9月25日は国連総会でSDGSが採択された日。それに合わせ、毎年この時期はSDGS週間と定められている。

17の目標のうち12番「つくる責任つかう責任」と15番「陸の豊かさも守ろう」の取り組みが行われ、山の資源を活用して作られた炭酸水を取材した。

副産物フローラルウォーターはアロマオイルの約1000倍

シュワシュワと泡が弾けるこちらの炭酸水。10月から一般販売が始まる、その名も「QINOSODA」。実はこの炭酸水、「樹木」を原材料に作られている。

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蒸留技師・大本健太郎さん:
樹木を蒸留している自分としては驚きがあります。感動もあります。自分が普段作っている香りが、こんな飲み物に変わるっていうのはね

自然に囲まれた石川県白山市女原でアロマオイルの蒸留などを行う「EarthRing 白山蒸留所」。所長で蒸留技師の大本健太郎さん。

蒸留技師・大本健太郎さん:
私たちはここを拠点にしてアロマを作らせていただいているんですけど、林業をされている方たちにご協力をいただいて、材料を出していただいています。そこに対価を払って商品を作っていくということをしている

アロマオイルの材料となるのは、林業従事者から買い取った樹木や植物などの端材。これらを蒸留器に入れて高圧蒸気を送り、香りを抽出するための蒸留を行う。

蒸留技師・大本健太郎さん:
気化したものがこの筒を通ってずっとここに来ます。この大きい容器が冷却曹になっていまして、この中にお水が貼られています

蒸留技師・大本健太郎さん:
気化したものを冷却して、上澄みがエッセンシャルオイル。精油ですね

蒸留技師・大本健太郎さん:
そして、冷やされたそのままの香気成分が含まれているお水、これがフローラルウォーター(蒸留水)になります。約3時間かける中でだいたい20mlから30ml取れるんですけど、お水はその約1000倍の20L取れる

20kgの材料に対して、抽出された精油は20mlほど。これをもとに香りを楽しむアロマオイルが作られている。

一方、副産物としてできた蒸留水はというと…

蒸留技師・大本健太郎さん:
化粧品メーカーさんの方にお出しして、化粧品を作られるっていうのが1つ。それでも残ってしまうので、ほとんどが捨ててしまうというのが今の流れです

蒸留水×低木のクロモジで作る“エコ”な飲み物

廃棄される蒸留水をどうにか活用したい。そんな時、知り合いだった東京の会社から蒸留水を「飲みもの」として活用しないかと提案を受けた。

fabriq・三嘴光貴さん:
木ってこんな面白い使い方があるんだとか、そういうちょっとびっくりしたりとか驚きがフックになって、山のことに思いを馳せることにつながるのかな。飲料にしたら、それが一番伝わるんじゃないかと

fabriq・三嘴光貴さん:
いろんな人が知らない可能性を広げるところで価値が出せたら、それに関わっている人たちも仕事が増えたり、自分たちの活動をより広げることにつなげられるかなと

蒸留技師・大本健太郎さん:
これは今までなかった新しい活用ということで、本当に嬉しい思いで、ぜひみんなで進めていきたいなという思いでした

そんな炭酸水の材料として選ばれたのが、クスノキ科の低木クロモジ。

蒸留技師・大本健太郎さん:
見ていただくと、周りスギだらけですよね。このスギの下草に生えているのがクロモジです

抗菌作用があることから爪楊枝として利用されているが、最近はスギの間伐を行う際に切って捨てられることも多いという。

蒸留技師・大本健太郎さん:
マスクの上から香りがすると思うんですけど、すがすがしい香りですよね。最近は香りとしてのブームがありますから、全国で香りを作っている方はいらっしゃいますけど。(それ以外は)やはり使う用途はないですね

そんなクロモジの蒸留水を使って完成した炭酸水「QINOSODA」。捨てられていたクロモジと精油の副産物の蒸留水、2つの意味で「エコ」な飲み物となった。

蒸留技師・大本健太郎さん:
おいしいです。いつも蒸留しているあの香りが飲みやすい、すがすがしい香りになるなんて想像もしてなかったです。すごく森を感じます

9月10日までクラウドファンディングで先行販売されていたこの炭酸水。120万円を超えた収益の一部は、木の伐採など森を育てる事業に使われるそう。

蒸留技師・大本健太郎さん:
例えば竹林では今、害獣被害とかもありますけど、竹を蒸留して出てくるバンブーウォーターなんか活用できるんじゃないかと。そういう思いはまた新しく湧いてきた

飲むことで持続可能な環境サイクルを守るこの炭酸水。山の資源の新たな活用法となるかもしれない。

(石川テレビ)