新型コロナウイルスの「デルタ株」が猛威を振るい、病床が逼迫(ひっぱく)し、自宅療養者が急増。
入院できない自宅療養者の死亡が相次いでいる。

田村憲久厚労相は8月22日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」に出演し、患者を1カ所に集めてケアする臨時の医療施設、いわゆる“野戦病院”型施設を各地に整備する考えを表明した。

田村厚労相は、「新型コロナウイルスとは長い戦いになる」として、医療施設について「臨時とは言いながら、基本的には恒常的にいつでも使えるような状況で対応してもらう」と述べ、長期間運用する考えも示した。

また、田村厚労相は、東京オリンピック・パラリンピックの競技会場を臨時医療施設に転用することも選択肢の一つだとの認識を示した。

これに関し、番組レギュラーコメンテーターの橋下徹氏(元大阪市長、弁護士)は、田村厚労相に対し、重症・中等症患者向けのベッドを増やすよう、医療界に「命令」する必要を訴えた。
橋下氏は、医療制度には多額の税金が使われているとして、命令に従わない医師や医療機関には「保険医指定」を取り消すペナルティーを課すくらいの強権を発動するべきだとの考えを強調した。

以下、番組内での主なやりとり。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
重症化一歩手前と言われる中等症2の状況でも、酸素飽和度が90%を下回らないと、なかなか救急車に来てもらえない現状がある。

田村憲久厚労相:
中等症2はつらい。重症化して人工呼吸器をつけると麻酔が効くが、中等症は酸素吸入できなければかなり息苦しく、本来は入院が必要だ。中国の研究で査読はされていないということだが、デルタ株は従来のウイルスに比べてウイルス量1,000倍以上という話だ。それが本当だとすれば、かなり感染力を増している。CDC(米疾病対策センター)の報告等で、1人が8人か9人にうつすのではないか、という話がある。そうなるとインフルエンザの数倍感染力がある。従来のコロナとは違う。ワクチンを打ったとしても、感染は一定程度続くということだ。もちろんワクチンを打てば重症者は減るし、ある程度入院する人、症状の出る人は減る。今、イギリスはワクチン2回打った人が60%近くいるが、1日3万人新規感染者がいる。人口は日本の半分くらいだ。今、入院率はたぶん2、3%だと思う。日本の入院率は今10%くらい。フランス、アメリカの入院率は5、6%くらいだ。日本はそれなりに入院できているが、それでも(病床が)足りない。だから、臨時の医療施設をいよいよ各自治体で整備をしてもらう。臨時とは言いながら、多分基本的には恒常的にいつでも使えるような状況で対応してもらう。酸素濃縮器はホテルや自宅で使うが、大きい医療施設では配管をつなげて、そこに酸素を流して対応できる。そういう対応をいよいよ考えなければならず、全国(の自治体)にお願いし始めている。

橋下徹氏(元大阪市長・弁護士):
臨時医療施設の話が出てきて、福井県方式というものが取り上げられている。こちらは軽症者用の施設だが、もし感染拡大地域で軽症者向けの臨時医療施設などつくろうと思ったら、10万人くらいの(規模の)施設をつくらなければいけない。臨時医療施設をつくるなら、順番があるはずだ。まずは中等症と重症者向けの施設を集中的に作ることだと思う。厚生労働省として、この臨時医療施設の考え方はどうなのか。

田村厚労相:
一番必要なのは、命と直結する重症者の病床だ。しかし、重症者向けは臨時とするのは難しくて、かなり人手が要る。そういう意味では中等症の病床をつぶして、人の配置を変えていく。中等症の人の病床を減らし、特に中等症2の人々は、かなり息苦しい状況なので、臨時の医療施設で配管で酸素を流す形で対応する。中等症以下の人、軽症の人は、今18万人とか、20万人くらい全国でいる。それ全部は対応できない。本当に必要なところの臨時医療施設を早急に拡大していく必要がある。ただ、問題はそこに人が要る。臨時医療施設は効率はいい。例えば、13対1などで診られる。患者が並んでいるから。だが、なかなか人(医療関係者)が来ない。場合によっては各医療機関に輪番制をお願いする。問題は、病院ならそこの院長が管理するが、臨時の医療施設はどこかの病院が受けてくれるわけではないので、誰が管理するか。ここまできちんと考えなければいけない。そこは各自治体とっては大変な負担だが、日本はその段に来ている。

松山キャスター:
東京オリンピック・パラリンピックの競技会場を臨時の医療施設として検討しているのか。

田村厚労相:
(酸素供給用の)配管や、ベッドを並べるのに時間が一定程度かかる。きょう言って、あしたというわけにはいかない。やはり2週間、3週間はかかる。そういう意味では、今言われたようなものもひとつだろうが、もう早く、すぐにでもいろんなところで作っていかなければならず、準備を始めていただかなければならない。なるべく早く臨時の医療施設を多くつくってもらう必要がある。コロナとは、これからかなり長い間の戦いになってくる。ワクチンを打つことは重要だ。それにより死亡者は減っていく。長い戦いだから臨時といいながら、感染が広がった場合にいつでも開けられるように、どう人を配置するか、そこまで計画をつくって対応することが必要だ。

橋下氏(元大阪市長・弁護士):
臨時の医療施設は医療従事者をどう集めるか。田村大臣は各自治体の首長に頑張ってもらうと言ったが、武器を与えないと集められない。田村大臣の言うように輪番制(とすること)もひとつあると思う。最後は、医療従事者にある意味命令をし、それに違反した場合の制裁ということも(必要だ)。医療制度には多額の税金が入っているのだから。法律の拡大解釈だが、健康保険法の80条、81条に基づく命令。それに従わない場合には、保険医の登録を取り消すよ、保健医療機関の指定を取り消すよというぐらいのペナルティーを見せながら人集めをしなければ、人は集まらないと思う。そこは政治の力でやってもらいたい。

田村厚労相:
日本の医療従事者は、今までも責任感持って、しっかりやってきてもらっている。まずはお願いをする。これからそういうものを考えていかなければならない段なので、早急に、まずはお願いをさせてもらう。私は多くの医療関係者に、理解、協力いただけると思う。

橋下氏:
でも、お願いでダメだった場合に、命令は必要だ。

田村厚労相:
次の段階は次の段階で考える。とにかくいま何か刀を抜いて脅すということをやるときではない。

橋下氏:
短くても持っておく必要はあるのではないか。

田村厚労相:
今あるから、制度として法律が。

橋下氏:
それで人が集まればいいが。

田村厚労相:
だから、それをしっかりと理解をいただきながら協力をいただいていく。これから始めていく話で、医療関係者の理解をいただけると思っている。