フィギュアスケート・東京選手権が10月8日から10日にかけて行われ、シニア女子は宮原知子、シニア男子は長谷川一輝が優勝した。

今回は、東京選手権の優勝者、東日本選手権の進出を決めた全カテゴリーの選手たちを振り返っていく。

本格的にフィギュアスケートのシーズンが始まり、東京選手権は北京五輪代表選考会となる12月の全日本選手権への予選会でもある。

6つの地方大会、そして東・西日本選手権を勝ち抜いた選手たちだけが、年末の全日本の舞台にたどり着くことができる。

【シニア女子】

シニア女子の表彰台
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シニア女子は、シードの宮原知子を除く15名が東日本選手権の進出を決めた(樋口新葉は免除)。

2013年の近畿選手権以来、8年ぶりのブロック出場となった宮原が、圧倒的な力を見せつけ優勝。初めての東京選手権への出場を「ここにいるのがすごく変な感じはしているんですけど、新鮮な感じで試合できたと思います」と振り返る。

試合後のインタビューに応じてくれた宮原知子

昨シーズンは新型コロナウイルスの影響で試合数も少なく、12月の全日本がシーズン初戦、世界選手権が2試合目という異例シーズンを経験。

10月2日のジャパンオープンから連戦となった宮原は、「本番を重ねることがすごく大事だっていうのを去年の一年間で感じた。練習で試合形式風にしても限界があって、実際の試合は全然違うので連戦にはなるけど頑張ろうと思って出ることにしました」と明かす。

ショートの演技を披露する宮原知子

ショートでは2019年全日本選手権以来の70点超え。冒頭の3回転ルッツ+3回転トゥループはセカンドジャンプが回転不足となったが、単独ジャンプはこれまでの3回転ループから3回転フリップに戻し、難易度を上げた。スピンやステップは全て最高評価のレベル4。動きの一つ一つが芸術作品のような美しい演技を披露した。

宮原知子のフリー

フリーは前週のジャパンオープンを受けて「自分の見せたい滑りがトリプルアクセルを入れることで落ちてしまう気持ちがあり、思い切って3回転アクセルなしで滑りを意識した演技にしよう」と、練習を重ねていた3回転アクセルを回避。

3回転ルッツと3回転トゥループのコンビネーションジャンプでセカンドジャンプが2回転になったが、136.55点をマーク。合計208.85で優勝し、「まずまずの出来ができて良かった」と演技を振り返った。

宮原にとって“新しい挑戦”となるトリプルアクセル。今後構成に入れる可能性について聞かれると「試合に入れるかどうかは、まだ諦めていないんですけど、自分の調子や状態を振り返ってその都度決めていきたい」としながらも、「アクセルを入れることで、どうしても他のジャンプにも影響が出ますし、自分の滑りが硬くなったと感じた。自分らしいスケーティングの伸びがなくなる原因になっている」と迷いも明かした。

選手からも憧れられるスケーティング技術を持つ宮原。この先、彼女がどう選択するのか注目していきたい。

1 宮原 知子(木下グループ)208.85
2 渡辺 倫果(法政大学182.67
3 松原 星  (明治大学)171.44
4 川畑 和愛(早稲田大学)170.42
5 青木 祐奈(日本大学)168.15
6 海津 あすか(東洋大学)153.48
7 井上 千尋(明治大学)150.50
8 横谷 杏林(東京歯科大学)145.44
9 堀見 華那(明治大学)142.02
10 佐上 黎  (法政大学)141.40
11 増田 未夢(東洋大学)140.96
12 本田 真凜(JAL)140.70
13 依田 茉里紗(日本大学)140.18
14 廣田 彩乃(専修大学)136.44
15 佐藤 伊吹(明治大学)132.94
16 村田 直美(日本大学)132.45

【シニア男子】

シニア男子の表彰台

男子は出場者全員が東日本選手権へ進出。

優勝した長谷川一輝は安定感のある3回転ルッツや3回転フリップを武器に、東京ブロックで初優勝。今年5月に20歳になった長谷川は、北海道から東京へ来て2年目。コロナ禍で実家に帰ることができない状況だったため一人でビールを飲んだというが、初めてのビールの味は「美味しくなかったですよ」と明かした。

現役大学生の長谷川一輝

東京理科大学先進工学部マテリアル創成工学科の大学2年生で、さまざまな“材料”の性質などを研究中。学業にも熱が入るが、「今シーズンは全日本に出場し、さらに上の順位を目指したい」とスケートも向上心を持って取り組んでいる。

長谷川一輝のショート

コーチの提案でショートはブルースに挑戦した長谷川。フリーは得意の流れるような曲、ビートルズ・コンチェルトで挑み、「こういうスケートが“僕の滑り”っていうのをしっかり見せられるようなプログラムになっています」とアピール。

フリーを披露する長谷川一輝

昨年は届かなかった表彰台。優勝したことに関して「純粋にうれしい気持ちが大きい」と喜んだ。東日本選手権までには、3回転アクセルを再び構成に戻したいなど課題も挙げた。

1 長谷川  一輝(東京理科大学)175.41
2 石塚  玲雄(早稲田大学)172.97
3 山隈  太一朗(明治大学)153.60
4 古庄  優雅(日本大学)151.69
5 佐藤  由基(日本大学)142.48
6 堀    義正(明治大学)140.26
7 松井  努夢(明治大学)132.29
8 緑川  諒人(日本大学)121.03
9 鈴木  楽人(法政大学)120.16
10 福島  寛輝(専修大学)108.99
11 齋藤  翔  (法政大学)106.75

【ジュニア男子】

ジュニア男子の表彰台

ジュニア男子ではシードの三浦佳生を除く11名が、東日本ジュニア選手権への出場を決めた。

ジュニア男子の中で唯一200点台を出し圧勝した三浦。ショートで初の80点超えをたたき出し、すべてのジャンプで出来栄えが評価され1点以上の加点がついた。ヴィヴァルディの「四季」より「冬」に乗せ、スピードと勢いを見せた一方で、ステップはレベル1だったため、課題も見えた。

ジュニア男子で優勝した三浦佳生

「四季」は過去にもさまざまな選手が使用した楽曲であり、三浦はショートを滑るにあたって宇野昌磨を参考にしたと明かす。「ステップ1つ1つの緩急や表現がすごくて、後半に向かって力強さが出てくるプログラムだったので参考にしています」と話した。

三浦佳生のフリー

フリーでは冒頭に3回転アクセル、4回転サルコウ、4回転トゥループ+3回転トゥループで約40点を稼いだ。転倒した後半の4回転トゥループは「完全に自分の体力不足で、足に疲労がきて、どんどん動かなくなってきて、動きが重くなっていくのが一番の課題」と反省点を挙げたが、154.99点をマーク。トータル235.73点は、15点ほど自己ベストを更新した記録だが、三浦は冷静に結果を受け止めた。

4回転フリップや4回転ループも練習中のようだが、「どっちも降りられていない。ループの方が手応えがある。東日本までに練習して間に合えば…」と新たな4回転習得への意欲も見せた。

1 三浦  佳生(目黒日本大学高等学校)235.73
2 大島  光翔(明治大学)191.55
3 門脇  慧丞(法政大学)161.82
4 小田垣 櫻(目黒日本大学高等学校)149.92
5 木村  智貴(西武東伏見FSC)147.79
6 菊地  竜生(目黒日本大学高等学校)145.54
7 周藤  集(MFアカデミー)144.65
8 矢島  司(駒場学園高校)139.28
9 北村  凌大(MFアカデミー)136.90
10 藤城  柊治(ID学園高等学校)133.31
11 田中  蓮音(東大和FSC)133.16
12 加藤  海里(MFアカデミー)129.65

【ジュニア女子】

ジュニア女子の表彰台

ジュニア女子では10名が東日本ジュニア選手権に出場する。

ジュニア女子で優勝した住吉りをん

優勝した住吉は、ショートで3回転の連続ジャンプが3回転+2回転のコンビネーションとなり、2位スタート。

スピンの精度も課題に挙げ、「自分の中では良いスピンができるはずだったけれど、うまく出来なかった。練習でもっといいものが出来ていれば、試合でも出来ると思うので練習不足」と振り返る。しかし、難しい曲調ながら大人っぽい表現で魅了した。

フリーの演技を披露する住吉りをん

フリーは3回転ループの失敗に「悔しい。6分間練習でも時間がなくて省いてしまったのが原因で、不安になってしまった」とこぼす。しかし、テーマとしている「強い女性」にぴったりな力強い演技を披露し、逆転優勝。「完璧な演技ができていないので、もっと濃密なプログラムにしたい」と意欲を見せた。

目標である東日本ジュニア選手権優勝、全日本ジュニア選手権優勝、世界ジュニア代表を目指して突き進むため、4回転サルコウや3回転アクセル習得に向けて取り組んでいるという。

2位の中井亜美は成功とはならなかったが、フリーで3回転アクセルに果敢に挑戦。4回転ルッツの習得にも着手しているとのことで、さらなる高みを見ている。

1 住吉 りをん(駒場学園高校)176.57
2 中井 亜美(MFアカデミー)166.08
3 髙木 謠(MFアカデミー)142.48
4 奥野 友莉菜(明治神宮外苑FSC)135.81
5 元榮 愛子(目黒日本大学高等学校)134.01
6 日比 優花(西武東伏見FSC)127.05
7 新井 美海(明治神宮外苑FSC)121.97
8 穂積 乃愛(駒場学園高校)112.70
9 井瀧 梨杏(西武東伏見FSC)110.51
10 三木 音葉(西武東伏見FSC)109.02

【ノービスAB男子・女子】

11〜13歳が参加するノービスAクラスと、9〜11歳が参加するBクラスでは、この東京選手権を通過すると、全日本ノービスに挑むことになる。

10月の全日本ノービスへの出場が決まったのは以下の選手たち。

ノービスA男子の表彰式

ノービスA男子
1 蛯原 大弥(東京YC)91.06
2 中田 璃士(西武東伏見FSC)90.19
3 池田 立(MFアカデミー)71.95
4 神田 龍之介(明治神宮外苑FSC)69.53
5 早川 潤(西武東伏見FSC)66.29
6 萩原 颯希(東大和FSC)63.06
7 浜中 玲旺(明治神宮外苑FSC)61.81

ノービスA女子の表彰式

ノービスA女子
1 鳥居  琴子(明治神宮外苑FSC)77.26
2 牛山  胡香(MFアカデミー)72.97
3 北見  奏  (MFアカデミー)71.61
4 吉田  茉優(明治神宮外苑FSC)67.95
5 髙園  青依(MFアカデミー)66.41

ノービスB男子の表彰式

ノービスB男子
1 山本 航成(西武東伏見FSC)65.31
2 吉野 咲太朗(西武東伏見FSC)63.43
3 長谷川 結音(MFアカデミー)50.86
4 德下 隼央(西武東伏見FSC)43.15
5 鈴木 聡(西武東伏見FSC)41.57

ノービスB女子の表彰式

ノービスB女子
1 大竹 沙歩(MFアカデミー)71.17
2 山中 陽菜乃(江戸川クラブ)61.16
3 野田 めぐみ(明治神宮外苑FSC)55.10
4 小山 美海(MFアカデミー)55.06
5 久保 舞華(MFアカデミー)51.16
6 茂   優碧(青梅フィギュア)48.15