長野・東御市の建設会社で建築士として働く女性が、会社1階のスペースに「月に2回だけ営業するパン店」を開いている。食べるのをちゅうちょしてしまうほどかわいらしいパンが人気だ。
”動物の顔”のかわいらしいパン

ウインナーを抱えたクマに、アザラシ。

動物の顔が描かれたかわいらしいパンが並ぶのは、東御市にある「nicopan」だ。

nicopan・関昌子さん:
今度はネコです

パンで笑顔を…!
作っているのは関昌子さん。店名の由来をたずねると…

nicopan・関昌子さん:
一番はかわいいパンとか、ニコッてできるパンを目指してやっている。ニコニコしてもらいたい、ニコッからニコパンにしました
手に取る側も、思わず笑顔になってしまうパン。女性客を中心に人気だ。
客:
めちゃくちゃかわいい、全部かわいい
営業は「月に2回」…その訳は?

店には、もう一つ大きな特徴がある。
客:
最初は夜のパン店だったの、月に2回の
店の営業は、毎月第1・第3土曜日だけ。しかも、開店当初は夜7時のオープンだった。(現在は午後4時)
パンは人気だが、営業は月2回限定。これには訳がある。パン店が入る建物の2階は、建設会社の事務所。平日、その事務所をのぞいてみると…

nicopan・関昌子さん:
施工計画表というか、これから工事するにあたっての書類を作ってました

実は、関さんは母親が社長を務める建設会社で20年以上働いていて、2級建築士の資格を持っている。
趣味でパンを作っていて、「いずれ店を持ちたい」と思っていた関さん。仕事のこともあり「定年後に落ち着いたら」と考えていたが、忙しい女性などに向けて夜や夕方にオープンするパン店を思いついた。

nicopan・関昌子さん:
(自身が)パン店とかなかなか行けなくて、午前中で大体終わってしまうので買いに行けないということもあるし、皆さんに楽しんでほしいなと
同僚:
パン店やりたいという話はしていて、「やればいいじゃん」とみんなで放置していた。本当にやりたかったら、「やりたい」と言ってくるよねと言った。そしたら本当にやりたいみたいで、どうしようと
母親の後押しでパン店をオープン
背中を押してくれたのは、社長の母親・公子さんだ。

昌子さんの母・公子さん:
好きなことだったので10年以上練習してきたり研究してきたから。定年になって10年後なんて言うとどうなるかわからないので、場所だけつくってあげた。場所をつくっちゃったから、やらざるを得なかった
デザインや設計はお手の物。「社長」の一声もあり、会社が経営する1階の家具店の一画をパン店に改装し、2019年にオープンした。

日々の仕事も考慮し、営業は月2回。取材した18日は9月最後の営業日だった。
午後4時にオープン。
nicopan・関昌子さん:
すみません、お待たせしちゃって、雨の中

コロナの影響で夜に出歩く人が減ったため、オープンを夕方に早めたが、客足は途絶えない。

客のお目当ては、かわいらしさ抜群のパンだ。

ウインナーを抱えた「だっこくま」に、殻に見立てたクッキー生地から顔を出す「ひよこのメロンパン」など、この日は10種類ほどが並んだ。
一番人気のパンは…

一番人気はクマの顔が四つ描かれたちぎりパン。中にはチョコレートがたっぷり入っていて、小さな子どもに人気があるという。

記者:(試食して)
クマたちの顔がかわいいので少しばかり切ないですが、ちぎっていただきます。やわらかい生地の中にチョコがぎっしり入っているので、とても食べ応えがあります。

1日に売るパンは100個。営業日ごとに種類を入れ替えていて、期間限定などこれまでに50種類ほどを生み出してきた。

nicopan・関昌子さん:
前の日とかはなんでやっちゃったんだろうとか思うが、お客さんが来て笑顔で帰っていくとうれしいので、やってよかったとか、次回は何焼こうとか楽しみがでてくる
客:
癒される。見ているともやもやとかも癒されちゃって、食べるのごめんねと言いながら食べちゃう、癒しの時間
客:
この時間からやっていれば買いに来られますよね
あまりの人気ぶりに…
nicopan・関昌子さん:
今ちょうど完売で、食パンしか残ってなくて
客:
えっ、本当ですか

社長の公子さんも店を手伝いながら、月に2回 慌ただしい土曜日を過ごしている。

昌子さんの母・公子さん:
お客さんには感謝ですね
nicopan・関昌子さん:
月2回、覚えていて来てくれて
昌子さんの母・公子さん:
名前もよかったかなと
コロナ禍、パンで癒しを…
関さんはこれからも、建築士の仕事もしながら、かわいいパンを焼き続ける。

nicopan・関昌子さん:
みんなにも嫌なことだって大変なことだって多いので、パンの一個ででも喜んでもらえれば。ニコッていうか、気分が明るくなってもらえれば一番うれしい
(長野放送)