実験も宿題もタブレットで! 進む教育のデジタル化 生徒の苦手な問題を教えてくれるアプリは教員の業務改善にも【広島発】
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実験も宿題もタブレットで! 進む教育のデジタル化 生徒の苦手な問題を教えてくれるアプリは教員の業務改善にも【広島発】

テレビ新広島
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2年前に国が打ち出した「GIGAスクール構想」。学校に高速大容量のネットワークを整備し、1人1台のパソコンやタブレット端末を整備しようというもので、コロナ禍でそのスピードは加速している。そんな中、広島県内の高校で新しいサービスが始まっている。

高校の化学の授業中、先生が教壇で実験を行っているが、生徒たちはなぜか手元のタブレットに集中。

化学の授業中、生徒たちはタブレットに集中 広島県立尾道北高校
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そこに映っているのは、今まさに目の前で行われている実験だった。

生徒はタブレット端末で実験の様子を見ていた

広島県立尾道北高校・坂本一磨教諭:
タブレット端末で撮ったものを(リアルタイムで)生徒にデジタル配信できますので、わざわざ生徒が前に来なくても見えやすい画を見ることができます

高速ネットワークと1人1台のコンピュータ端末を整備し、創造性を育む「新しい学び」を目指す国のGIGAスクール構想。奇しくもコロナ禍で、その動きは加速している。

瞬時に共有し印刷不要 生徒にも変化

広島・尾道市にある広島県立尾道北高校。ここでもGIGAスクール構想への環境整備が進んでいる。

広島県立尾道北高校・坂本一磨教諭:
本校ではこのような普通教室、各ホームルーム教室にWi-Fiのアクセスポイントが設置してあります。さらに、全部ホワイトボードに変わっていまして、このホワイトボードにプロジェクターで映像が映せるようになっています

通常の教室に加えて、図書室など特別教室への通信環境の整備も終わり、端末の費用は自己負担だが、2020年の入学生から1人1台の環境を実現している。

教育の現場にデジタルの端末が入ることで、さまざまな変化が起きたという。

図書館などの特別教室にもWi-Fi完備

授業の課題として出す問題や生徒一人一人の回答も、クラス全員が瞬時に共有することができる。

広島県立尾道北高校・坂本一磨教諭:
プリント類は全部デジタル配信しますので、プリントを刷るということが、ほとんどなくなりました。タブレット端末を入れたことで、生徒が学んだことをアウトプットする機会が増えたと感じています

広島県立尾道北高校・坂本一磨教諭:
例えば、学んだことを「1つのレポートにまとめて来なさい」って言った時に、ある生徒はデジタルのものを持ってきてきれいにまとめてみたり、全部手書きでまとめてみたり。創意工夫を凝らしながら、自分がどういうことを学んだのかまとめる、アウトプットする機会が増えたかなと思います

デジタルでまとめられたレポート
手書きでまとめられたレポート

デジタルとアナログが融合した問題集アプリ

こうした情報端末を活用し、国のGIGAスクール構想が目指すもの。それが、子どもたち一人一人の個性や能力に合わせた教育の実現だ。

尾道北高校1年生・松野悠大くん:
今は化学の問題集をやっているんですけど、タブレットに問題が入っているので、それをノートに解いてリブリーに残していく

松野くんが勉強に使っていたデジタル教材「リブリー」は、問題集をデジタル化したアプリ。教科書の出版社などが発行する問題集260冊以上を使うことができる。

問題集260冊以上を使うことができるデジタル教材「リブリー」

答えはノートに書いて自己採点する。さらに、その過程を問題と結びつけて写真で残すことができる、デジタルとアナログが融合したハイブリッドスタイルだ。

尾道北高校1年生・松野悠大くん:
試験前、問題をたくさん解いて自分の苦手を見つけたい時に、テスト範囲の問題をどんどん解いて「あ、自分ここが苦手だな」とか、前に解いた時の写真も残しているので、「前と同じところを間違えてる」とか「前よりここは解けるようになったな」とかを確認しながら勉強しています。すぐに答えが出てくるので、答えの冊子を開いて見つける時間も短縮できて、解ける問題数が増えていると思います

サービス開始4年で、リブリーは600校以上に導入されている。

2020年、導入校は急増

苦手な問題を探したい…開発のきっかけは高校時代の経験

啓林館は、小学校から高校までの教科書や問題集を作る出版社。

この会社は8年前、リブリーのプラットフォームに参加し、今では約100冊の問題集をデジタル教材として提供している。

啓林館 新規事業部・佐藤圭悟部長:
(参入を決めるまでは社内に)反対する人もいました。アプリ自体の発想はすごく面白くて。紙とペンで学習するというスタイルは変えずに、デジタルで任せられるところはデジタルに任せていくというハイブリッド感とか。コンテンツの良さを損なわない考えですとか、こういったところが非常に可能性を感じて、1回トライしてみようと

このプラットフォームを開発したのが、リブリーの後藤匠CEO。大学院在学中に起業し、開発のきっかけは自身の経験だった。

リブリー・後藤匠CEO:
高校生の時に自分が欲しかったサービスをそのまま作っている感じなんですね。自分が模試で間違えた問題に似た問題を解きたいなと思った時に、その問題を探す手段がなかったんです。(数年たっても)世の中で誰も作れてないんだったら、じゃあもう自分が作るしかないと思った

「自分が作るしかないと思った」

そんな発想から開発が始まったリブリーだが、問題集をデジタル化することで、生徒だけでなく出版社にもメリットが生まれた。

啓林館 新規事業部・佐藤圭悟部長:
デジタルで学習履歴・正答率が取れる。この正答率が出版社にとってはすごく大事で。これまでは先生方の感想をベースに教材制作していましたが、実際に使った生徒の正答率や簡単な問題だけど解けていないとか。逆に難しいけど意外と解けている、ということが数値化されるのは、非常に大きなメリットだと思っております

リブリー・後藤匠CEO:
復習は大事だなと思いながらも、なかなか自分で何を復習すればいいかわからない。学習履歴のデータが溜まっていくことによって、リブリーは「そろそろこの問題の復習をした方がいいんじゃない?」とか、「君はここが苦手なんじゃない?」と、問題のレコメンデーションを子どもたちの学習履歴に基づいてやってくれる。こういうテクノロジーを使った学びの効率化、これが子どもたちのメリットになると思っています

“教育のデジタル化”が目指すもの

デジタル教材のリブリーは、生徒が使うだけでなく、教える側の教師を支援する機能もある。

問題集から宿題を作ることができ、そのデータも簡単に生徒に配信できるのだ。提出状況も一目瞭然。

県立尾道北高校・森信祐希教諭:
生徒のノートを見ていると、感覚的に「ここ苦手なんだな」と感じるんですが、数値で出てくるので生徒の苦手も把握できる。普通は生徒のノートはすぐ返しますが、(デジタル問題の宿題は)ずっとデータとして残っている。すぐに苦手な問題が見られて、すぐに生徒の答案が見られて、「こう間違えるんか」というのが分かりやすい。いつでも分析しやすいっていうのが、ありがたい

生徒の「苦手かも」がデータでわかる

2022年度には、リブリーのプラットフォームで複数の出版社がデジタル教科書を提供する予定で、教育の世界のデジタル化はさらに加速しそうだ。

リブリー・後藤匠CEO:
日本の教育が目指すべきは、知識習得を効率化して、勉強ができる人たちをとにかく育てるっていうものではないと思うんです。学ぶ楽しさであるとか、未来に対するワクワク感とか、そういうものを学びを通じて感じられるような教育を、僕らはテクノロジーを使って作っていかなければいけないと感じています

(テレビ新広島)

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