サンドイッチやスイーツなど、身近な食べ物の「断面」を撮影し続ける男性がいる。
見る人を引きつける「断面」の魅力とは。
切ってみると再発見が…きっかけはサンドイッチ
静岡・沼津市で開かれている写真展のタイトルは「断面」。
撮影したのはグラフィックデザイナーの菅沼靖幸さんだ。10年以上前から食べ物の断面を撮影してきた。

菅沼靖幸さん:
やはり切ってみないと分からないところがあって、切ったときに本当に身近なものなんですけど、こんなにきれいなものが入ってたんだという発見、再発見が面白いと思って

静岡・清水町出身の菅沼さんは、美術大学を卒業後、静岡県内の広告会社に就職。4年ほど前にグラフィックデザイナーとして独立した。
普段はチラシやパンフレットの制作を手掛けている。
以前は水平なものに魅力を感じ、建物や窓などを撮影していたが、見たことがあるような写真しか撮れないと悩んでいた。

そんな中、同じ水平なものとして目を向けたのがサンドイッチだった。
菅沼靖幸さん:
サンドイッチもある意味、“中身を見せたもの”の食べ物だと思うんですけど、そこからですね断面はすごいきれいだなと
それから12年。パンやハンバーガーのほか、ようかんやゼリーなど様々な断面を撮り続けてきた。被写体のほとんどは、近所のスーパーやコンビニで手に入る身近なものばかりだ。

写真展の来場者:
普段見慣れてるものもカットしてみると思いがけない変化とか、こんな珍しいものになる
別の来場者:
普段見られない視点からの作品で、すごく楽しかったです

パンの断面は“洞窟”?、“子宮”?…広がる想像力
身近なものをストレートに撮影した菅沼さんの作品に、見た人のイメージも膨らむ。

(総菜パンの断面を見ながら)
来場者:
別世界の、それこそ自分が足踏み出して歩いて行って、探検ができちゃうんじゃないかくらいの空洞感ですよね。縦にすると、すごく神秘的な絵になりません?
菅沼さん:
確かに不思議な感じになりますよね
別の来場者:
なんか子宮っぽく見えるなって
菅沼さん:
胎内みたいにね。寝そべって…じゃないですけど。
すごくいっぱい撮ってるので、見えてくるものもあります。お客さんからこういった方が面白いんじゃないかといろいろな意見もあるので、まだまだ可能性はすごくあるなと思います

菅沼さんは、今後地元の飲食店などと一緒に看板商品の断面写真を紹介することで、地域の活性化にも取り組みたいと考えている。
菅沼靖幸さん:
コロナ禍でいままでの日常がどれだけすごかったのか、多分また改めて認識されてることが多いと思います。いままでおそらく見ていたけれど、視点を変えたりしたことで新しい発見ができるんじゃないか。その辺のことが伝えられたらと思います
食べ物の断面に魅せられた菅沼さん。身近なものの新たな魅力を掘り起こすため、断面と向き合う日々は続く。

(テレビ静岡)