人生の最後を多くの人に見送ってもらいたい、人生の晴れ舞台を大勢の人に祝ってもらいたい…。コロナ禍は、そんな当たり前の思いにも影を落としている。鹿児島県内の冠婚葬祭の現状を取材した。

全体の8割以上が5~10人ほどの家族葬

若松正大記者:
先ほど葬儀が終了した会場です。椅子を見るとわかりますが、最近ではほとんどが身内だけで葬儀が執り行われています

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鹿児島市内の葬儀場「積善社 飛鳥会館」。この日、ここで執り行われた2件の葬儀はいずれも家族葬だった。

この葬儀社では、10年前は200人から300人の参列者が訪れる葬儀が主流だった。

しかし、現在は5人から10人ほどの家族葬が、全体の8割以上を占めているという。これまでも葬儀の小規模化は進んでいたが、コロナ禍でその傾向はさらに強まっている。

積善社・川田代泰孝社長:
ここ10年くらい小規模なお葬式は増えつつあった。コロナ禍で「人を呼べない」「迷惑をかける」ということで、小規模化がさらに強まった

また、遺族も新型コロナの影響を考え、身内だけの葬儀を行った後に故人が亡くなったことを知人らに報告するかたちをとることも多いという。

積善社・川田代泰孝社長:
小規模化によって、どうしても顧客1件あたりの単価は下がっている。経営は厳しくなってくると思う

結婚式を2回延期 出席者も減らし…

一方でさらに深刻なのは、結婚式だ。相談に訪れていたのは、姶良市在住の外山晃希さん、美里さん夫妻。

2019年3月に婚姻届を提出した2人。当初は2020年10月に式を計画していたが、新型コロナの影響で2021年11月に延期。

さらに、まん延防止等重点措置が鹿児島県内に出されていることなどから、2022年7月への延期を決めた。当初の予定からすると、実に1年9カ月の延期となる。

担当者:
出席する人数は変わらないですか?

外山夫妻:
絞ります(減らします)

出席者も当初予定していた150人から県内在住の90人程度に変更した。

外山美里さん:
県外の友達もいたので、呼びたかったですが…断念しないといけないのかなと。そこは悔しいですね

外山晃希さん:
早く落ち着きたい、というのはある。焦りはある

このホテルでは、コロナ前は年間200件ほど実施していた結婚式が、新型コロナの影響で2020年3月から延期や中止が相次ぎ、現在は年間約60件に減少しているという。

中には当初の予定より3年先に式を延期したケースもあったという。

鹿児島サンロイヤルホテル 婚礼営業部・橋口佳矢主任:
結婚式をすることを諦めてほしくないというのが一番。まずご相談をいただいて、一番いい時期、いいプランを一緒に考えていければなと思います

コロナ禍で相次ぐ延期。それでも外山さん夫妻は、明るく前を向いている。

――2人でどういう家庭を築きますか?

外山夫妻:
楽しい笑顔が絶えない家庭を築きたいと思います

(鹿児島テレビ)

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