「伝福連携」という言葉、ご存じだろうか。
伝は「伝統工芸産業」、福は「障がい者福祉」、深刻な後継者不足に直面する伝統工芸の世界で、技術を伝える新たな担い手として障がいのある人たちに活躍してもらおうという取り組み。

今、愛媛でも進む「伝福連携」を取材した。

障がい者を雇用し、後継者不足解消を目指す

障がい者雇用を目指し設立された「いよぎんChallenge and Smile」。

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この会社では現在、知的障がいがある21人のスタッフが木製のマグネットや機織りを使ったコースターの製作などを手がけている。

この会社が2年前から取り組んでいるのが、「姫てまり」や「水引き」といった愛媛が誇る伝統工芸品の製作。

いよぎんChallenge and Smile・石川克久社長:
(障がい者が)伝統工芸の後継者を担いつつ、彼らの仕事をどんどん確保していく。その両方をマッチングしたものが『伝福連携』

いよぎんChallenge and Smile・名田沙代さん:
最初はなかなか糸を結ぶときとか難しかったので大変でした。きれいだなって思ってもらえたらうれしいです

いよぎんChallenge and Smile・相原希美さん:
完成した時を思い出しながら作るのがすごい楽しみなので、どんどん作れます

色鮮やかな糸を巻き、様々な模様を作る松山の伝統工芸品「姫てまり」。
子どもの健やかな成長を願って贈られる縁起物だったが、そういった風習も今では少なくなり、お土産ものとして見かけるくらい。

「姫てまり」づくりの作家・篠塚幸子さんは、強い危機感を覚えていた。

姫てまり作家・篠塚幸子さん:
広い方々に知っていただいたいと思っていますけど、やはり作る方が少ない。このままだと衰退していくのではと心配しています。
(障がい者が)継いでくださるのもうれしいし、一番に『巻くのが楽しい』って言ってくれるのがうれしくって、やりがいがあります

スタッフの作る「姫てまり」は、現在  松山市内のホテルなどで販売されている。

伝統織物「裂き織り」に魅せられ伝統産業を受け継ぐ

新たに商品化を目指しているのが、伊方町三崎地区に伝わる伝統の織物「裂き織り」。

古くなった布を裂き、再利用して新たな織物に生まれ変わらせる、いわばリサイクルの先駆け。
裂き織りの技法を指導した橋田豊代さんは、なんとイギリス生まれ。

偶然出会った裂き織りに魅せられ、地域おこし協力隊として伊方町に移住した異色の経歴の持ち主。

裂き織りを指導する橋田豊代さん:
ふたつとして同じ表情のものがないんですよ。織る人によって同じ糸を使っても変わりますし、その辺が裂き織りの面白さ

裂き織りの世界にも、伝統の継承には厳しい現実が立ちはだかる。

裂き織りを指導する橋田豊代さん:
裂き織りだけでなりわいにしてる人はいない。農家さんが趣味でされたり

保存会のメンバーも高齢化が進み、40代の橋田さんが最年少。

裂き織りを指導する橋田豊代さん:
(障がいの有無に)関係なく、プレーヤーが増えることにウエルカムなんですよ。とってもいいことだと思いますし、人が増えれば増えるほど色んなアイデアは絶対生まれるので

橋田さんから教わった技法を生かして、裂き織りに挑戦するスタッフたち。

いよぎんChallenge and Smile・大堀賢一さん:
「薄い生地が破けてしまうことがあるので、力加減が難しいです。次の人が作業しやすいように丁寧に仕上げていきたいです」

いよぎんChallenge and Smile・大野恵莉子さん:
今後は色々な布糸を使って、複雑なデザインで織ってみたいです。裂き織りの素晴らしさを感じてほしいなと思います

障がいのあるスタッフにとって、伝統産業を受け継ぐことはそのまま自分のスキルを生かせるチャンスにつながる。

裂き織りを指導する橋田豊代さん:
裂き織りを知らなかった人が知るきっかけになるし、背景ストーリーとかが今度調べてみようとか、この場所に行ってみようとか、広がりをもってくると思うので、どんどん作ってもらいたい

伝統を未来へ残そうという思いと、障がい者たちの働く意欲がコラボした新たな挑戦は、まだ始まったばかり。

(テレビ愛媛)