【シニア男子】
シニア男子では8人が西日本進出を決めた。

優勝したのは唯一200点を超えた友野一希。
ショートでは4回転トゥループ+3回転トゥループを決めることを一番の目標にしていたが、4回転トゥループ+2回転トゥループになってしまい、続く4回転サルコウは転倒。インタビューで悔しさをにじませたが、「失敗を恐れず試合に挑みたい」と前を向いた。

しかしフリーは、ミスが目立った最終グループの悪い流れに乗ってしまい「雰囲気に飲まれた」という。冒頭に持ってきた4回転トゥループと4回転サルコウに失敗。「話しにならない」と反省の色を見せた。
「今後は、悪い時でもどういう演技ができるかってことに、これからしっかり練習して行きたいです」
振付を担当したミーシャ・ジーとは、毎試合後に電話でミーティングを行い、先週のジャパンオープン後は「ジャンプばかりで演技に気持ちが行き届いていない」と叱責されたと明かした。「弱い自分を叩き直してくれる存在」だというミーシャとのミーティングを経て、次戦は11月に行われるグランプリシリーズイタリア大会だ。

1 友野 一希(セントラルスポーツ)201.24
2 本田 ルーカス剛史(木下アカデミー)176.28
3 櫛田 一樹(関西学院大学)175.82
4 森口 澄士(木下アカデミー)167.90
5 須本 光希(関西大学)165.25
6 辻村 岳也(同志社大学)146.27
7 木科 雄登(関西大学)127.84
8 前川 裕士(大阪市立大学FSC)72.90
【ジュニア女子】
13歳から19歳までの選手が出場するジュニアクラスでは、女子が11人、男子は17人が西日本選手権に進出を決めた。

女子はジュニアデビューイヤーの櫛田育良が初優勝。
「初めて試合でルッツトゥをいれられたことが嬉しい。60点が初めて出たので嬉しかったです」
ショート当日の公式練習では、試合が楽しみで興奮して体が動きすぎてしまいミスをしてしまったと話していたが、本番では3回転ルッツ+3回転トゥループも、試合では初めて成功させ、ミス無く演技を終えた。

フリーでも3回転ルッツ+3回転トゥループ、3回転サルコウ+3回転トゥループの2本のコンビネーションをしっかりと成功させ、ノーミスで120点というハイスコアを叩き出した。最後までスピードがあり、伸びやかなスケーティングが印象的で、ショート・フリー減点なしの完璧な演技を見せた。
森口澄士と組んでペア競技にも挑戦していたが、6月頃にカップルを解消。ペアで体幹が鍛えられジャンプが安定したと話す櫛田、今年はシングルに専念することになりそうだ。

3位の吉田陽菜は、ショートでジャンプが乱れ5位。しかしフリーでトリプルアクセルを2本成功させ1位となり、逆転の表彰台に立った。
トリプルアクセルについては「(2本は)自分がやらなければいけない最低限の構成」と話し、「回転不足とかもあったし、まだまだ課題があるので、全然納得してないし、ショートでもすごい悔しかった」と厳しさを見せた。
昨年2位だった全日本ジュニアでの優勝を目標に掲げている吉田だが、3回転アクセル+3回転トゥループの試合での成功は紀平梨花以来2人目だ。
「(3位という結果に関しては)悔しい気持ちが一番大きい」と話した吉田は、「ジャンプだけじゃなくて、表現の面でもまだシニアには全然届かないので、ちゃんと練習しないと」と先を見据えていた。

1 櫛田 育良(木下アカデミー)183.47
2 柴山 歩(木下アカデミー)179.97
3 吉田 陽菜(木下アカデミー)178.41
4 大門 桜子(木下アカデミー)169.52
5 田中 梓沙(木下アカデミー)166.07
6 清水 咲衣(大阪スケート倶楽部 )147.97
7 岩崎 陽菜(なみはやクラブ)140.38
8 吉本 玲(神戸クラブ)133.19
9 緒方 美揺(ひょうご西宮FSC)132.25
10 柚木 心結(京都宇治FSC)132.09
11 高橋 萌音(神戸クラブ)128.38
【ジュニア男子】
ジュニア男子で優勝した中村俊介のショートプログラム「eye」は、本人が“神”と崇める髙橋大輔がバンクーバー五輪で銅メダルを獲得した時のプログラムだ。
「使うのがちょっと怖かったけど、もうやるしか無い」という気持ちで取り組んだというが、週に1回は髙橋が滑る映像を見て学んでいるという。

フリーでは4回転トゥループの転倒を始め、ジャンプのミスが目立ち、4回転サルコウも回避。納得していない様子をみせた。
中村の今季の目標は200点超えと全日本選手権出場で、「今後は4回転を確実に跳べるようにしたい」と意気込んだ。
近畿選手権🍵Jr.男子
— 【公式】フジテレビスケート (@online_on_ice) October 9, 2021
優勝は中村俊介選手🏆
逆転Vも4回転ジャンプが決められず猛反省😣同期の三浦佳生選手に刺激を受け⚡️更に成長中⤴️
今季の目標は200点越え❗️💪
🥈は壷井達也選手🥉は吉岡希選手
西日本へは17名が出場を決めています🙆♂️#figureskate #スケーターとつながろう pic.twitter.com/RHrsnSCSpB
1 中村 俊介(木下アカデミー)183.91
2 壷井 達也(神戸大学)173.08
3 吉岡 希(西宮甲英高等学院)170.51
4 片伊勢 武(神戸クラブ)165.78
5 垣内 珀琉(ひょうご西宮FSC)159.64
6 森本 涼雅(木下アカデミー)152.14
7 朝賀 俊太朗(木下アカデミー)147.53
8 小林 隼(滋賀短期大学附属高校)146.07
9 小島 志凰(浪速中・高スケート部)138.75
10 磯和 大智(京都宇治FSC)127.32
11 磯和 大雅(京都宇治FSC)116.73
12 石原 弘斗(京都宇治FSC)114.72
13 織田 信義(大阪スケート倶楽部)114.21
14 定山 照永(臨海フィギュアSC)110.79
15 佐藤 光(ひょうご西宮FSC)108.52
16 生田 琉悟(大阪スケート倶楽部)102.59
17 森岡 知也(京都アクアリーナSC)100.44
【ノービスAB女子・男子】
11〜13歳が参加するノービスAクラスと、9〜11歳が参加するBクラスでは、この近畿選手権を通過すると、全日本ノービスに挑むことになる。

ノービスA女子で圧倒的な勝利を見せたのが、「オリンピックに出て金メダルをとること」と将来の夢を語った島田麻央だ。
今年3月の京都府選手権で日本女子として初成功した4回転トゥループを、プログラム冒頭に持ってきて、この日も成功。それ以外のジャンプもノーミスで、2位と大差をつけて優勝した。

初めて4回転トゥループを成功させた京都府選手権では117.74点だったが、今回は120.83点。
「4回転以外にも進歩したところがあったと思うので、点数に現れてよかった」と笑顔をみせた。
10月の全日本ノービスへの出場が決まったのは、以下の選手たちだ。

ノービスA女子
1 島田 麻央(木下アカデミー)120.83
2 村上 遥奈(木下アカデミー)96.55
3 嶋田 愛和(関西大学KFSC)68.79
4 北谷 美結(京都宇治FSC)63.80
5 柚木 心春(京都宇治FSC)63.52
6 北村 かえで(関西大学中・高スケート部)63.09
7 大山 莉奈(神戸クラブ)62.47

ノービスA男子
1 高橋 星名(京都宇治FSC)86.03
2 芳岡 優希(木下アカデミー)83.99
3 向野 慶(神戸ポートアイランドクラブ)74.92
4 柴山 旺大(京都宇治FSC)69.02
5 飛永 恭兵(大阪スケート倶楽部)62.40
6 水越 遼弥(なみはやクラブ)61.99
ノービスB女子1年目、ブロック大会デビューで優勝した金沢純禾。

「目標は80点台だったので悔しい」と話したが、9歳ながら3回転のコンビネーションや3連続ジャンプも成功させ、2位とは大差をつけての勝利だ。
冒頭の3回転ルッツが成功したら3回転サルコウ+3回転トゥループに挑戦していいと先生に言われていたというが、「やっちゃいました」と3回転ルッツがステップアウトしたが挑戦して見事成功させた。

初めてのブロック大会は「あんまり緊張しなかった」と気持ちの強さも見せた金沢は、全日本ノービスでは優勝する自信があるか聞かれると、はっきりと「あります」と答えていた。

ノービスB女子
1 金沢 純禾(木下アカデミー)77.33
2 川勝 玲奈(京都宇治FSC)67.59
3 鈴木 華乃(木下アカデミー)63.97
4 中島 羽菜(ひょうご西宮FSC)59.94
5 増尾 歩(京都宇治FSC)58.92
6 松浪 ひかり(関西大学KFSC)55.89
7 上田 琴(神戸ポートアイランドクラブ)53.41
8 能登 咲空(ひょうご西宮FSC)50.03
9 宮岡 光(ひょうご西宮FSC)48.60
10 國時 理沙(神戸クラブ)46.38

ノービスB男子
1 佐野 海音(滋賀ドリームFSC)50.68
2 多々納 怜(臨海フィギュアSC)39.02