2週間後には1万人超 1000人に1人が毎日感染も
「これまで経験したことのない爆発的な感染拡大が進行しています」
東京都の新型コロナウイルスモニタリング会議では、新規感染者の7日間平均が先週の1936人から3443人に増え、増加比も前回の153%から178%に。
このままでは、1週間後に1日の感染者数は6129人になり医療を適切提供することが不可能な危機に直面し、さらに2週間後には1日の感染者数は1万909人にのぼり、都民の1000人に1人が毎日感染する計算になる、との分析が示された。
「この危機感を現実のものとして皆で共有する必要があります」
国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は「自分のこと」として考えるよう呼びかけた。

容態が急変 都の「緊急時体制案」とは
都は、入院や自宅・宿泊療養の体制案を公表。
案によると、入院する病院については、重症・中等症対象、中等症・軽症対象、療養期間終了後も回復支援が必要な患者のための病院の3つに分ける。
患者については、基礎疾患がない軽症・無症状の場合は自宅療養とし、パルスオキシメータを配布、経過観察としてアプリの健康・医療相談、オンライン診療、往診を状況に応じて行う。自宅で入院調整を待つ患者も同様に健康観察をしたうえで、調整できしだい病院に移すという。

宿泊療養施設は、基礎疾患があるものの軽症以下の人を対象とし、40歳未満はリモート診断で緊急時に酸素濃縮器を使用、40歳以上は医者が往診し、継続的に酸素濃縮器を使用、急変した場合は状況に応じて入院待機ステーションや病院に搬送する。

都は病状に合わせて危険のないように限られた医療を有効に組み合わせた体制作りを進めたい方針だが、実際に往診する医師や対応に当たる看護師を確保できるのか、大きな課題となる。
「入院させないなんてありえない」
「この方たちを前に入院させないなんてありえない」
東京都医師会の猪口正孝副会長は、「国の方では重症患者、入院は重症患者かリスクが高い人と言うことだが、リスクが高いというのはかなり広い意味があると思っています」としたうえで、中等症でも血中酸素濃度が93~96%になると呼吸が非常に苦しく何らかの症状があるので、そういった患者を入院させないということはありえず、全身状況を見ながら判断する、との考えを示した。
※血液中の酸素濃度は値が小さいほど危険な状態で、都はこれまでは入院の目安を96%未満としていた。

「現実が試算を上回っている」
「5000人は確実に超える」
先週、ある専門家がこう話していたが、まさに今日、都内の新規感染者数は5000人を初めて超えた。
「最近は(感染者数の)試算結果が1週間前倒しになっている」
一方である関係者は感染拡大のスピードについて“現実が試算を上回っている”との見方を示した。
「枠組み」だけでなく「実行力」を
「最大の医療提供体制を整えながらも、今、感染者数が爆発的に増えているっていうことも事実であります。現場を持っている東京都でありますので、国の考え方と、それを現実に現場においてかつ機能できるようにするためにはどうしたらいいかということで連携取りながら進めているということであります」
小池知事はこう述べ、国の方針を踏まえつつも“現場に即した対応”をとる考えを示した。

限られた医療資源のなか、入院すべき患者が取り残されないように、自宅療養、宿泊療養、入院をどう進めていくのか「枠組み」を作るだけでなく「実行力」が問われている。
(フジテレビ 都庁担当 小川美那)