広島・安芸高田市にある大手ハンバーガーチェーン・モスバーガーでは、地産地消の取り組みが進んでいる。
4年越しで広大な農場を開設した「モスファーム広島」でレタス栽培に携わる生産者は、「(農地の)土も人も、大事に育てたい」と地元への思いを語った。

安芸高田市で始めた大規模レタス農場 

トラックに積まれていたのは、みずみずしい新鮮なレタス。
2021年から県内で栽培され、大手ハンバーガーチェーン・モスバーガーで使われている。

広島県内で栽培されモスバーガーで使用されるレタス
広島県内で栽培されモスバーガーで使用されるレタス
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モスバーガー南観音店・野菜担当の店員:
巻きもしっかりしておりまして、とてもおいしそうなレタスです

広島・安芸高田市の大規模農場で、この春に栽培を始め、出荷された新鮮でシャキシャキのレタス。4年越しの地産地消の取り組みの成果だ。

安芸高田市で、レタスの栽培を始めた大規模農場が「モスファーム広島」。
モスファーム広島は、モスバーガーの運営会社と静岡県の農業法人「鈴生」が、共同で出資し設立された。従業員のほとんどは、「鈴生」の農場がある静岡県からきている。

安芸高田市にある「モスファーム広島」大規模農場
安芸高田市にある「モスファーム広島」大規模農場

モスファームすずなり広島支店・竹下公雄支部長:
レタスに限らず作物はやっぱり土。広島に入って初めて耕作をするので、土がどういう状況なのか

モスファームすずなり広島支店・竹下公雄支部長
モスファームすずなり広島支店・竹下公雄支部長

社長の野菜作りへの“思い”に共感…新たな雇用も

春の柔らかな日差しが注ぐ4月。農場では、レタスの苗を畑に植え替える作業に追われていた。
農場の広さは8.5ヘクタール。マツダスタジアム約6.5個分という広大な農地で、夏と秋の2回、レタスを生産する。
この時期はとにかく朝から、植えて、植えて…ひたすら苗を植え続ける。

約8.5ヘクタールの敷地に170トンものレタスを栽培し、収穫する
約8.5ヘクタールの敷地に170トンものレタスを栽培し、収穫する

モスファーム広島は今シーズン、ここで170トンの収穫を目指している。県内のレタスの収穫量は減少傾向で、目標に到達すれば、この農場だけで直近の県内生産量の半分近くを収穫できる可能性もある。

県内のレタス生産量は減少傾向に
県内のレタス生産量は減少傾向に

農場を構えるにあたって、新たな雇用も生まれた。
木村駿佑さんは地元の吉田高校で農業を学び、卒業後、モスファームすずなりに入社した。

モスファームすずなり広島支店・木村駿佑さん:
すずなり社長の説明会で「子どもたちが笑顔で食べれるような野菜を作る」という言葉に惹かれちゃって。社長の「子どもたちが笑顔で食べるような野菜作るっていう夢」を手伝いたい。一緒にかなえたいなと思った

モスファームすずなり広島支店・木村駿佑さん
モスファームすずなり広島支店・木村駿佑さん

モスファーム広島は、これまで県内にはなかったレタスの大規模農場。それだけに地元の関係者は、農場の設立に大きな期待を寄せている。

安芸高田市・石丸伸二市長:
モスバーガー、モスフードという非常に大きな有名な企業の地元の1つになれましたので、本当にうれしい。こういう新しい取り組み、これこそがこの街に必要だと思う。
「どうせ田舎だから」じゃなくて、「田舎だけど、できるんだ」。安芸高田市の市民に対するメッセージにもなるし、市外の方にも魅力としてアピールできる

安芸高田市・石丸伸二市長
安芸高田市・石丸伸二市長

農場を設立した鈴生も、新たな可能性を感じている。

鈴生・鈴木貴博社長:
大規模にまとまっている農地は、本当に少ない。大規模農地でやることで、機械化が進む可能性があり、非常に夢と希望があると感じている

モスフードサービスマーケティング本部・安藤芳徳本部長:
農業を通じて、社会貢献・人間貢献することを企業理念に据えています。モスグループ一丸で、このような農園・農場経営を応援していきたいと思っている

モスフードサービスマーケティング本部・安藤芳徳本部長
モスフードサービスマーケティング本部・安藤芳徳本部長

「人も土も大事に育てたい」将来の農業を担う人材育成へ

苗の植え付けから約2カ月…農場はレタスの瑞々しい緑に染まっていた。5月21日には記念すべき、初出荷を迎えた。
この夏の収穫は約47トンで、初めての栽培としてはまずまずの収穫量だった。

この春、地元吉田高校を卒業し、モスファームでレタスの栽培に携わる木村さん。初めてのレタスづくりはどうだったのだろうか。

モスファームすずなり広島支店・木村駿佑さん:
とにかく学ぶことしかない。あらためて(農業は)難しいなと感じた

ーー味はどうだった?

モスファームすずなり広島支店・木村駿佑さん:
おいしかったです。シャキシャキして、しっかりして。新鮮だというのは感じた。「いいものを色んな人に食べてもらいたい」という気持ちで今やってるので、食べてくれる人が「おいしい」って言ってくれれば、それだけでうれしいかなと思います 

収穫作業に取り組む木村さん
収穫作業に取り組む木村さん

こうして育てられたレタスは、安芸高田市から広島県内をはじめ、中国地方各地のモスバーガーへ毎日のように届けられている。

モスバーガー南観音店・野菜担当の店員:
切り口や見た目、持った感じの重さ・詰まった感じも、とてもいいレタスだと思う

モスバーガーで使っている生野菜はすべて国産で、産地を店頭の掲示板で知らせている。産地がどこで、どんな農家が作ったのか…生産者の思いが見える野菜作りを目指しているためだ。

モスフードサービス・広島地区の担当者:
地産地消で地元の農家を応援したい気持ちがあるので、これを機に広島県産のレタスをより多くの人に知ってもらいたい

そして、農場では秋の出荷に向けて準備が進んでいた。先を見据え、育てているのはレタスの苗だけではない。

モスファームすずなり広島支店・竹下公雄支部長:
本当に良い土をこれから先へ残していく。それとやっぱり人づくり。熱い思いで入ってくれたので、大事に育てて、広島の地でこれからモスファームを盛り立てて、農業を担う人材にもなってもらいたい

モスファームすずなり広島支店・竹下公雄支部長
モスファームすずなり広島支店・竹下公雄支部長

秋にはよりおいしいレタスに加えて、さらに成長した木村さんの姿も見ることができそう。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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