台風一過で晴天だった川崎市に突如激しい雨が降り注ぐと、時を同じくして「とどろきアリーナ」に3ポイントシュートの雨が降り注いだ。

川崎ブレイブサンダースは開幕戦での横浜ビー・コルセアーズとの“神奈川ダービー”に82─64で勝利し、最高のスタートを切った。

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新戦力ジャニングが3Pシュートの雨

正確な軌道で放たれたボールが次々とリングを射抜いていった。
開幕戦で川崎は37本の3ポイントを放ち、14本を沈めた。

中でも新加入のマット・ジャニング(33)が鮮烈なデビューを飾った。アメリカ出身でこれまでイタリアやスペインなど欧州リーグを渡り歩いてきたシューターは実に5本もの3ポイントシュートを射抜き、チームトップの19得点で勝利を呼び込んだ。

「チームメートが空いている僕を見つけてボールを与えてくれたおかげ。チームとしてつながった3ポイントだと思う」。
新たな長距離砲は初めてのヒーローインタビュで満面の笑みを浮かべた。

新戦力の前田悟「チームの起爆剤に」

さらに、富山グラウジーズから移籍してきた前田悟(24)も新天地でインパクトを残した。
一昨年の新人王で、リーグ屈指の若手シューターは「監督から『躊躇しないでどんどん打っていけ』と言われた。チームの起爆剤となって良い流れを作りたかった」と3ポイントシュートを3本沈め、流れを作った。

佐藤賢次ヘッドコーチ(41)も「苦しい試合の中でチームを救ってくれたのはジャニング選手。相手の脅威になるオフェンスと思い切りのいいシュートでゲームを作ってくれた。前田選手も同じで積極的に攻めてくれた。シューターとして打ち切って決められるか、今季はそこにチャレンジしてもらいたい」と新加入の2人を高く評価した。

『MOVE』川崎の新しいバスケの主役に

昨季は、ニック・ファジーカス、ジョーダン・ヒース、パブロ・アギラールの長身3選手を同時起用するビッグラインアップを駆使して天皇杯で優勝。しかし、Bリーグのチャンピオンシップでは準決勝で敗れてシーズンを終了した。

チームは、この「高さ依存」の反省を踏まえ今季チームスローガンに『MOVE』を掲げた。「人とボールがよく動く」新しい川崎のバスケットを目指す。その主役になろうとしているのが前田とジャニングだ。

「ジャニングはハンドラーとしても凄いが、トランジションから3Pシュートを打つ時のストップからのシュートが特に凄くて、しっかり自分のフォームで打てているのでそこは凄いなと思う。シューターとして一緒にチームを引っ張っていけたらと思う」と前田。

新たなシューター2人が、チームを悲願の頂点へとけん引する。

川崎ブレイブサンダース 82-64 横浜ビーコルセアーズ
(川崎市とどろきアリーナ・2404人)

加藤忍
加藤忍

早稲田大学卒業。フジテレビ入社。スポーツ局すぽると!ロッテ担当、ヤクルト野球中継などを経て現在は報道局兼スポーツ局。